2020 AUTOBACS SUPER GT Round4 FUJIMAKI GROUP MOTEGI GT 300km RACE          

ツインリンクもてぎ 4.801km×63Laps=302.463km                                

GT500 class winner:KEIHIN NSX-GT 塚越 広大/Bertrand Baguette

 (KEIHIN REAL RACING/Honda NSX-GT)

GT300 class winner:LEON PYRAMID AMG 蒲生 尚弥/菅波 冬悟

  (K2 R&D LEON RACING/Mercedes AMG GT3)

 

 SGT第4戦もてぎ、近年は最終戦で250kmレースが定着していましたが今年は300kmで、最終戦では無いので

久々にウエイトを積んでのレースです。JGTC時代からのイメージだとこっちの方が馴染みがあります。

 

 予選は雨が降ったり止んだりの難しい条件、GT300のQ2グループBのセッションから雨が降り始め、

タイヤ選択が分かれる微妙な条件でした。タイム水準的にはスリックだけど、ウォーマーが無いので

時間内に熱が入ってくれるのか確信が持てない、という状況で、シンティアム・アップル・ロータスがスピンして

赤旗の原因を作って最後部スタートが確定する波乱も発生。結局RUNUP RIVAUX GT-Rがチームとして

初のPPを獲得しました。青木 孝行は2009年最終戦もてぎ以来のPP。ダイシン アドバン Ferrariで獲得し、

この時はRX7を0.4秒差で下して優勝しました。ここまで苦労していたHOPPY Porscheが2位、前戦でPPの

TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTの31号車が3位です。

2009年最終戦もてぎで勝利したダイシンフェラーリ

 

 GT500はQ1の最後にRedBull MOTUL MUGEN NSX-GTが飛び出して90度コーナーでスナーバックス入店。

チェッカーを迎えていたので黄旗2本振動でセッションは継続しましたが、MOTUL AUTECH GT-R、

CRAFTSPORTS MOTUL GT-R、リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rがタイムを更新。

一方でZENT GR Supraはきっちり減速。結果、計時上一旦はQ1落ちしたZENTでしたが、GT-R勢が

減速義務違反で記録抹消となったために結局は真面目が奏功してQ2に進みました。F1だとデータ上アクセルを

戻した形跡と言い訳ができると有効になるケースが多いですが、本来データ上でどうのこうのとかいうものではなく、

飛び出た車の安全に関わってるわけですから、完全にゆっくりと走らないと抹消になる方が妥当だと思いますね。

GT-RはこれによりQ1で全滅しました。

 

 そして正直者のZENTはQ2でも活躍、Q2はスリックでは厳しい状況でしたが、ZENTは2周してからレインに交換。

ライバルよりもウォームアップとアタック回数で劣る状態でした。それにもかかわらず立川 祐路が見事なタイムを

記録してPPを獲得しました。立川のコントロール力は見事ですね。ただ、アタックの最中に追いついてしまった

WedsSport ADVAN GR Supraをインから抜いた上に、抜く際に接触してしまいました。

これにより警告を受けましたがタイムは有効となりPP確定となりました。KEIHIN NSX-GT、ARTA NSX-GTが

2位、3位。NSXはFRになってももてぎで速そう( ゚Д゚)

 決勝も曇り空の中でスタート、GT500では5位スタートのModulo NSX-GTが1周で2つ上げて3位に浮上。

ZENT、KEIHIN、Moduloの上位3台が接近してのレースになります。KEIHINのベルトラン バゲットがやたら

パッシングして煽り運転してますが良い子はマネしないように。3位のModulo・伊沢 拓也は少しずつ

ついていけなくなっている様子です。

 一方GT300はRUNUP GT-Rがスタートから快走、SUBARU BRZ R&D SPORTがプリウスを抜いて3位に上がり、

HOPPYからの2位以下の集団が6台の争いです。

 

