冗談かと思っておりました
『復活祭(イースター)週末の雪』の
天気予報はどうやら本気であったらしく
・・・降っていますよ、白いものが・・・
まあ『本格的な降雪』というほどではないので
気楽に構えている私と夫(英国人)でございます。
いやだって前回のあの
洒落抜きの積もりっぷりを考えたら。
ところで前回のあの大雪は
スコットランドの物流に大打撃を与え
一時期店頭から牛乳だのパンだのが
消える騒ぎになったものですが
我らが隣人の羊飼い氏が夫に言ったには
「あの日、山を越えた向こうの村のスーパーで
牛乳を巡って乱闘が起きたの、知っている?」
「ら、乱闘?」
「そう。数に限りのある牛乳に
購買希望者が殺到し小競り合いが起きて
結局お店は一度入り口を閉めてお客を全員
外に出さなくちゃいけなかったらしいよ」
・・・英国及びスコットランドの人々が
牛乳を深く愛しているのは理解している私ですが
そして災害時に『買占め』が起きがちなことは
地震国日本出身者として
幾度か経験している私ですが、
しかし乱闘って・・・原因が牛乳って・・・
乱闘参加者の性別・年齢は謎ですが
「俺にそれを寄こせ」
「それは私が先に触った」
みたいな感じに取っ組み合いをしていて
ふと我に変える瞬間というものは
果たしてないものなんでしょうか。
だって原因は牛乳ですよ?
英語の発音だと『ミルク』ですよ?
そりゃどうしてもその日のうちに
牛乳を買わないと大変なこともある
家庭が存在することはわかるんです、
小さなお子さんがいるとか
特別な食餌療法を実践しているとか。
でもそれ以外の人々は何故そこで
『1週間くらい我慢する』という
理性の選択を無視するのか。
・・・ああ、牛乳は口実で実際は
雪で外出もままならないし
なんか退屈だし、よし、これはいい機会、
ちょっと大声を出して体を動かして
鬱屈を発散しよう、みたいな?
それは何というか・・・
よかった、私と夫の共通言語が
日本語でなくて英語で本当に良かった、
だって日本語でこんな会話をしていたら
私はほとんど反射的に
「どういう民度だ」みたいなことを
口走っていたと思うんですよ。
でも嫁ぎ先のその社会に対して
そういうことを言っちゃうのって
それはマナーとして駄目なことでしょ?
ここはあえてツッコミなしで
会話を続けるのが正解よね、と
理性の力で口を閉じた私に
しかし夫が自嘲的な笑顔で
「いやはや英国は野蛮な国ですねえ」
・・・私はそれ、
自分では言っていませんからね!
このスーパーでの事件を以来
『牛乳戦争(ミルク・ウォー)』と
呼んでいる我々ですが
しかしそんな悲しい争いの裏で
心温まる美しい事例も生じていたのです。
これも羊飼い氏が
我々に教えてくれたことなのですが、
本格的に雪が積もりはじめたその翌日、
公道が完全に雪に埋もれ
除雪のめどなどまったく立たず
しかも天気予報はさらなる天候の悪化を
告げるばかりの絶望的な状況の中
我らの隣人の一人の殿方が
ソリを肩に担いで山向こうの村に
徒歩で向かったのだそうでございます。
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その距離、約6マイル(10キロ)。
雪の高さは膝より上、横殴りの風はあくまで強く、
しかも新しい雪が空からどんどん落ちてくる。
しかし彼はその道なき道を踏破すると
村で牛乳を10本ほどと缶詰などを買い
ソリにそれらを載せてまた6マイルの道を戻り、
そしてそうやって手に入れた品々を
近所に住むお年寄り・療養中の人の家に
配って歩いたのだそうでございます。
・・・そういうことはね、なかなかね、
出来そうで出来ないことだと思うんですよ!
「なんか感動しちゃったな。あの人が
親切な人だってことは知っていたけど
あの雪の日にそういうことをする機転はすごいな」
「しかも勇敢ですよね。あの吹雪の中を
往復12マイル、しかも帰り道はすっと上り坂が
続くんですよ?素晴らしい勇気と体力です」
「・・・あれ、しかし待てよ、牛乳を
まとめて購入って逆算するとあの村の
例のスーパーで乱闘が起きたのは
ちょうどそのあたりの日付じゃないか」
「まあ彼なら間違いなく
乱闘の勝者になれるでしょうし」
ええ、その隣人氏、
優しいし親切だしなんですけど
一見したところはかなり強面というか・・・
嫌ね、人間顔じゃないわ、
でもパブの隅っこにああいう人が座っていたら
ひと暴れしてやろうみたいな魂胆で
お店に入ってきた若者はその顔を見るなり
静かになること間違いなし、みたいな・・・
さてそんなわけで本日の結論:
雪の日の牛乳に絡んで逸話を持つなら
どうせなら『スーパーで乱闘』よりも
『ソリで往復12マイル』を選びたい。
災害時には人の本性が現れる、というのは
真実なのかもしれないと思う私です。
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