うはのそらにて -4ページ目

いろいろのいろ

フランソワは、近所に住んでいるおじいさんで、
日本をとても愛している。

学生のころ日本語を勉強していた彼は、
ひらがなで「さ」「と」「み」を書き、
「わたしはにほんじんです」と言う。

ふらんそわは、ふらんすじん。ふらんすじんだよ。



嬉しそうに、「トンボガエリ」と言い(とんぼ返り、という言葉が好きなのだ。)、
キッコーマンのお醤油とわさびで、マグロのお刺身を食べる彼は、
だけど、日本に行ったことがないという。

みっつのりゆう、があるそうだ。



わたしたちは、大学のちかくのケバブ屋で、おともだちになった。





きょうは、フランソワと約束をして、車でマルシェに連れて行ってもらいました。

わたしはマルシェをずっと夢見ていたから、
終始昂奮していて、
ほっぺはずいぶん紅くなっていたとおもう。


ひとがたくさんいて、
「やすいよ!やすいよ!」とあたまのうえを飛ぶ大声、
目にはいってくるいろはとにかく鮮やかで、
みちはせまくて、
安くて、
豊富で、

なんて!なんて、胸のそこからわくわくする朝だ!


フランソワは野菜や貝や魚の名前を、ひとつひとつ教えてくれる。

ぼくはエイが大好きで。ミソスープに入れたら最高なんだ。


『エイは、raie.』


すごいなあ、とおもったのは、スパイス、
こんなにたくさんのスパイスを見たのは初めてでした。
スパイス








袋に調合していておもしろかった。
ちかづくと、鼻をするどく刺激するさまざまなかおり!
くんくんしてたら、
横のマダムが、
微笑んで、くしゃみの真似をする。
うふふ。


フルーツアディクトなわたしにとって、ユートピアのような場所じゃったー

ぶどうや洋梨、いちぢくにりんご。
果物屋さんは、グテ!といって実をちぎっては、味見をさせてくれます。
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市場









さいきん雨降りで、とても寒い日々が続いていたんだけど、
きょうはきもちいいーお天気。

太陽をたべるーーーー むしゃむしゃ!





2週間の語学研修がおわりました。
先生のフランス語は早くて、必死になって耳のあたりにずっとちからをいれていたから、
毎日くたくたになって、ベッドにもぐりこんでた。

だけど、クラスメイトも先生も、泣きたくなるほどいいひとたちで、
毎朝教室にはいるのがたのしくて仕方なかった。

なかよしになったポーランドのカロリーナは、こちらが申し訳なくなるくらい美少女で、
なにかにつけてハイタッチをしてくるアメリカンのレオは、今夜パーティ行こうぜ!とまさにアメリカン
ひょろひょろのっぽのイタリアン、エドと江戸時代の話をよくしたり
声がめちゃくちゃ甘くって、言動すべてに品のあるブラジルのルイが、
ノートに先生の似顔絵を描いて自分で爆笑して耐えきれず教室を出てしまい、その後また王子さまのようなたたずまいで何もなかったかのように戻ってくる、という一部始終を目撃して胸がきゅんとしたり


ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガル、アイルランド、ブラジル、ポーランド、アメリカ、…それから日本、
本当にさまざまなくにのひとたち、
それぞれが母国語ではない言語をつかって会話をする。

ことばってなんなんじゃろう。
なにか、奇妙な生き物みたいだ。
無限にかたちを変えるんだな。
あまりにおおきくて、考えはじめることすらためらってしまう。



日本語は、ずっと、ちゃんと、、これから、日本語は、、、日本語は、きれいな日本語、あたしのすきな日本語、


ここにいると、日本をかんじる。
日本にいるときよりずっと、日本が、見えやすい。

見えやすい、
はっきりと、かたちを持って。

いままで内側で感じていたものを、
皮膚の外側に、かんじる。





フランソワは、飛行機と地震が怖いのだ。
バルコニーにでると、よこの部屋からばんごはんのいいにおいがしはじめた。

こんにちは

きょうもとてもお天気がいいです。
きもちいい。
背中にぽかぽかおひさまがあたって、ほんとうにここちがいい。

にちようびはみんなお休みです。
大学の構内をあるいてるひともすくない。
パン屋さんも殆どが閉まるから、どようびまでにきちんと買っておかなくちゃ。


フランスの冬は、太陽がほんとに出ないらしい。
よわよわしいお日様がやっと出たかと思うと、すぐ沈んじゃうんだって。
だから、いまの季節はきっと
みんなうれしくてきもちよくて仕方ないのね、
公園や広場に行くと、寝転んでお昼寝してるの。
ついにはシャツを脱いでしまってるひとも居る。