 8周目、GT300の大集団に追いついたところでKEIHINが隙をついてZENTをかわしてトップへ。

前に出たバゲットはペースが速く、この後GT300は次第に上位の空いたグループになるため、周回遅れに

詰まるようなこともなくリードを広げ始めます。

 一方、争ったタイミングで一旦前の追いついたModuloでしたが、自らも集団に詰まって、逆に4位・5位が接近。

しかし10周目、その4、5位で事件が発生。周回遅れにされたT-DASH ランボルギーニ GT3が見切りを誤って

自分からARTA NSX-GTに当たりに行った格好になりスピン。

芝生上でヘアピンを直行しWedsSportスープラに直撃。2台とも大破しSCとなります。

 さらにSC中に事故現場で渋滞が発生したようで、隊列の最後尾についたStudie BMW M6 GT3の山口 智英が

アールキューズAMG GT3に追突し両車大破。デブリーも散乱してさらにコース上が汚れてしまいました。

今のところどういった経緯で渋滞に至ったかは分かりませんが、公開された車載映像の中で、GT500で

10位だったRAYBRIG NSX-GTが通過する段階でかなり前に詰まって減速気味でした。これが波及して後方で

最終的に止まるほどの渋滞になったと推測できますが、作業がコース側に及んで誰かが減速する要因を

作ってしまったのか、あるいはタイヤの温度維持に夢中になった誰かが追い付きすぎて急ブレーキをかけたのが

要因だったのか、詳細は分からないですね。テレビ東京のSUPER GT+でやってくれればいいんですけど、

こういう不手際のような場面は基本的に無かったかのようにしてしまうので期待できないですが^^;

山口はこれにより危険なドライビング行為で90秒ペナルティー(リタイアにより留保)と罰金10万円となりました。

 

 なお、中継では4周目にマッハ車検 GTNET MC86 マッハ号がスピンしている映像があり、きちんと

映像が捉えきれておらず「単独スピン」とされていました。ただ、実は山口は記録によればドライブスルーの

ペナルティーをもう1回受けており(確かに急に40秒ほど下がっている)、状況からしてこのマッハ号のスピン原因、

接触相手だったという可能性が高そうです。SUPER GTの中継も、他の主要なレースと同様に、

レース コントロールからのメッセージを画面に表示するようにしてほしいですね。

 

 

 15周目にリスタート。KEIHINとZENTは早々にお互い単独走行、3位のModuloはペースが上がらないようで、

次第にこの後ろに渋滞が発生し、19周目にこれが決壊。RedBull MOTUL MUGEN NSXとカルソニック GT-Rに

相次いで抜かれ、後ろはほぼGT500の残り全車がくっついてしまっています。カルソニックは12位スタートから

コース上で抜きまくって既に4位( ゚Д゚) 少しずつ離脱していったこの大集団、結局23周目から各車ピット サイクルに

入って一旦解散となりました。

 

 GT500リーダーのKEIHINは25周を終えてピット。この頃ピット時期が重複して、出入りで混乱も見られます。

サイクルが一巡するとKEIHIN、ZENT、RedBullのトップ3の後、Moduloがまた4位。そして5位のカルソニック以降が

またハゲしい争いになってしまい、このスティントは長いのにみんなガシガシやり合います。タイヤ大丈夫?

混戦の中で接触もあり、ARTAとリアライズが共倒れになってしまいました。

 前戦ではGT300でARTAがリアライズに追突しましたが、今日はGT500でリアライズがARTAに追突。

ARTAはこの前からペースが上がっておらず、10周目のウラカンとの接触でトラブルを抱えたのではないか?

と思われましたが、事後情報ではそれよりも前の段階から既に車が真っすぐ走っていなかったそうです。

 また、平峰 一貴が大活躍のカルソニックでしたが、結局後半に佐々木 大樹がタイヤのピックアップが

要因と思われる大苦戦でまさかの12位に終わりました。

 

 一方GT300はピット時期と作戦がバラバラになり、入った組ではタイヤ無交換のLEON PYRAMID AMGが先頭。

RUNUPは青木でできるだけ長く走りたいので一番長く引っ張っています。

 32周目、ようやくRUNUPもピットへ、四輪交換でLEONの前に一旦出ますが、タイヤが冷えている間に

ターン4で抜かれてこれで事実上の2位。あとは熱が入ってから柴田 優作が追えるかどうかです。

 

 このころGT500はModulo渋滞第2弾が登場しましたが、GT500では新人の大津 弘樹、さすがに伊沢先輩と

同じ粘りは見せられず、この渋滞は長くは続きませんでした。結局Moduloは2ピットになりました。

 

