異例の2020年シーズンが終了したNASCAR Cup Seriesですが、2021年の体制も概ね出そろいました。というわけで、おさらいとして2021年の主な体制の情報を記事化しておきます。もちろんソースの大半はJayski's Silly Season Site https://www.jayski.com/ によります。去年のやつをとりあえずコピペしたら、去年うっかりリチャード ペティー モータースポーツを書き忘れてることに今気づきました^^;

 
11/21 No.37  No.78の情報を更新
11/26 オースティン シンドリックとその他細かな不具合の修正
12/4  コリー ラジョーイ、コウリッグ レーシングの情報を更新

 

ドライバー名の前の記号は

〇=新人

△=移籍

□=復帰

ドライバー名の後の()内の数字は推定される契約期限

 

チーム名の前の記号は

〇=新規参戦

◆=体制縮小

×=撤退

 

 Joe Gibbs Racing/Toyota

 11 Denny Hamlin(2021)

 18 Kyle Bush(2022)

 19 Martin Truex Jr.(2021)

△20 Christopher Bell(2021)

 

 ジョー ギブス レーシングはデニー ハムリン、カイル ブッシュ、マーティン トゥルーエックス ジュニアの3人は変わらず。リバインファミリーレーシングの撤退により、チーム傘下の若手ドライバーからエリック ジョーンズとクリストファー ベルの2択を迫られる形となり、ジョーンズを放出してベルが加入しました。

 ベル以外の3人は来年、ハムリンが40歳、カイル36歳、トゥルーエックス41歳とけっこう高齢化。ハムリンは新チームとの兼ね合いもあり、2022年以降どうするのか気になるところです。また、カイル担当だったクルー チーフのアダム スティーブンスがベルの担当、カイルは新たにベン ビショーと組むことが発表されています。

 

 

〇23XI Racing/Toyota

△23 Bubba Wallace

 

 NBAの元スター選手・マイケル ジョーダンと現役ドライバーであるハムリンが設立した新チーム。読み方は『トゥエンティ― スリー イレブン レーシング』。ドライバーには唯一の黒人系ドライバーであるバッバ ウォーレスを起用しJGRと提携。LFRの結果を考えれば車両そのものは比較的すぐに競争力を発揮することを期待されるます。それだけに、BLM運動で一気に知名度が上がったウォーレスにはここからは結果を求められる立場になると思われます。

 

 

 MBM Motorsports/Toyota

 66 Timmy Hill

 

 従業員が30人程度、参戦チームの中でも最小規模と言われるMBMモータースポーツ。多くのチームが何かしら主要チームと提携関係を結ぶ中で彼らはどことも手を組んでいない独立系でもあります。今のところティミー ヒルのまま2020年と同様の参戦となりそうです。MBMはMotorsports Business Managementの略です。

 

 

 Stewart-Haas Racing/Ford

    4 Kevin Harvick(2023)

  10 Aric Almirola(2021)

〇14  Chase Briscoe

  41 Cole Custer

 

 スチュワート-ハース レーシングはケビン ハービックが2023年まで契約を延長。エリック アルミローラは今季で契約切れでしたが、とりあえず1年延長した可能性が高いと見られています。

 クリント ボイヤーが引退して、Xfinity Seriesからチェイス ブリスコーが昇格。ブリスコーはシリーズ最多の9勝を挙げ、シリーズ4位の好成績を挙げた26歳で、昨年のコール カスターに次ぐ2年連続の新人起用です。そのカスターはデビュー年で1勝を記録してプレイオフに進出、新人では唯一だったため、ほぼ自動的に2020年のSUNOCO Rookie of The Yearに選出されました。ただ、決勝平均順位19.2はやや安定感不足を示しており、2年目の課題となりそうです。

 

 

 Team Penske/Ford

   2 Brad Keselowski(2021)

 12 Ryan Blaney(2022)

 22 Joey Logano(2023)

   ??  Austin Cindric

 

 チーム ペンスキーはブラッド ケゼロウスキー、ライアン ブレイニー、ジョーイ ロガーノで4年連続変わらず。2020年に向けてクルー チーフの総入れ替えを行い、3人それぞれ結果を出して2人がチャンピオンシップに進む結果を残しました。

 ケゼロウスキーは2020年で切れる契約を、報道によれば1年契約で延長。このタイミングでの単年契約は双方に何かしら意味がありそうで、2021年はケゼロウスキーの動向に関するニュースがシーズン中から飛び交っても不思議ではありません。