昼寝








おひさまがでたら
わーい!
って外に出て、存分にからだにとりこもうとして、
ほんとすなお。

お天気いい日はうきうきして、
外に出て、
カップルはベンチでいちゃいちゃ、おじいさんは犬を散歩させてる。
青いりんごや、ながいバゲットのサンドイッチをかじりながら。
すなおすなお。

そんなゆるいゆるい国にいます。

あやつり






じつはこないだ、オペラを観てしまったのだ!

パリをるんるんお散歩していて、ゆうぐれ。
オペラ座の前にきたあたしたち、
当日開演直前なら安く買えることもあるって、話に聞いていたので
チケットのとこで聞くだけ聞いてみようということになりました。

チケット売り場のおにいさんがイケメンでとりあえずどきどきする。
今日のチケットはまだ買えますか?

勿論。
といって、イケメンは、170ユーロの席を提示してくれた。

non…moins cher…?

それなら。
といって、イケメンは、39ユーロの席を勧めます。

ah……non… (これでもかなり安いよね安いよねでもこの際…)

…おけ!
といって、イケメンは、7ユーロの席を示してくれました。
ブラボー!

恥ずかしいとても。けど、もういいの、恥はかきすて!
なんと7ユーロで…なんかごめんなさい。
 この格好でいけます??
と一応ちっちゃい声で聞いとく。
oui, と言われる。イケメンに。


勿論7ユーロだから舞台は殆ど見えない末席で、
だけどオペラ座の、限りなくゴージャスな雰囲気と圧力に胸をおしつぶされながら、
なまオペラにうっとり。
すごかった。いっぱいいっぱい手を叩いた。

内容はわからんかったけど、しばらくわたし「びーん」ってなっていました。
びーーん。
こんなに多くのひとの拍手
わたし手をたたく音だけでももう。感動している。


オペラ座のなかは、まさにムシュー!といった男のひとや、
「わたしの名はピエール」とでも言い出しそうな口ひげの紳士や
顔立ちからして既に上品なマダムでいっぱいである。

いつかドレスアップして堂々といきたいなあ。
いい経験をしました。
オペラ








勉強を頑張るのと平行して、やっぱりここは充実した街、文化的な生活を目指したい。
映画館がたくさんあるから、映画も山ほど観たい。
ふるいふるい映画や、すこし前の映画もやっていて、興味深い。
館ごとにやはり趣味があるみたいで、じぶんの趣味のあうところを見つけるのが夢です。
映画






そんな地点までいけるかしら…



あしたから、いよいよフランス語のインテンシブコースが始まります。
気を引き締めて、がんばろう。
悔しくて、うずうずしている。
話したくて、聞きたくて、出来るようになりたくて、うずうずしてる。



きのう蚤の市でみつけた、
グリーンの陶器のリボンがついたピアス、
裸の女のひとのふるいふるい写真、
手をつないだみたいに見える、むかしのブレスレット

とんでいっていますぐ見せたい、とおもう
幸福。

市役所








空がたかーいくもがない。みどりが目につきささるほど、、
きょうはほんとにきもちがいい。


そうだ、あいら。
フランスのフランスパンは、死ぬほどうまいです。
猫

8月の

はちがつになったのか。

小学生のときに認識していたはちがつと、現在あたしが知覚しているそれ
随分変わっているんだなあ、
この発見には、驚きだった。

季節がまわっているなんて、本当なんだろうか
あのとき見ていたはちがつが、くるりしてまたまわってきたとは思えない
だって、365日ぶんの何倍も経っといて、それでもまたおなじ顔をしているなんて嘘だ、
だって、
おなじ顔だと認識するにはもう、
あたしの目が変わりすぎたので





考えるべきことややるべきことは当然
自分のまわりにあふれかえっていて、
頭の中で上手に整理ができてないまま、ただそわそわしている

といったかんじ。


落ち着かないから、ふう、と言うばかり。
けど
よく見たらいま、みんなすごくがんばっていたのだ。
みんな、いろいろあるんじゃ。
それぞれに、それぞれ。
気が付いて、あたし殆ど身震いした。

