Formula 1 Pirelli British Grand Prix 2020
Silverstone Circuit 5.891km×52Laps=306.198km

winner:Lewis Hamilton(Mercedes-AMG Petronas F1 Team/

               Mercedes-AMG F1 W11 EQ Performance)

 

 F1は2度目の3連戦、イギリスから始まります。このレースを前にセルヒオ ペレスがまさかのCOVID-19感染、

レース出場が不可能となり、ニコ ヒュルケンベルグが代役として出場。

結果から言えば、緊急という条件下できちんと走っていたものの、トラブルでまさかの決勝スタートできず(´・ω・`)

 

 レースはまさかの大荒れになってしまいましたが、ルイス ハミルトンが執念と言える勝利を挙げました。

 予選、ハミルトンが圧倒的タイムでPP獲得、バルテリ ボッタスですら0.3秒置いてけぼり。

3位のマックス フェルスタッペンは1秒差と力の差を感じます。

ちなみに、昨年比でハミルトンは約0.7秒、ボッタスは0.4秒速くなりましたが、フェルスタッペンは約0.05秒、

4位のシャルル ルクレールも0.25秒遅くなっています。開幕戦もそうでしたが、メルセデスはトップにいながら

まだ伸びしろを見つけて積み上げて来ているのに対し、追う側のレッド ブルは横ばい、フェラーリは後退、

という状況がここでも見て取れるように思います。

 

 決勝、全く”タメ”の無いシグナルで虚を突かれたようにハミルトンは少し出足が遅れてターン1でボッタスと

並走しましたが、お互い無理せず順位を維持。シャルル ルクレールとフェルスタッペンの3位争いが熱くなりますが

フェルスタッペンがしのぎます。フェルスタッペンはボッタスに詰まって失速してしまいましたがよくリカバーしました。

 

 そして1周目の終わり、最終コーナーでアレクサンダー アルボンとケビン マグヌッセンが接触。

飛ばされたマグヌッセンが外側のバリアにまで突っ込んでSC導入。アルボンは金曜日の車を壊し、

土曜日はトラブルで距離を走れず、それが予選での低迷に繋がり、そしてレースでのこうした事故にも

繋がってしまったと言えます。予選で下位になるとこういうことが起こってしまいますよね。 

 

あのコーナー、ラインが一本、ほぼ全開の区間なので、相手がやや遅いからといって入ったしまった

アルボンが悪いという解釈をするか、いるのに閉めたマグヌッセンが悪いと解釈するか難しい箇所です。

個人的には前者だと思いますし、相手がマグヌッセンなので、まあ100%閉めるだろう、と判断しないと

いけない場面なのでリスク管理という観点でも失敗です。結局アルボンに5秒ペナルティーとなりました。

 

 6周目にリスタート、アルボンはなぜかリスタート後のこの周終わりにピットに入ってハードへ交換。

いざ走ってみたら振動があったので入った模様です。

 

 上位はやや単独走行モード、5位以降の争いが集団で面白くなりそうな展開の中、

13周目に超高速コーナー・マゴッツでダニール クビアトがいきなりスピンして大クラッシュ。

縁石に触った瞬間リアがすっ飛んでしまい、あっという間に車はバリアに突っ込んでバラバラに。

原因は調査中ですが、タイヤのパンクの可能性があるということです。普通こういう時ってドライバーは

「何が起こったんだ?」とか「いきなり何か壊れた!」とか言いそうなものが、なぜかクビアトは「みんな、すまない」

ドライバーのミスではない可能性が高そうですが、謝りグセでもついてしまったんでしょうか^^;

これで即座にSCになり、ちょうどピット入り口付近にいた7位以下の車両はピットに入って一斉にタイヤ交換。

上位6台は既にピットを通過していたので翌周に入りましたが、その中で最後方だったランス ストロールだけ

順位で損をしてしまいました。ここからハードでのながーい耐久レースになるんでしょうか。

 

 19周目にリスタート、5位のロマン グロージャンだけピットに入らなかったので渋滞が予想されます。

トップ2は互いにタイムを見ながら、ファステストを出し合い1.5秒前後の争い。フェルスタッペンは前後が離れて

対戦相手がいなくなりました。このままだと来週も対戦相手不在になるんじゃ^^;