 ブレイニーは複数年の契約を春先にかわしたため、少なくとも2022年まで、ロガーノは既に結んだ長期契約が2023年までありこの2人は当面動きが無さそうです。

 そして、2020年のXfinity Seriesチャンピオン、オースティン シンドリックは2022年にウッドブラザーズからカップシリーズに参戦することが既に発表され、2021年はスポット参戦することも明らかになっています。シンドリックがペンスキーから出るのか、あるいはウッドブラザーズか、他チームか、詳細は不明ですが、ペンスキー傘下のドライバーで、一応何かしら出場するであろう期待の若手なので、便宜上ペンスキーのところに名前だけ記載しておきます。

 

 

 Wood Brothers Racing/Ford

 21 Matt DiBenedetto(2021)

 

 ペンスキーと提携した『ペンスキーの4台目』のウッド ブラザーズ レーシング。マット ディベネデトーは、本人のコメントから「2023年まで毎年の契約オプションがある」ことが明らかになりましたが、既に2022年にオースティン シンドリックの起用が発表されており、2021年限りでの離脱が決定的です。未勝利ながらプレイオフに進出、最後の3戦は全てトップ10で選手権13位、と一定の結果を残しただけに、2021年は自身の初勝利と、チームの通算100勝目を達成、それを置き土産に他の強豪チームへの移籍を模索したいシーズンです。

 

 

 Roush Fenway Racing/Ford

   6 Ryan Newman(2021)

 17 Chris Buescher(2021)

 

 ラウシュ フェンウェイ レーシングはベテランのライアン ニューマンがしぶとく残留の見込み。デイトナ500で大クラッシュにより負傷し3戦を欠場した2020年でしたが、元々の報道から契約が2020年+オプション1年だったとみられ、2021年が現行契約での最終年と思われます。

 クリス ブッシャーも契約年数は不明ですが、特に離脱の報道も無く残留が濃厚。JTGDからの移籍1年目は2回のトップ5フィニッシュがあったものの、シリーズ21位、決勝平均順位19.6がいずれも移籍前を下回ってしまいました。ニューマンとの相対的関係で見てもブッシャーがそこまで悪いとは思わないので、チームとしてかなり厳しそうな雰囲気です。チームは長年クルー チーフ等をつとめてきたジミー フェニッグが上級副社長に就任する人事を発表しています。

 

 

 Front Row Motorsports/Ford

  34 Michael Mcdowell

  38 ???

 

 フロント ロウ モータースポーツは現時点で具体的な情報はありませんが、ジョン ハンター ネメチェックが離脱することが11月16日に明らかになりました。マイケル マクダウルは残留の可能性が高いようです。

 

 

 Hendrick Motorsports/Chevrolet

□ 5  Kyle Larson(2022)

   9 Chase Elliott(2022)

 24 William Byron(2022)

 48 Alex Bowman(2021)

 

 ヘンドリック モータースポーツは7度チャンピオンを獲得してきたジミー ジョンソンが引退。アレックス ボウマンがNo.88からジョンソンの後釜としてNo.48に変更。そしてNo.88はNo.5にリナンバーし、ここにカイル ラーソンを起用することになりました。なぜわざわざこうするかと言えば、No.48はAllyのスポンサー契約が2023年まである一方、No.88はNationwideのスポンサー契約が切れて大口のスポンサーが無いためと思われます。

 ラーソンはパンデミックによるシーズン中断中、iRacingのイベント内で差別的単語をうっかり連呼してチップガナッシを解雇され、NASCARからも処分を受けていましたが、2021年1月1日付で解除されることが決定しています。その際にスポンサーを失い、シボレーも支援打ち切りを表明、元No.88自体の状況も相まって、現時点でこの車はスポンサーが未定の状態です。本来はチャンピオンを争える有力な若手の一人と言われており、この騒動が無くてもジョンソンの後継として移籍が噂されていましたが、果たして騒動を経てドライバーとしてどうなるのか注目です。

 2020年のチャンピオン、チェイス エリオットは人気、実力とも申し分なく、名実ともにチームの新たな顔となりそうです。ウィリアム バイロンも初勝利を記録してプレイオフに進出、2021年までだった契約を9月の段階でさらに1年延長しており、順調に育っていると言えます。

 

 

 Chip Ganassi Racing/Chevrolet

   1 Kurt Busch(2021)

△42 Ross Chastain

 