がんばれる機会が目の前にあるのに、がんばらないなんて贅沢だとおもいました。
応じんにゃ。
きちんと、誠実に。


ふにゃふにゃ生きてきたから、
「ふり」をしながらその実
こっそりと、するすると、壁をよけてきたから、
それだからあたしには
常に漠然とした不安がつきまとっていたし、いまも感じつづけているのだ、とおもう。
「確固たる」といったものがなく。

それは、
曖昧でおぼろげな自信しか生まんのね。


これからフランスに一人で行って
幾つも壁に出会うのは間違いないことだ。

もう、よけん。
このチャンスを、逃さん。


大人になればなるほど、よけるのが上手になっていくのがわかったし、
下手したらこのまま、
壁に会えんままに曖昧でおぼろげな自信だけが
歪んだかたちで成長してしまうことになる。


だから、この有り難い機会に、
たくさん、
というか、すべてに。ぶつかってきます。

応じる、
壁に応じる。
きちんと、誠実に。


とりあえず、生きるためにはまず言葉しかないから、行くまでできる限り勉強「がんばる」よ
はあ、「がんばる」とは、なんて抽象的な。
シビアなことばじゃわあ。




*******

インドアなあたしは、どうしてもお家にいる時間が長くなる。
いっぱいのひとが、きてくれた。
それってやっぱり、うれしい。
いっぱいのひとが、ごろ寝してってくれたし。
じゃけん、あーここにあともう20日もおれんのかと思うと
すこしおセンチになります。

おひさま、あたらんかったけどね。
でも、はじっこにひっそりと住んどるみたいで好きじゃったんじゃわ。



きのうは、ゼミの方々が、送別会を開いてくれた
こんな不真面目で迷惑しかかけてないようなあたしなんかのために...
恐縮したふりしたけど、素直にうれしかったのさ

あたしのゼミのメンバーは、(敬意を込めて言うのだけれど)
へんなひとたちだけで構成されてるとおもう。
ぜったいへんだ!へんじゃけおもしろい。


そのなかのひとり、
友達のおとこのこが昨日言った言葉が、なぜかあたしのこころをぎゃっ、と掴んでいて
なんかまだどきどきしてしまう。

彼は、おとこのこを好きになるタイプのおとこのこで、
いまだって勿論真剣片思い中で
あたしはいつも相談を受けてるわけなのだけど、

「おれも、
 こども産めたらなあ」 
って、
言ったのだ。


あたしはその言い方のすがすがしさに衝撃を受けて、感動さえした。

瞬時に、あたまのなかでは
映画の『悪い女』を観て、おんなという生き物について夜中じゅう考えた数日前のことと、
あたしがほんの小さいときから何度か見てきた、米粒くらいのあかちゃんを産む夢と、
新しいいのちを宿したばかりの、お義姉ちゃんのおなかと...

本当に一瞬の間に、
それらが作った妙なネットワークが、
あたしのへんてこな感動に拍車をかけたのでした。

うーん
なるほど





小学生のときのはちがつをおもうと、
体育館の裏のじめじめしたとこにはえている桜の木(「ソメイヨシノ」と書かれた名札がかかっている)とか、”夏休みのとも”をひらいて、計画表のところに書いてある「宿題はあさのすずしいうちにすませましょう」といったへんに過干渉なことば、それにそれを朝の9時ころにほらちゃんと読んでいるという満足感だとか、お昼ごはんにお兄ちゃんが鯖の塩焼きをせがんでいる、とか
なんだかもうとにかく雑多な記憶があふれだす。
いま見ているはちがつとは、完璧に異質な空間だった。

でも、じゃああたしは、はちがつになればいつだって馬鹿丁寧に、あのころの記憶を取り出しては感じていたんだなあ、とわかる。
十何年経っても驚くほどクリアーだから。
それが、
またおなじ季節が、ことしもまわってきたんだなあ
って
そういうことなんかなあ。




『悪い女』は、おんなとして、観てよかったとしみじみおもう映画でした。

星の王子さま展をのがす

大丸の星の王子さま展のがした…
ゆるゆるしてたら昨日でおわっとった…

ショック…


があんがあんがあん...




このごろ自分のやなとこがよく見える
次から次に露呈してく気がするわ。

それをまた見んふりするか目向けるか
そのままにしとくかせんとくか
ってことか



じゃけんこれはいいことなんじゃろ?

