というわけでわが前庭の

鶏劇場におきましては

素行に問題のあった

コッパー兄弟が無事

流刑の憂き身

見ることになりまして、

さあ!

 

旧王追放、新王万歳!

 

・・・と、ニワトリ集団内の

唯一の雄鶏と突然なったのが

ウェルサマー種の若者です。

 

 

この子は去年の夏に

我が家にやって来てから

秋くらいまで、いや、

何でしたら

冬の初めくらいまでは

他のニワトリたちとも

非常にうまくやっていて、

同期の雄鶏とも

古株の雌鶏とも

そして同種の若雌鶏とも

つかず離れずいい感じの

距離感を保っていたのが、

 

 

私が日本に

一時帰国している間に

同期のコッパー兄弟に

完全に体格で負け、

そして雄鶏社会において

体格差というのは

ボクシングにおける

階級差のようなもので

・・・ライト級のボクサーは

ヘビー級のボクサーには

どうしても勝てませんでしょ?

 

しかも対コッパー兄弟となると

1対2の変則マッチで・・・

 

気が付くと彼は

他のニワトリたちが

前庭で楽し気に遊ぶ姿を

柵の向こうをウロウロしつつ

じっと眺めるだけの状況に。

 

クラスに馴染めずに

休み時間になると

廊下を歩き回っちゃう、

それでも廊下の窓から

教室内を覗かずには

いられない様子の生徒というか・・・

 

コッパー兄弟も人間の前では

ウェルサマー君を

いじめたりはしないものだから

Norizo先生としても

事態に介入しづらいという・・・

 

でもほら!

 

色々あってコッパー君は

我々の敷地にはもういない!

 

さあウェルサマー君、

ここは新君主として

わが前庭に

新たなる王朝を築くがよい!

 

・・・しかし

こちらのウェルサマー君、

我々の思うとは裏腹に

まず前庭に入って来ない。

 

そりゃ前庭は柵で

囲われてはいるんですが

他のニワトリたちは

その柵を悠々と飛び越えて

問題なくやって来るところ

ウェルサマー新王は

柵を前にすると

右往左往しちゃうという・・・

 

いや君、12月までは

君も柵を飛び越えていましたよね?

 

その後コッパー兄弟に

締め出される形で

前庭に入ることが

出来なくなっていただけで

・・・え?まさか

飛び上がり方忘れちゃった?

 

わが夫(英国人)いわく

「さっき見たら

クリームレグバー雌鶏

(通称『青たまご姉妹』の

残された姉嬢)が

ウェルサマー君に

『柵への飛び上がり方』を

指南していたんですけど、

青たまご嬢が柵の上から

賢明にウェルサマー君を

応援するものの、

ウェルサマー君は

ただ柵の下を

右に左にするだけでした」

 

「・・・う、うーん・・・」

 

「ウェルサマー君、

もしかして

頭悪いんですかね?」

 

「いや、ほら、今はまだ。

今はまだ新しい状況に

順応できていない

だけかもしれないし」

 

「僕はこの夏、ニワトリの

ヒヨコが欲しいと

思っていたんですけど、

ウェルサマー君は

ヒヨコ、作れますかね?」

 

「そりゃ大丈夫だろ、

それは本能なんだから」

 

「高いところに

飛び上がるのも

ニワトリの本能ですよ」

 

「・・・う、うーん・・・」

 

「3羽の雄鶏のうち、

立派な2羽を手放して

残ったのは不能の1羽という

オチは避けたいものですね」

 

他の雄鶏たちがいなくなった後も

気が付けばウェルサマー君は

鶏小屋の床で寝ていて

(繰り返しになりますが

ニワトリは普通

とまり木で寝るものです)、

朝に夫が小屋の戸を開けに行くと

戸が開くや否や外に駆け出し、

私は先日夫が

ウェルサマー君のことを

「うちのルイ16世」と

呼んでいるのを耳にしました。

 

 

 

 

やめんか縁起でもない!

 

ルイ16世は

一時期言われていたほど

愚鈍な統治者では

ないという話ですし、

ウェルサマー君の

ここからの巻き返しを

期待したいところです。

 

 

その後我が家のルイ16世、

もとい、ウェルサマー新王は

同種のウェルサマー嬢と

古株青たまご姉の背中に

無事乗っかっているところを

夫に目撃されました

 

でもまだ庭の柵は越えない

 

・・・新王陛下の

お早目のトラウマ完治を願って

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