我が家の盲導犬

候補生アーシー(仮名)のことを

私はこれまで盲導犬として

完璧な資質を持った犬

信じてまいりまして、

故に悪癖の数々はすべて

私のいたらなさが原因、と

納得してきておりまして、

だって夫(英国人)も

「こんなに幸せそうで

頭のいい犬を僕は

これまで見たことがない」と

口癖のように申しておりましたし・・・

 

それだけに担当訓練士さんの

「この子は盲導犬協会が

パピーウォーカー初心者に

飼育をお願いしたい

『育てやすい子犬』では

ありませんね」の一言に私は

度肝を抜かれたのであります。

 

 

「えっ、でもでも、いい子ですよ!」

「ええ、いい子はいい子ですよ」

 

「頭もいいですし!」

「ええ、頭は

とてもいい子ですね」

 

「本番にも強いですし!

フリーウォーク(リードなし散歩)での

態度に問題はないですし、

リコール(呼び戻し)への

反応もいいですし、そりゃ

引っ張り癖はまだ完璧に

矯正できてはいませんけど

段々マシになってきていますし!」

 

「それは本当にその通りです」

 

「ですから私はアーシーはきっと

いい盲導犬になるものとばかり!」

 

「・・・どうでしょうね、私はこの子が

盲導犬訓練学校の育成過程で

盲導犬不適性の判定を受けても

実は驚きませんね」

 

何ですと。

 

「待ってください待ってください、

この子が盲導犬になれないんだったら

他のどんな犬が盲導犬になれるんです。

指示への反応も非常に速いし

人にも他の犬にも友好的、

そりゃ他の犬に対しちょっと

友好的過ぎるところもありますが・・・

やはりあれですか、本当に私が

何かこの子の育成過程において

しくじってしまったのでしょうか!

私がアーシーの芽を

摘んでしまったのでしょうか!」

 

「いえいえいえ!Norizoさんも

アーシーもここまでとても

よくやっています。私が言いたいのは

アーシーより育てやすい子犬は

たくさんいますよ、ということです」

 

「アーシーだって

育てやすい子ですよ!

・・・それなりに!」

 

「たとえば青ジャケットの着用を

アーシーは今でも嫌がりますよね」

 

「で、でも拒否反応はだんだん

薄くなってきていますし・・・たぶん・・・

ジャケット着用は

どの犬も嫌がるものでしょう?」

 

「そこですよ、Norizoさん。

盲導犬候補生の多くは

ジャケットの着用を

嫌がらないんですよ」

 

「えっ」

 

「最初は嫌がってもすぐに

ジャケットに慣れる子がほとんどです。

アーシーは今でもジャケット着用時に

首を回してジャケットを

脱ごうとする時があるでしょう?」

 

「・・・やはり私の対応に問題が・・・」

 

「違います違います。この子には

ハイパーセンシティビティ

(Hypersensitivity、過敏症)の

可能性がある、ということです」

 

「ハイパー・・・?」

 

「ハイパーセンシティビティ、

つまりこの子は多分、

触覚が非常に

鋭い子なんだと思うんです。

これは私だけでなく、

私の上役の

訓練士も同じ意見です。

青ジャケットやヘッドカラーが

これだけ気になる子なわけですから

・・・正直、将来ハーネスの着用を

受け入れてくれるかどうか、という

懸念があるんですよね・・・」

 

「いやいやいや!訓練士さんは

以前に『青ジャケットを嫌っても

ハーネスは嫌わない犬もいる』って

おっしゃったじゃありませんか!」

 

「まあそういう子もいるんですけど。

そうはいかない子もいるんです」

 

「は、はあ・・・」

 

「ただアーシーは本当に

本番に強いですからね。

いざという時の集中力があるので、

それが訓練課程において

うまく作用する可能性はあります。

でも作用しない場合もありますから」

 

「・・・」

 

「この子の興奮しやすいところも

そういう感覚の鋭さから

来ているのではないかと思います」

 

「興奮・・・しやすいですかね・・・」

 

「とても興奮しやすい子です。

刺激に対する反応が

他の犬よりも大きい子なんです」

 

そ・・・そうなのか・・・

 

今まで私はアーシーの

そういう態度を

『どの犬にも共通の問題』と

捉えていたのですが

そうではなかったということなのか・・・

 

なるほど・・・

 

じゃあアーシーは盲導犬に

なれない可能性もあるのか・・・

 

なんのかんので私はこれまで

そんな結果を想像したことが

なかったというか、アーシーは

絶対に盲導犬になるものとばかり・・・

 

しかし待てよ。

 

盲導犬候補生が

その育成過程において

『盲導犬として不適性』と

判断された場合、その理由が

『育成過程に問題あり

(パピーウォーカーが悪い)』では

なかった場合、つまり

『健康上の問題(パピー

ウォーカーは悪くない)』とか

そういう理由で

犬が盲導犬に慣れなかった場合、

犬の引取り権を最初に持つのは

パピーウォーカーだったような

そうではなかったような・・・

 

ここに来てまさかの

『アーシー、我が家に

永久就職』の可能性・・・?

 

しかしこの時の私は

ひたすら無表情を

貫いたのでありました、

その真意は、続く!

 

 

なお本日のアーシー写真は

先日小学生男子2名が

我が家に遊びに来てくれて

丸3日間散々犬と

遊び倒してくれた後の姿

 

そろそろ子供2人は

どこかに帰ってしまう・・・

 

もっと遊びたい・・・

 

でも疲れた・・・

 

でも遊びたい・・・

 

・・・という犬的葛藤が

よく出た表情だと思いませんか

 

過敏症のケのあるアナタも

そこらへんは鈍感で、なアナタも

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