この機会に感謝しよう



忘れずに
いいとこも見つけていくよ。





「以前もらったもの」

ふといま横目に入る。
それを手にしてくれた場面を思い浮かべて
じゃあそのときあたし頭の中におったんじゃね、って
自惚れてみれば
気分がすこし晴れてきた。

日記など

いつでもメモ帳を持っていると、きっといいな、とおもいました。


突然
ガッチャマンのうたってどんなんでしたっけ、
って日本人に訊かれれば
くちずさみながら、そのメモ帳に書き付けていくことだってできるでしょ

それがやぶき易いノートなら、
びりーとやぶってその場で書き付けた歌詞をさしあげることもできる。


そうおもって
メモ帳を買いに行きましたが、
ぎゃっとちいさく叫んでしまうほど好みの便箋に出会ってしまい

結局そっちを買ってしまった。



だから、
わたし。

手紙を、かこうとおもいますね。


お便り、待っててね。





あたしは、よく髪を切るねと言われるけれど、
本当によく髪を切っているとおもう。

******

あたしのいく美容室は、あたしの自慢だ。
だからしかたないよね
だれにも自慢したことないけど、これからもするつもりはないけど


ここほんとにやってるのかな?というようなさびれたお店や
いかにも古いおうちがならぶなかに
ぽつん、
というかひっそりとあって

ミイラみたいなかたちのシャンプー台(とても寝心地がいい)が一台と
カット台が二台だけ
ぽってり、といった感じの白色に囲まれた場所で
おねえさんがひとりで髪を切っている、

なにがどうで、どれがなに、とわかりやすいものなどないけども
ここは
ほかにない、とあたしは信じてしまっている。


たとえば、
女性作家が描く繊細な小説のなかの一文や、
どっかのくにのゆるーい単館映画のワンシーン

そういう中で出てくる、
あこれちょっといいなあ。すてきじゃない、とおもっていた架空のスペイスがまさに
ぽっと現実にあらわれたようで、

やっぱりほかにないよねえここ、と帰り際かならずおもう。
そういうとこが、自慢です。
あ、結局自慢してる。



髪、きりました。
もともとといえばもともとですが、
こどもみたいになった。




それから

『アリス』を観ました。
たまらんねえ
すきだなあ。

実写とアニメーションがまぜこぜになっていて
カクカクした動きが魅力的

あたしは
とても可愛らしくおもったり、
時々ぞっとしたりする。


「不思議の国のアリス」のおはなし自体昔からすきで、
さらに彼の作品ということでずっと観たかった。


靴下のイモ虫が入れ歯を手に入れて喋りだすシーンがすきすぎる。

うさぎが手についたバターを
アリスの靴下できゅっきゅとぬぐうシーンに悶絶する。

うーん
たまらんねえ




******

はやいですね
このブログがまたほったらかしになってたり、

髪切って幼くなったり、

酔っ払ってぎゃあぎゃあ騒ぎながらソファを地下室に運んだりしているうちに


もうほんとに夏がきてた。





もうちょっとしたらあたし冒険にでるぜ!