 チップ ガナッシ レーシングは2020年のシーズン中断中にラーソンを急きょ解雇せざるを得なくなり、以後は引退していたマット ケンゼスを復帰させてシーズンを終えましたが、2021年はロス チャステインと契約しました。チャステインは2020年はニューマンの代役でRFRから3戦、スパイアーから5戦にスポット参戦しており、フル参戦は2019年以来2シーズンぶり、通算3シーズン目。以前はプレミアム モータースポーツで下位を走っていたので、上位チームからの参戦は初めてとなる28歳です。

 カート ブッシュは2021年までの契約と見られ、インタビューで来季限りでの引退について可能性が半々であることを示唆、現役最後のシーズンとなる可能性がありそうです。

 

 

 Richard Childress Racing/Chevrolet

  3 Austin Dillon

  8 Tyler Reddick(2021)

 

 リチャード チルドレス レーシングはまだ正式発表は無いものの体制継続が濃厚です。オースティン ディロンはテキサスで2年ぶりに勝利を挙げると、プレイオフのRound of 16でも3戦連続の好成績で覚醒したか?と思われましたが、その後は元に戻ってしまいました。

 タイラー レディックは新人ながら9度のトップ10フィニッシュなど平均順位17.5を記録。プレイオフを考慮しない単純なポイント合計であれば、カスターを100点以上上回る『裏の新人王』でした。ジョンソンの後釜として1年でヘンドリックに引き抜かれる噂も出た期待の逸材です。

 

 

 Richard Petty Motorsports/Chevrolet

△43  Erik Jones

 

 リチャード ペティー モータースポーツはウォーレスの残留をめぐって、オーナー権をウォーレスに一部渡す、トヨタに変更する、ハムリンとマイケル ジョーダンが出資する、など様々なうわさが飛び交いましたが、結局それらが新チームとして話が着地。蚊帳のそとみたいになってしまいましたが、新たなドライバーとしてジョーギブスから切り捨てられた形のエリック ジョーンズが加入しました。

 2014年の夏のタラデガでアルミローラが勝って以来優勝はなく、過去3年はいずれもトップ5フィニッシュが1回だけというチームに、JGRで通算2勝を挙げ、過去3年で28回のトップ5フィニッシュがあるジョーンズがどのような結果を残せるのかは2020年の注目点の1つです。

 

 

 JTG Dougherty Racing/Chevrolet

  37 Ricky Stenhouse Jr.(2021)

  47 Ryan Preece

 

 JTG ドアティー レーシングはリッキー ステンハウス ジュニアが2021年までの契約と思われるので残留、ライアン プリースもラジオ番組で2021年の残留を認めたため、体制が変更されない見込みです。

 移籍1年目のステンハウスは3度のトップ5で平均順位22.6、2年目のプリースは24.3、いずれも8回のDNFと事故が多く結果が残りませんでした。数字だけを見れば、2019年にはブッシャーが平均順位17.8、選手権20位とチーム史上最高の成績だったものが、2020年はステンハウス24位、プリース29位と後方グループ。チームがフル参戦を開始した当初の水準に戻ってしまう厳しいシーズンとなっただけに、体制にてこ入れが必要かもしれません。

 

 

 Starcom Racing/Chevrolet

   00 Quin Houff(2021)

 

スターコム レーシングは2021年までの2年契約でクイン ハウフと契約しているため、正式な発表はありませんが現状維持と思われます。チームはフル参戦3年目、ドライバーを年間で固定しては2年目でしたが、ハウフは選手権33位でフル参戦ドライバーの中では最後尾でした。

 

 

 Rick Ware Racing/Chevrolet&Ford

 15  Brennan Poole?

  27  J J Yelly?

        Reed Sorenson?

 51 Joey Gase? 

  53 Cody Ware?

    Garett Smithley?

    James Davison?

    Josh Bilicki?

 

 リック ウェアー レーシングは元々No.51、52、53の3台でしたが、2020年の途中にプレミアム モータースポーツを買収し、No.15をそのままプレミアムから継続使用、プレミアムのもう1台だったNo.27はNo.52をリナンバーする形で使用する4台体制となりました。(ただし2020年のNo.15の見た目上の運営はプレミアムのまま)

 色々と寄せ集めたため、チームはフォードとシボレーを併用、ドライバーもスポンサーとの兼ね合いでコロコロと変わるため、どの番号に誰がいつ乗るかは実際に始まってみないと分かりません。

 

 

 Spire Motorsports/Chevrolet

△ 7 Corey Lajoie(2022)

  77  ??? 

