真保裕一『覇王の番人』 | キムチの備忘録♪

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久しぶりに本を読み終わりました本
 
真保裕一『覇王の番人』

 
(上巻)
戦乱の世を我が手でしずめてみせる!
その決意を胸に秘め、明智光秀は一人の武将に目をとめる。その男とは――織田信長。
やがて光秀が天下統一の夢を信長にたくし、織田軍団の先頭に立って戦いの日々へと突きすすんでいく。
歴史に葬られた男・明智光秀の真実を掘り起こし、戦国の定説をくつがえす歴史巨編、堂々登場!
 
(下巻)
血みどろの戦を重ね、光秀は信長を「天下人」へ押し上げる。だが、冷酷非情な信長は無惨な虐殺をくりかえし、自らを神と称するようになる。悩んだ光秀は、ついに決断を下す……。
亡き親の敵と信長をうらむ小平太は忍びとなって、光秀を助けるべく本能寺へと急ぐ!
史上最大の謎が今ここに解き明かされる。
(文庫裏表紙より)
 
 
 
大河ドラマの予習にと買っていた本。
真保裕一さんの著書は初挑戦でした。
上下巻合わせて1000ページ超の長篇小説です。
読書の時間が減っていることもあり(スマホで遊んでばっかいるから…)読むのにめっちゃ時間がかかってしまいましたあせる
歴史小説は好きなんですが、なにぶん戦国史に明るくないため相関関係がよく分からない上に似た名前の人物がごっちゃになる始末(笑)
勉強不足を痛感致しました。
無い知識を補足する為に歴史番組もいくつか観たりしながら、大河ドラマも観ながら、読み進めてきました。

 

明智光秀といえば主君・織田信長を討った謀反人というイメージが浸透していますが、本書はそういった見方に一石を投じる一冊となっています。
本書の主人公は明智光秀ですが、さらに光秀に使えた忍びの青年・小平太がもう一人の主人公になっています。小平太は家族を信長の兵に殺されて孤児になり、忍びとして生きることになります。
物語は老僧の昔語りというスタイルで始まり、間に何度か語り場面を挟みながら、二人の主人公の視点を交互に進められていく形式となっています。
 
主君に刃を向けた卑怯者という負のイメージを背負わされた明智光秀。
しかし本当は「天下静謐」を願った慈悲深き武将だったのではないか。
それは光秀の配下となる小平太の視点も通すことでより鮮明に語られた、筆者が伝えたかったことかも知れません。
それだけでなく小平太が忍びとして躍動する場面も面白かったです!
 
また本書ではあまり語られていませんが、光秀が家臣だけでなく領民想いな武将であったことが窺えるという事が歴史番組では言及されていました。
まだ発見されていないような多方面からの史料が今後も発見されれば、また新たな光秀を知ることができるかもしれませんね。
今放送中の『麒麟がくる』では光秀は主人公ですから、これからさらに既存のイメージが変わっていくことを期待しています。
 
さて、クライマックスはなんと言っても謎多き本能寺の変。
本書ではこの事変には黒幕がいるという説とともに、本能寺後の光秀の生死についても興味深い展開が待っています。
真相はともかく、さもありなんといった感じで面白く読ませていただきました。
なかなかボリュームのある本でしたが、ご興味のある方はぜひ♪