お便り、待っててね。

besoin

きょうも

相変わらず、顔を洗うのが下手なのだった。
首から胸元にかけて、袖口が、それからズボンが
どうしてもびしょびしょに濡れてしまう。

清清しいほどにきょうも
あいもかわらず濡れそぼつ、コットンの寝巻き。


そのたび、着替えさせられていた。

洗い立てのパジャマは、袖を通されて数分後には洗濯かご行きである。
なんか勿体無いしめんどくさいし
いいじゃん、そのうち乾くよ
と、いってみても

だめ。
ぴしゃりと、着替えさせられた。

ぬるつべたくてきもちがわるい、肌にはりつく布を脱ぎ払い
新しいパジャマに包みなおされる心地好さ。



その感触を
思い出しながら

濡れて肌にはりつく、ぬるつべたいパジャマのまま
あたしはキーボードを打っている。

いいじゃん、そのうち乾くよ、
それで、おしまい。
そこまでで。



着替えさせられたいなあ、と、なかば衝動的におもう。
こみあげる。



目がかゆくて、
マスカラも構わず目をこすると。

目、そんなに掻きんさんなや。ひどくなるだけじゃけん。



お湯冷めるけんはやくお風呂にはいりなさい。


そんなよれよれの服、やめたら。


ちゃんと、ハンドクリーム塗って寝るんよ。





……
…………


ああ
ああ

どうでもいいようなことを、干渉されたいなあ。

いいじゃんそんなこと、
というようなことを、いちいち、言われたいなあ。


実際に言われたいのかは、わからない。
もし言われれば、

もう。わかっとるって。
と、中学生のように苛立った声で答えるのかもしれない。


贅沢で、矛盾に満ちている、欲求みたいなもの。

自由にしたいし、干渉されたい。
ほっといて欲しいし、構われたい。





歯磨き粉を歯ブラシにつけすぎてしまうのも、
だからはみだしてくちびるについて
しばらくひりひりし続けるのも、

そして、ああまたやっちゃったな、とぼんやり考えるのも、

あいもかわらず。



それとおなじように
顔を洗うのは
どうせいつまでたっても下手なんだろう、とおもう。


じぶんって
つくづく贅沢




*******

5/17
整体に行った。
人間の指に感動。
完全にふわーとしきったからだとあたまで
やすやすと、整体師さんになることを夢みそうになる。
熟考したのち、
専属の整体師さんを雇うこと。を夢見ることにしておく。


母の日のプレゼントは、ヤマボウシにした。
あたしのなかで、根深いエピソードを持った樹だから。

そういえば中2のときには、ちいさなガジュマルの樹をあげた。


樹を贈る。
ガジュマルには、キジムナーという精霊が棲んでいる。
あかいの。


どーぶつえんにいきたーい

大泣きを夢みる

わー
おおなきしてないなー
と、

電気を消した、まっくらなじぶんの部屋で
画面を見つめながら
おもいました。
ぼうっとそこだけ画面のあかり


春夏秋冬そして春、という映画を観ていて、
ちいさいこどもが大泣きをしていて

それはとても道徳的な場面で
つまり、

じぶんがいたずらで、首に石をくくりつけておいた蛇が
翌日血まみれで死んでいる、
それを発見してこどもが泣き出してしまうのだ。


命の重さであったり
じぶんがしてしまったことへの恐怖であったり
なにをどのように感じて泣き出したとか、
それらのエピソードには勿論
素直に感じるものがある。
あたしもまだだいじょうぶ、とか生意気にすこしおもう

でもそのエピソードそれ自体よりもむしろ
あたしはかれの泣きかたに心を打たれたのでした。


それはまさに泣きじゃくる、とかむせび泣く、とかいった感じの泣き方で
ちいさいころの自分の泣き方に
とてもよく似ているような気がした。

それともこどもはみんなあんなふうに泣くものなのか、


この子みたいにおおなきしたいな、とおもった。
じぶんみたいに。むかしの。
そもそも、

泣きじゃくるとかしゃくりあげるとか嗚咽を漏らすとか涙にむせぶとか
そういう単語が、
そもそもいい。

呼吸が乱れて肩は大きく揺れ、
頬もあごの下もびよびよとだらしなく濡れて、
おしまいには「泣き疲れて」寝てしまう、
(この「泣き疲れる」という単語もまたいい)
ちなみに気づくと毛布が掛けてあって…、
それはそれでひじょうに末っ子的な思考だなともおもいつつ。
そういう一連の流れまでも、
泣きじゃくるだの泣きそぼつだのといったことばひとつから
あたしは連想してしまうのだ。


なんだかそれは
いちばん健康的な疲れ方のようにおもう。
理想的なつかれかた

むちゃくちゃに泣くと、
中身ががらんどうになったことがわかる。
がらんどうは乾ききっているために、
ひとつおおきな深呼吸をすれば
空気は湿っているのだ、ということを思い出したの。

