先日、ローラ・ニーロの米コロムビア盤『The First Songs』(KC 31410)のラジオ・ステーション用タイミング・シート付の盤を買った。この盤、白ラベルのDJコピー(というかアドヴァンス・リリース)は無い様子なので、ラジオ局向けの盤が割と初期プレスに近いのかな?とも思った次第。

  白ラベルのコピーは未見・・・。あるのか?

 

 品物が届き、盤を見たら、何か違和感が・・・・。そうです、ラン・アウトというか、デッド・ワックス、つまり音楽が入っていない部分が異様に狭い!!

  

KC 31410のA面凄く狭い・・・ 同じくB面こっちも狭い!

 

  

PC規格の後期盤A面まあ普通?  B面はちょっと広い印象

 

 手持ちの他の盤とも見比べてみましたが、やはり相当な狭さ!でした。ちなみにマト番は、P AL 31410-2A / P BL 31410-2A 。もう1枚の方は後期プレスのPC規格の盤で、P AL 31410-2J / P BL 31410-2L 。かなり違いますね。

  

A面の2A 約5.5mm      B面の2A 約5mm

 

  

A面の2J 約11mm       B面の2L 約19mm

 

 米Columbia のマト番については、レコード・コレクターズ2006年の2月号、80ページから84ページに『モノラル盤から始めるディラン再発見の旅』なる記事中に採番の考察が記されています。それによると、例えば1Aの場合は、1はマスターから起こしたラッカー盤の枚数、1は初版。Aはプレス工場を表す、この場合(A)はカリフォルニアのサンタ・マリア工場と読めるのだそうです。つまりアルファベットはラッカー盤のコピーで同じ物という認識

   本当か?引用が伝聞で時代も離れていてどうにも消化不良な一文。書いてる本人もよく理解してないのだろうなぁ~。とんだ嘘っぱちです!!!

現物重視主義の私が所有する『The First Songs』のマト番状況を軽く記載してみると、(事件は現場で起こってる、ってか・笑)

2A / 2A:6.5mm / 5mm

2B / 2D:6mm / 6mm

2B / 2B:6mm / 6mm (これのみカナダ盤ですが、米国のスタンパー使用)

2C / 2C:9mm / 7mm

2C / 2C:9mm / 7mm

2B / 2A:6mm /5mm

2G / 2H:14mm /12.5mm

2J / 2L:11mm / 19mm

 レコ・コレの言い分で考えると、マスターから起こした2枚目のラッカー盤からのコピー(マザーorスタンパー)を工場毎に整理番号を付けたのに、あら不思議!アルファベットが異なると寸法も異なる怪現象が現れます

 つまり、2の根拠は不明(マスター・テープからマスタリング用にコピーした2本目?何故1本目を使わない?不備でミックスを変えた?、疑問が残るので不明とする)ですが、アルファベットは「寸法違い」から異なるラッカー盤だということは明白です。Aのラッカー盤をカッティングした際には、余白は6.5mm / 5mm しかなかったのですが、Bのラッカー盤のカッティング工程では、6mm となり、J/Lの場合は11mm / 19mmの余白だったという事実がそれを証明しています。

ということは、2のテープを各工場に送り、そこでラッカー盤を作った?そうするとA,B面で異なる場合の説明が難しくなる。

 2のテープからAのラッカー盤を作り、それを複製可能枚数までコピーし工場へ送り、Aはお役御免。次のBラッカー盤を作り、同じ工程でマザー(orスタンパー)を作り工場へ送った・・・のだろうか? 

 クライブ・ディヴィスの本『アメリカ、レコード界の内幕』によると、ローラのLPは20~40万枚のセールスが多かったとあるので、ブランク後の期待?の1枚と考え50万枚のプレスを想定すると、スタンパーから4000枚(3~5000と資料によって開きがあるが・・)のプレスが可能と考えると、125枚のスタンパーが必要になる計算で、出所は忘れたが、1ラッカーからマザー5~6枚、1マザーからスタンパーも5~6枚という記述を見た記憶があるのでその数値を入れるとA~Eの4ラッカーで125枚のスタンパーが可能という計算が成り立つ。破損などもあるのでこれが最低の数量だとしてもLまで行くのは少し無理があるかも・・・。

 少なくともレココレの記事よりは解明が進んだけど、真相究明は遠き道のりでしょうネ。