保護犬収容所の建物内に

足を踏み入れた私と夫(英国人)。

 

(昨日の記事の続きでございます)

 

建物は小ぶりな体育館ほどの

大きさで、中央に運動場、

そして壁沿いに犬の『個室』が並んでいる。

 

この『個室』も下手なカプセルホテルより

よっぽど広い作りになっていて、

むっとする『犬のニオイ』が屋内には

たちこめているものの

床はどこもきれいに洗ってある。

 

カゴに入った犬のおもちゃや

棚に重ねられたタオル、

それぞれの個室に置かれた

犬用のベッドなどもとてもキレイ。

 

・・・運営者の根性を感じましたよ!

 

さてそこで犬たちです。

 

注:この子は羊たちです

 

案内してくれたお姉さんは

建物の入り口で引き返し

「好きなだけ時間をかけて

犬を見てくれていいですからね」

 

ありがとうございます、と本腰を入れて

犬を見ることにした我々ですが

・・・あれですね、私がこれまでの

人生で出会ってきた犬はどの子も

『幸せな犬』だったのだなあ、と。

 

いえ、ほら、そういう犬は結局

どの子も『飼い犬』だったわけでしょう?

 

つまり『帰属』がはっきりした立場の犬で、

そういう犬はとにかく存在の根底に

『私の飼い主はこの人です』という認識がある。

 

その認識が自己確認と自信につながる。

 

目の奥に安心感があるというか。

 

この施設にいる保護犬たちには

残念ながらその眼差しがない。

 

どの子も念入りにブラッシングされ

きれいな個室とベッドを与えられ

健康状態を最良に保つため

適切な餌を適切な量与えられ

適切な運動をさせてもらっているのは

素人目にも明白、にもかかわらず

すべての犬がどこか

不安そうな目つきをしている。

 

悲しそうな顔をしている。

 

個室を覗き込むと

犬は入り口に駆け寄ってきて

そして教本通りの

『お座り』の姿勢を取る。

 

背中を伸ばし、顎を上げ、

こっちの目をまっすぐに見る。

 

そうすればきっと人間に

「よしよし!よく出来た!いい子だ!」と

言ってもらえるに違いない、という期待を込めて。

 

もしかするとそこから続けて

「じゃあ今日からうちの子になりなさい」と

言ってもらえるかもしれない、と切望して。

 

そしてずっとこっちを見ている。

 

不安そうに鼻と体を震わせて

それでも『お座り』の姿勢を取り続ける。

 

「よしよし、君がいい子なのはよく分かった」

 

そう言って我々が『次の個室』を見るために

移動しようとすると、『お座り』の姿勢はそのままに

キューウ、キューウという

哀切この上ない鳴き声を上げはじめる。

 

慌てて私がそちらの個室の前に戻ると

犬は嬉しげに尻尾を振り、

『お座り』の背筋をいっそう伸ばす。

 

すると『次の個室』で

すでにお座りをしていた犬が

何故自分は注目してもらえないのか、と

キューウ、キューウとすすり泣きはじめる。

 

・・・これをね、小さな体育館1周ぶん

繰り返したわけです、我々は。

 

最後のほうはもう犬によっては

遠吠えに近い鳴き声を上げはじめ、

もうね、結局どの犬も『自分の置かれた状況』を

嫌というほど理解しているんですよ、あれは。

 

私と夫の訪問は、うまくいけば

自分が再び『飼い犬』になれる好機、

もう一度帰属を獲得し

自信と安心を手にできる可能性である、と

どの犬も本能的にわかっているんです。

 

私は打ちのめされました。

 

犬たちの必死さというか、

絶対的な不幸のありように。

 

繰り返しますがこの施設の運営者は

これ以上ないほどに

この犬たちを世話しているんです。

 

それでもそれだけでは

この犬たちを幸せには出来ないんです。

 

「夫よ、どうしよう、私は正直

この状態では犬を選べないよ。

どの子を選んでも他の子に対し

申し訳ない気持ちになるよ」

 

「わかります。今日の僕たちは

心構えが足りませんでした」

 

そして我々は逃げるように

その建物を後にしたのでございます。

 

続く。

 

 

でも逆に言えば

我々の周囲にいる『犬飼い』は皆

素晴らしい飼い主であったわけですよ

 

あんな目つきをした犬、

私はこれまでに絶対に

出会ったことがなかったです

 

そりゃダイエットを強制されて

不満そうな犬だの

散歩を途中で切り上げられて

納得いかない顔をしている犬だの、

そういう犬は時々見ましたよ?

 

でもどの犬もあそこまで

不安そうな目はしていなかった

 

なんか見つめ合っていると

悲しいを通り越して

こっちまで怖くなるような

そういう絶望を秘めた目つきでした

 

ああいう目をした犬の数が

少しでも減ることを願いつつの

1クリックを

人気ブログランキングへ

 

AD

リブログ(13)

リブログ一覧を見る

コメント(19)