おなかがすくし、
やすらかで、ヘルシーだ。




ただ困るのは
悲しい、やつらい、が前提にあっての大泣きということで
かなしいこともつらいこともやっぱりあたしは怖い。
こわいしいやじゃ。

ということで、おおなきへのゆがんだ憧れはまったく厄介なのだ。




ところで
映画のなかで、和尚様が白い猫を抱きかかえ
白い尻尾の先に墨をつけて
木の床に般若心経をかいてゆくシーンがある。

とても印象的。

だからあたしは、きっとこれから白猫をみるたび
そのしろいほそい尻尾の先っぽに、
黒い墨を、その先っぽに、
イメージせずにはいられない。もういられない。

いられなくなっちゃったの。



そういうもんだ。*******おともだちがお泊りに来てくれたときふたりでお布団にもぐりこんで、ずーとお喋り。なぜか思い立って、おたがいに歴代の好きだったおとこのこの名前を挙げてゆく初恋からじゅんぐりと。彼女は、「惚れっぽいのかね」といいいながら両の手の指が要りそうなくらい挙げていて、それが矢鱈うらやましくて、あたしはだから、彼らをぜんぶ暗記することにした。(名前を覚えるのは得意なのだ)なんだか愉快になる年中さんとか、小6から中2まで3年間片思い、とか、高2の秋、とかそういうのってぼんやりと、でも忘れずにみんな持っていて、たいしたもんでもなく、ちっぽけな歴史なんじゃけど、確実にひとりのおんなのこをつくっとる要素なんだなあとおもうと、おもしろいよね。幼稚園のときのゆうすけくんは、カウントしてなーい

入浴剤(発泡タイプ)

4月21日、おなかが痛くなるほどの大笑いをいっぱいして、
ほんとにやばい死ぬ、たすけて、と幸福なあほさでおもった。
死ぬまでに何回くらいあるんじゃろう
やばい死ぬ、タスケテお腹痛い級の大笑いをした日って、
きちんと覚書しといてもいいんじゃないかとおもうよ。
と幸福なあほさでおもった。


******

バイトで一緒のひとに、
「ホワイトデーのお返し」で戴いたさくらの入浴剤で、
おふろに入る。

こういうのって
なんとなく勿体無い、と思ってしまってなかなか使えないんだけど
さくらの入浴剤は、
桜の時期が終わってしまうまえに使われるべきだ、と

"季節遅れはナンセンス!"そうやって躾けられたあたしは

妙な焦燥感をちょっと可笑しくおもいながら
まるくて粉っぽい固体を
おゆのなかに、おとす。

ポトン、と滑稽な音がして
固体がぶつかったから液体がはねた。

たちまち
しゅるしゅる、といってピンクの泡がたちのぼり
袋を見ると
発泡タイプ、と書いてある。

(ポット洗浄中のcmみたいだ、)
泡が出なくなっちゃうまえにはいらなきゃ、とおもって
いそいでシャツと下着をはぎとるようにしておふろに入った。

それでも泡はもうかなり出ていて、
おゆはどくどくしいピンク色に変わっており
あたしはすこし
あれ、さくらってこんないろでしたっけ、とおもったけれど
ちいさなスペイスに満ちていたのは確かにさくらの香りだった。
うふふ、へんなのー。だけど、

だけど、あたしはさくらの香りを知ってたっけ?
ほんとに知ってたんだっけ?

よくわからなくなる。


それはともかく、
発泡するタイプの入浴剤はおもしろい。

みるみるちいさくなってゆくそれをむりやり肌に押し当てると、
じうじうじうじう、と音がわずかに大きくなって
押し当てられた、たとえば腿やら手の甲なんかがちりちりとするのが
なんかちょっと、いい。

みるみるちいさくなってゆくそれを手のひらにのせてお湯からすくい出すと、
もとはすべらかで白っぽかった表面が、
どぎつい色の細かいいぼいぼになっていて
なんでか、大抵とても、恥ずかしそうに見えるんだ。

なんでか、
水の中に住む生き物が、
陸に上がってしまったみたいに、空気に触れてしまったみたいに、
あたしには見えて、
そのようすがとても恥らっているみたいなんだ。

なんかいじめている気分になって
長いことそうしていられない。ので、すぐにお湯の中に戻してしまう。


ほら、いろいろと、面白いんだ。



どくどくしいピンクの中で、川の絵が表紙の、文庫本を読む。
なんかもう、ふにゃふにゃだ。
表紙には、2羽くろい鳥が飛んでいる。
あっ、とおもって
こんなふうに2羽並んで、飛んでいる鳥を最近見た気がした。
それは夜で、
黒い空に、鳥は白だった気がした。
夜に白い鳥を見るなんて、珍しいし不気味だったはずだ。
なのに、いままで忘れていた。

だけど、ほんとに、見たんだったかな?

