トランプ政権がシリアのアサド政権を空爆しました。
アサド政権が使用したとみられる化学兵器に対する人道的見地からの制裁の意味が強いと報じられています。
これに対してアサド政権を支援する側に立っているロシアは非難声明を出していますが、実際のところはどのように分析しているのでしょうか。
ロシア発の情報サイトとして継続してウォッチしているロシアNOWは次のように分析しています。
今回の空軍基地への攻撃は、トランプ大統領が感情に流されて行ったものだと述べる専門家もいるが、まさかそんなことはあるまい。攻撃の日時があまりにも巧妙に選ばれているし、ロシアと直接の衝突が生じる可能性も最小化されているからだ。例えば、ロシア軍は攻撃についての予告を受けており、それによって同盟国シリアの軍隊も、予め軍事施設の避難を始めていたので、実質的な損害は避けられた。
ロシアNOWの分析を信用するのであれば、今回のシリア空爆は計算され尽くしたうえで実行されたものと相手側にも受け止められているようです。
正直なところを言えば、今回のシリア空爆の持つ意味や今月中にも起きるのではないかと懸念されている朝鮮半島有事について、どのような心構えでいればいいのか、日本として何を、どこまですることができるのか、すべきなのか、わかりません。
ですが、事実として一つ言えることがあるとすれば、トランプ政権は「戦時内閣」の様相を呈してきているのではないかということは言えるのではないでしょうか。
■ベトナム戦争の反省
なぜそのように感じたのか。
それは時期を同じくして読んでいた奥山真司さん訳の『クラウゼヴィッツの「正しい読み方」』 http://bit.ly/2pd8NiW
にベトナム戦争に関する論考が掲載されていたからです。
それはハリー・サマーズ氏によるベトナム戦争に対する論考で、ハマーズ氏によれば、ベトナム戦争の失敗の原因の一端に指揮系統が統一されていなかったこと、すなわち
「ベトナム戦争中の歴代政権たちは自らを戦時内閣とはせずに、平時の意思決定プロセスをそのまま維持していたことが挙げられる」との指摘があったのです。
上述したように、今回のトランプ政権によるシリア空爆が果たして効果があったのか、なかったのか、それとも逆効果だったのか、さらに言えば北朝鮮や中国・ロシアに対してどのような影響を及ぼすのか私には見当もつきません。
■もしトランプ大統領に「共に立ち向かおう」と手を差し伸べられたなら-
それでもその意思決定のスピードという意味においては「戦時内閣並みであった」と言えるのではないでしょうか。
トランプ氏が大統領になる前に出版された江崎道朗先生の著書『マスコミが報じないトランプ台頭の秘密』 http://bit.ly/2eevoM7 の書評を書いたときに、次のようなことを書いてみました。
もしトランプ大統領に「共に立ち向かおう」と手を差し伸べられたなら-
“差し出されたその手を力強く握り返すことのできる手”を日本は持っているのでしょうか?
もしトランプ大統領に「共に立ち向かおう」と手を差し伸べられたなら―
「おカネ(予算)がありません」と拒否するのでしょうか?
もしトランプ大統領に「共に立ち向かおう」と手を差し伸べられたなら―
それとも、「F・ルーズヴェルト政権下のニューディーラー達(=GHQ)が制定した“日本国憲法”で制約されているので共闘できません」と拒否するのでしょうか?
いつも楽しみに視聴しているチャンネルくららの緊急特番番組では、細川内閣を例に出し、「シリア空爆は自分の問題」との言葉で締めくくられていました。
楽しく学ぼう!シリア現代史特別編:「シリア空爆を語る!」【チャンネルくらら・4月7日配信】
「もしトランプ大統領に「共に立ち向かおう」と手を差し伸べられたなら-」
この問いに対して日本はどのように答えるのでしょうか。
「平時の意思決定プロセスの積み重ね」という選択で対応しようとでもいうのでしょうか。
今まさにこれらの問いに日本はどのように答えるべきか、決断を迫られているのではないでしょうか。
確かに防衛費、防衛力の増強は必須です。
しかしそれを「増税で達成しよう」などという、財務官僚の手の平で踊っているような愚策で行う事だけは間違っていると言えます。
PS:
サマーズ氏の説く戦時の内閣をイメージするにあたってはベン・ホロウィッツ著『HARD THINGS』で描かれている「戦時のCEO」が参考になりました。