※注意※ 

この記事ではタックスリターンの手順に関する説明を僕が実際に行った手順やネットで調べた情報を基に説明しますが、僕自身オーストラリアのワーホリサポートを仕事にしているわけでもないですし、僕がタックスリターンをしたのは2015年の話ですし、オーストラリアの税制度に関して完璧に把握している自信もないですし、僕の書いた情報がオーストラリアの税制度と照らし合わせて100%正しいという前提では読まないでください。どっかに僕が誤解したまま書いてしまっている情報もあるかもしれませんし。この記事で後で触れるAPLaCのホームページや、税務局のHPで調べた方がよっぽど詳しい事がわかるので、僕の記事だけでなくそちらの方でも二重に確認する事をお勧めします。

※注意※

 

オーストラリアでの滞在期間が残り1か月ぐらいになった所でメルボルンに戻ってきて、やりたかった事は主に2つ。1つは前回書いた通りメルボルンの友達や同僚に会いに行く事で、自分の気持ちに関わる事。そしてもう1つはというと、こっちはお金に関わる事で、タックスリターンの準備である。

 

タックスリターンの申請をしたりお金が戻ってくるのは、通常会計年度が終わってから(6月が終わってから)であるため、普通は7月に入るまでは始まらない。7月を過ぎると、タックスリターンの申請をするためのパッケージが用意されていたり、ATO (Australian Taxation Office,税務局)のホームページでファイルがアップされるのでそれをダウンロードしたりして、その書類に必要事項を記入して税務局に提出するのだが、僕の場合は会計年度が終わる前にオーストラリアを出る事になっていたため、それと同じ手順ではタックスリターンができない。このような場合にはどうすればいいのかを調べ、それを実行に移すのに1か月はあった方がいいだろうなと思っていたので、滞在期間が残り1か月の時点でメルボルンに戻る事にしたのだった。

 

レンマークにいてもうすぐメルボルンに戻るという事が決まった頃、既に丸1年以上のオーストラリアのワーホリを経験している台湾人のサムがタックスリターンの事で相談に乗ってくれた。するとサムが教えてくれたのは、タックスリターンの書類を記入するには、まずはPAYG Payment Summaryが必要になるという事だった。PAYGとはPay As You Goの略で、このPAYG Payment Summaryは自分が働いた職場での雇用主から渡される、その職場で自分に支払われた給料の総額と差し引かれた税金がまとめられたものである。このPAYG Payment Summaryは、通常は何もしなくても会計年度が終わってしばらくすると勝手に送られてくるのだが、会計年度終了前に欲しい場合はその職場にメールを送るか直接出向くなどして要求をしなければならない。ただし、要求にすぐに応じて送ってくれる所もあれば、PAYG Payment Summaryは会計年度が終わらないと発行できないと言って断る所もあるので、そういう場合はせめて最後の週のPayslip(給与明細)だけでもくださいと言っておくといいと思う。最後のPayslipにも、支払われた給料の総額と差し引かれた税金がまとめられているからだ。

 

レンマークにいた頃に働いた職場は3か所。どれもメールで要求すると、割とすぐにメールの添付ファイルでPAYG Payment SummaryかLast Payslipを送ってくれた。同じ時期にメルボルンで勤めていたセールス会社にもメールを送っていたのだが、こちらは返事が来なかったので、会社のオフィスに直接出向く事にした。僕のオーストラリアでの最初の職場であったチャリティのセールス会社の受付に行くと、数日のうちにメールの添付ファイルで書類を送ると言ってくれた。もう1つの電気会社のセールスの方は、勤務していた時に既にPayslipが毎週送られていたのだが、パスワードでロックされていてファイルが開けなかったので、やはり会社に直接いかなければならなかった。オフィスに着くと、向こうから急に「おお、ショーン!」と僕を呼ぶ声が聞こえてきたこの会社に入る時に面接をしてくれていた、このグループのヘッドであるジャックだった。

 

ジャック:「久しぶりじゃないか!元気にしてたかい?」

 

僕:「お久しぶりです!元気してました!あの、実は僕ワーホリのビザがもうそろそろ切れるので、タックスリターンの準備をしてから帰るんですけど、その時にPAYG Payment Summaryか最後のPayslipが必要なんです。ここで勤務していた時にメールでPayslipはもらえていたんですけど、パスワードがかかってて見れなくて。でも僕自分でパスワードを設定した覚えがないんですよねぇ。それで確認しようと思って来ました。」

 

ジャック:「ああ、それか!それね、自分の生年月日を逆さに読んだやつだよ!それで全部見れるようになるから!^^」

 

僕:「ああ、そういえば!今思い出しました!いや~助かりました。Thank you!」

 

ジャック:「No worries!それじゃあ君のオーストラリアでの滞在もあと少しだけど、残りの期間も存分に楽しんでね J」

 