なんだか、よくわからなくなる。


からだじゅうがふたしかなさくらの香りになって
おふろからあがると、顔がぽっぽとさくらいろ。
あはは、

入浴剤をいただく、というのは
ちょっといいな、と考える。
うれしい。



あのちいさな固体、(いまやもう消えてなくなってしまったそれ)
について
こんなに長々と、ながながと書き綴ってしまった。


どうかしてるよねえ。

最近どう

ここんとこ夜になると原因不明なじんましんがでるの。

きのうバイトの新人さんに、年を訊かれて、
うふふ、いくつにみえる?と陳腐な返答をしたりして、
うーん、18?と、言われたの。


プーーーーーーー



unicoで新しいシーツ買っちゃった!

………



新学期がはじまって、ふたたび坂道をてくてくのぼる生活

坂の傾斜はきついんだけど、
いまの時分はお天気も心地好くて

10分ぽっちりくらいなのだけど、この
なにも頭にないような、そうであってぐるぐる何かしら考えているような、
妙ちくりんな時間は
結構心愉しい。


朝のひとびとというのは、なんか大抵きもちわるくて、魅力的なので
瑣末な、細かいとこがいちんち、あたまに残ってしまう。


歩きながらぶつぶつと、
しきりになにかつぶやいているお化粧ばっちりのおばさんは
くすんだオレンジのマフラーをさも寒そうに巻いていて、
 …??こんなにぬくいのに?

背中のラインがちょっと好みであったりする
前を歩くスーツのおとこのひとの、ズボンのてろてろ具合とか

ガラガラ!と引き戸を開けて、
法事にいらしたんであろうお坊さんが原チャから降りる、、
ひゃー合わねーーんだ
よごれたマシンと、重々しい彼の服装ったら!



口を閉じて
背中を丸めて
みんなが同じ方向へ

一歩一歩のぼっていくのを、後ろから眺めるのは
いやに不気味できもちわるくて、心愉しい。

そしてあたしも勿論
その不気味な背中たちのいちぶとなってしまって
うしろでは誰かさんが心愉しく眺めているの。




*******

こないだ、すっごくハッピーだった。
夢みたいに楽しくてうれしい一日があったの。
知らない街を、履きなれた靴であるくのってすてき。
ひとりじゃないから迷わない。
見つけたおもしろいものも、すぐに、言えるんだ。
コロッケ買ってあつあつを食べた。
お豆腐屋さんで豆乳飲んだよ。
ここ『西荻夫婦』に、出て来そうじゃ、とおもう。
『西荻夫婦』は京都のガケ書房で、4冊欲しい本があったのだけど手持ちが無くて
相当な時間を掛けて決めた2冊のうちの1冊だ。
ゆったり過ぎる、ここ、きっと変わらんのんじゃろうな、とおもう。
だから、あたしも焦らんことにする。
夢みたいに楽しくてうれしい一日。



お母さんに電話して、おかあさん最近どう、というと
おかあさん最近ね良いかんじよ。


いいかんじ。

友達のハッピーなニュースは、聞くたび、湧き上がるように
湧き上がるようにうれしい。



あたしも、いいかんじよ。



朝のリンゴジュウスは、んまい

お花

桜のはなは、
塩かお砂糖かでいえば、塩あじだろうな、とおもいました。


男か女かでいえば、おんなかな、とおもっていましたが、
(なにしろいちねんぶりでしたから)

よく見たら、幹が
「ごぶごぶ」していて
おとこおとこしく、

その黒く太い線は
ぶり、ぶり、と音を立てながら自らのからだをねじった跡のようでした。

やっぱりおとこか、とおもいましたが、
遠くから眺めるとこんどは
しなやかに腰をひねった、着物姿のおんなのひとにみえて。

艶っぽい。


どこまでも日本ね。




声には出さずに、となりを見上げる。





雑誌を買ったんだけど、そしたら
 荒木経惟が撮る"エロティック"なジュエリー
というペイジがあって

そこに写された、花の無防備さに息を呑む。

腐った花は、芳香を漂わせるのか
臭気を放つのか

きっと芳香は臭気で臭気は芳香だろうね
どっちにしろエロい


ぬめぬめとあかく光った舌を出して
だらしなく開いた口のようです。


植物園に行きたくなったの。
がつがつした、わりかし品のない花を、見たくなったの。





このごろ、お腹がすぐ痛くなります。
きりきり痛むとは、よく出来たオノマトペ。

お腹いたい。
ぎゅっと押すと、
あ、もっといたい。。。

そうして
外側も内側も、あたしのからだなんだなあ、と実感する。