 

 スパイアー モータースポーツは元々プレミアム モータースポーツと提携していたので、2020年途中から実質的にリックウェアーレーシングと同門という形になりました。そのため、No.15、27、51、53の4台とNo.77でドライバーの顔ぶれは行ったり来たりしています。

 チームは撤退したリバインファミリーレーシングのチャーターを購入し、コリー ラジョーイがNo.7でこのシートに収まることが発表されました。複数年契約を結んだとの情報なので、少なくとも2022年までの契約と考えられます。

 No.77は、当初ジャスティン ヘイリーも候補とみられていましたが、コウリッグレーシングからエクスフィニティ―にフル参戦しつつカップ戦にスポット参戦する可能性が高まっています。そのため、誰が乗るのか現状予想があまり立っていないようです。

 

 Live Fast Motorsports/Ford

  78 B J McLeod

 

 パンデミックからのシーズン再開のタイミングで参戦を開始した2020年の新規チーム・B J マクラウド モータースポーツ。Xfinity Seriesで活動しているところからの拡大という形でしたが、2021年に向けて撤退するジャーメイン レーシングのチャーターを取得。チーム名を『ライブ ファスト モータースポーツ』と改め、スチュワートハースと提携することが発表されました。

 オーナーであるB J マクラウドがドライバーを務めます。このチームには、2018年にFRMからエントリーしたものの、シーズン終盤に体調不良、結果的に原因不明の脳の一時的な障害によりドライバーとしての経歴を終えることとなったマット ティフトも共同オーナーとして参画しています。

 

 

〇Trackhouse Racing Team/Chevrolet

△99  Daniel Suárez

 

 2021年の新規参戦チームがトラックハウス。元ドライバーで起業家でもあるジャスティン マークスが設立した新チーム。STEM教育という、科学・技術・工学・数学の4つの教育分野を横断的に学んでIT化・グローバル化する社会に適応できる人材を育成する考え方の教育プログラムと連携して、STEMと共通理念を持つ企業の商品の購入を進めるような広告宣伝を行う、という、独創的なチームの運営方針を掲げています。カー ナンバーの99はかつて99を背負い人気を誇ったトップ ドライバー・カール エドワーズに敬意を表して選んだとしています。

 ドライバーにはゴーントブラザーズを離脱したメキシコ人ドライバーのダニエル スアレスを起用、リチャードチルドレスと提携してRCRの施設内に設備を構え、スパイアーのチャーターを借りてフル参戦を予定しています。

 

 

〇Kaulig Racing/Chevrolet

  16  Justin Haley?

       A J Allmendinger?

 

 エクスフィニティ― シリーズに参戦しているコウリッグ レーシングが2022年からのフル参戦を念頭において、2021年にスポット参戦する意向です。スーパー スピードウェイとロード コースの全レースを予定しており、エクスフィニティ―でドライバーを務めるジャスティン ヘイリーとA J アルメンディンガーがそれぞれSSWとロードコースを担当する可能性が高いとみられています。

 

 

GoFas Racing/Ford

 32 ???

 

 ゴーファス レーシングはフル参戦からスポット参戦へと体制を縮小することが発表され、5~6戦の参戦を考えているとしています。ラジョーイは早い段階でチームの離脱が発表されており、ライアン エリスがスポットのドライバーではないか?とされています。ただ、スポンサーを含め多くは未定です。

 

 

Gaunt Brothers Racing/Toyota

 96 ???

 

 ゴーント ブラザーズ レーシングは2020年にダニエル スアレスとともにフル参戦(ただしデイトナ500は予選落ち)しましたが、2021年はスポット参戦へと戻り、スアレスの離脱も発表されています。もしスポンサーを持ち込んでくれるドライバーがいればフル参戦も、という状態ですが、現状未定のままです。

 

 

× Leavine Family Racing/Toyota

 

 リバイン ファミリー レーシングはジョー ギブス レーシングと提携して『JGRの5台目』の役目も担いつつ活動してきましたが、COVID-19パンデミックの影響で財政に大きな打撃を受け、残念ながら2020年限りでチームは解散となりました。オーナーのボブ リバインがチームの消滅を知らせる会見で語った

「断腸の思いだ。(本業とレース活動のうち片方を手放すことは)自分の子供が2人いて、そのうちの1人を殺すようなものだ」という言葉は、多くの人の心に刺さったと思います。

 

 

×Germain Racing/Chevrolet

 

 GEICOカラーでおなじみだったジャーメイン レーシングでしたが、2020年を最後にチームは売却されて撤退となりました。チャーターは23XIへ、設備はトラックハウスなどに売却されました。