僕:「ありがとう^^」

 

そしてジャックは別れ際に更にもう1度振り返って「Date of birth backwards!👍と言ってから去って行った。忘れないようにもう一度念を押すために言ってくれたのだろうか。それにしても、僕はこの会社にいたのはわずか2週間で、辞めてからもう10か月ぐらい経つというのに遠目からパッと僕の顔を一瞬見ただけですぐに思い出して声をかけてくれるとは。ジャックは本当にいいボスだな~。これで自分の直属のボスがあのチンピラでなければもう少しここにいられたかもしれなかったのにぃ、残念。

 

さて、これで給与明細は一通り集まったから、後は実際に税務局に書類を提出する事になるのだが、今の僕の置かれた状況でそうするには2通りの方法がある。自分で直接税務局に行くか、エージェント(税理士)に頼んでやってもらうかのどちらかだ。どちらがいいのだろうと思い、僕のオーストラリアのワーホリの百科事典であるAPLaCのホームページに飛んでみた。タックスリターンに関する項目

http://aplac.info/gogaku/column04.html#tax

を読んでみると、公的な機関であるATOに直接行けば無料で対応してもらえるが、不愛想でロクに仕事してくれないハズレな人もいれば親切で丁寧な対応をしてくれる人もいるとの事。

 

更に、もっと重要なのは、タックスリターンは申請すれば必ずお金が返ってくるものではなく、一定条件を満たした場合にのみ返ってくるのだという事。このページに出てきた説明で注意したいキーワードが「居住者」と「非居住者」だ。通常、オーストラリアの市民権や永住権を持っている人は居住者、観光ビザやワーホリビザで滞在している人は非居住者であると法的にはみなされる。居住者とは読んで字のごとく、一定の地に定住している人の事であり、非居住者とはその条件を満たさない者、つまり一定の地域に一定期間以上住み続けていない者の事だ。ではその一定期間とはどれぐらいの事を指すのかというと、6か月間以上だ。観光ビザはそもそも3か月しか有効ではないし、ワーホリビザでも1か所に定住せずにいろんな場所を転々とするという前提で考えられているため、通常はワーホリは居住者とみなされない、というわけだ。

 

ではこれがタックスリターンにどのように関係してくるのかというと、居住者と非居住者の間の税率の差が大きく関わってくるというのがポイントだ。居住者よりも非居住者の方が税率が高いため、額面の給料が同じだったとしても、非居住者の方が差し引かれる税金が多く、手取りが少なくなる。実際、レンマークにいた時の天国ファームでの僕の時給は21ドルだったので、週40時間働けば1週間の給料は840ドルになるのだが、非居住者としての高い税率がかけられていたため、手取り額は590ドルぐらいになっていた。だが、ここで自分が非居住者ではなく居住者であるという事が認められれば、居住者の低い税率で計算しなおすため、額面の給料から差し引かれる税金に差が出てくる。そして、その払いすぎていた税金を返してくださいと言える事になる。「ワーキングホリデーの人がタックスリターンの時に返してもらえるお金」というのは、この「非居住者と居住者の税率の違いから生じる差額」の事なのだ。

 

問題は、僕が居住者として認めてもらえるかどうかだ。居住者として認めてもらえずに非居住者として扱われたとしたら、そもそも税金の差額は発生しないので税金は返ってこない。したがって、僕がATOに直接タックスリターンの書類を提出するかエージェントに頼むかのどちらがいいかは、どちらの方が親身になって対応してくれるかという事はもちろん、どちらの方が僕を「居住者」として処理してもらえる可能性が高いかというのも焦点となってくる。

 

まずはとりあえず、メルボルンのシティ内にあるATOのオフィスの方に行ってみた。サポートは無料でやってもらえるので、もしここのスタッフが人間的に信頼できて、いい仕事をしてくれそうだったら、そこに行くのが一番手っ取り早い。だが、そこで待っていた受付の女は目つきや喋り方がいかにも人を見下したような、横柄な態度の奴だった。

 

僕はたまたまこの時は態度の悪いスタッフに当たってしまっただけだったのかもしれないが、この時点で僕はATOでの仕事に期待を持てなくなっていた。それに、もしかしたらこいつら、僕を居住者として認めて税金を返してもらうための手続きを助けてくれるどころか、勝手に非居住者として扱って「あなたには税金は返ってきません」なんて結論に持ってくるかもしれない。そういえばこの連中は少しでも税金を多く手元においておきたいというモチベーションを持つ政府側の人間だから、税金を返してもらいたいと主張する人間の声にどれだけ真剣に耳を傾けてくれるというのだろうか。そんな主観バリバリの推測も頭をよぎるようになってしまっていた。

 

というわけで、次の記事でエージェントを使ってのタックスリターンのやり方を紹介しま~す。