 44周目、6位を争っていたau TOM'S GR SupraとKeePer TOM'S GR Supra、チームメイト同士が、

重いハンデを背負った中でせっかく望外の点数を得られそうな状況だったのに、ターン5でハゲしく争いすぎて

軽く接触、auは右リアの車体の一部が破損しKeePerはスピン。これはやってはいけないですね。

そしてこの接触で落っこちた大きな破片が絶妙にライン上にあったため2度目のSCとなりました。

FCY制度があればSCはいらない案件でしたが、これでKEIHINの大量リードは幻に\(^o^)/

 

 この身内での接触、レース後も関口 雄飛とニック キャシディーの主張は平行線だったそうです。

確かに、あの狭い場所に、ましてや身内の争いで入っても仕方ないので、無理して入ったキャシディーは

置かれた立場からすると基本的に失敗だと思います。一方で、全く止まれないミサイルというわけでもなく、

一応車両長の中にきっちり潜り込んだキャシディーに対して、ターンで切り込んでしまった関口もそれは

同じだと私は思いました。「何で俺が引かなあかんねん」とは思うでしょうが、切り込んだってキャシディーは

目一杯のブレーキングなので、閉められたからさらに減速をして引ける状況ではなく、切り込めば高確率で

当たる状況でしたから、外に展開して回避すべき状況だったと思います。

 

 51周目にリスタート、残り13周のシュートアウトです。GT500は1回だけGT300と遭遇すると思われます。

KEIHINはすぐにリードを築いて安泰、一方GT300はタイヤ無交換のLEONにRUNUPが挑みますがペースが拮抗。

ここに後半絶好調、3位に来ていたJLOCランボルギーニGT3の小暮 卓史も後ろから狙っており気が抜けません。

しかしこのバトルの決着はあっさりとしたものでした。残り4周、RUNUPにトラブルが発生、あまりにも無情な

結末となりました。どうやらガス欠だったようです。思い返せば去年優勝目前でガス欠したのがLEONでした。

GT500はどうやっても隙が無いKEIHIN NSXが圧勝で今季2勝目、選手権でもトップに立ちました。

ウエイト48㎏と重い車であることも、FRであることすら忘れる見事な車でした。どうもホンダの車両は伝統的に

セッティングのおいしい部分が狭くて、外すと遅い傾向がありますが、今このチームは良い部分をきっちりと

把握している様子です。あとは富士できちんと戦えればタイトルをじゅうぶん争えるでしょう。

 

GT300はLEON AMG、もてぎで圧倒的に強くこれで3年で2勝、去年燃料が足りてれば3連勝だったんですが^^;

タイヤ無交換で戦えるのは同じパッケージで何年も戦って得たデータの賜物でしょうね。

2位にJLOCウラカン、3位にBRZが今季2度目の表彰台です。

 

 で、GT300はRUNUP以外にもガス欠車両が出てしまい、4位のPACIFIC NAC D'station Vantage GT3、

5位のGAINER TANAX GT-Rも最終周に失速。ヴァンテージは残り距離が長すぎて4位→18位へ転落、

GAINERは6位に落ちただけでなんとか済みました。ヴァンテージは燃料は残っていたので別の問題が

原因の可能性があるのでは、との事後情報です。

 

 今回SCが2回/9周入ったため、GT300とすれば当初予定よりレース距離が長かったのは確かです。

給油後に関して言えばSCは4周ほどですが、仮に予定より2周距離が伸びたとしても、SCが4周あるなら

レース中の倍の燃費で走っていれば差し引きゼロですから、本質的にそこまで影響したとは思えません。

最後にギリギリ足りないぐらいならまだしも、3周以上足りない、となると、根本的に何か計算ミスや

給油ミスがあったという気がします。想像以上に自分たちのペースが良すぎて燃料を使いすぎていた、

という可能性もあるかもしれません。

 

 GT500はスープラ無双、トムス無双にKEIHIN NSXが待ったをかけて面白くなりました。

GT300も常連のGAINER、LEONにBRZが続く選手権順位、そして今季はポイント×3倍のウエイトなので、

軽い人には大チャンスです。次戦は今季3度目の富士、観客が入る予定です。