あまりに暇なのか、フェルスタッペンは無線で「ドリンク飲むの忘れるなよ?飲んでるか?」とエンジニアを

気遣い始めます。たぶんエンジニアから頻繁に声をかけられたので、ジョークで返したんでしょうが

これは笑いました。なんかフェルスタッペンとジャンピエロ ランビアーズの相性の良さを感じますね。

 

 グロージャンはマグヌッセンが乗り移ったかのように防御で直前の進路変更を繰り返して黒/白旗を

提示されますが、無線でそれを伝え聞くと

「コース半分のこしてるだろ!?」

何が問題になっているかすら理解できなくなってしまったんでしょうか(´・ω・`)

 

 40周あたりからハミルトンとボッタスはじわじわと離れ始めます。ボッタスは振動を訴えており、

ハミルトンと同じペースで走ることが難しくなってきました。

 

 48周目、キミ ライコネンのフロント ウイング左側が壊れて自ら踏んでしまいますが、コースを飛び出ただけで

大事には至らず。ただ、コース上に破片が散らばってしまいました。らいこねーーーーーん。

 そしてやはりこの破片が影響したのか、残り3周さらなる衝撃。ボッタスの左前タイヤが壊れてまさかの

スロー走行。ちょうど最終コーナー付近で発症したようで、丸々1周走る羽目になって結局入賞すら

逃すことになってしまいました。

 これでフェルスタッペンは労せずして2位に浮上、さらにフリー ストップ可能なのと、自分たちも

万一のことがあってはいけないのでソフトに交換してファステスト狙いです。

 対してハミルトンには「車を持ち帰らないといけないからファステストを狙わないで」と指示が出ます。

 

 しかしエンジニアの不安は現実になりました。最終周に向かうところでカルロス サインツもタイヤが壊れて

緊急ピットすると、信じられないことにハミルトンも最終周にタイヤが壊れてスロー走行。

 手負いのハミルトン、左前輪をズリズリしながらおよそ半周を走行しましたが、フェルスタッペンが

ファステスト狙いで大幅に下がっていたため、辛うじてトップを守り切りました。

 イギリスGP7勝目の記念すべき車両は、優勝した車とは思えない見た目で帰ってきました。

この車体、博物館に壊れたまま飾っておきたい気すらしますね。

 今回から左側の順位表示にワイプで車載映像を導入する新しい映像表現が出ましたが、

フェルスタッペンの車載にハミルトンの車は捉えられませんでした。ああファステスト狙い。

 

 ハミルトンはフェルスタッペンが入ったのでリスク回避でピットに入ってラスト1周だけ新しいタイヤを貰っても

良かったはずなんですが、チームは大丈夫と判断して結果壊れてしまいました。そういう点で、

メルセデスのリスク管理も万全ではなかった、タイヤが壊れるリスクと、タイヤ交換で失敗するリスクの

大小を図り間違えたわけですから、運が良かったですがチームとしては喜べない内容とも言えます。

 両チームとも『最後の最後にタイヤが壊れてダメになるかもしれない』という可能性を低く見積もって読みが外れ、

お互いに読みが外れたら結果が変わらなかった、というところです。

 可能性、確率論で言えば、99%トップの車はそのままゴールをするでしょうし、壊れる時はたいてい

チェッカーすら受けれないわけで、

『タイヤが壊れた結果、自分たちがピットに入っていなければ勝てたのに先にチェッカーを受けられた』

なんてことはまず起こりえないですから、そういう点ではF1チームの仕事としてはレッドブルの2位は

仕方ない結果と言えます。これって、例えるなら

「ひょっとするとフェンスに上ったらギリギリ取れるようなホームランを打たれるかもしれないから

守備位置をはるか後方に下げておく」ぐらい現実性の低い選択ですからね。

 

当然ながら、タイヤ交換しなかったら『勝てると思ったのに自分たちもパンクして運悪く全損リタイアだった』

という結果が訪れた可能性も全く無いわけではありません。まあ稀なケースだと思うしかないでしょう。

 

 ルクレールは開幕戦に続いて、またもやおこぼれみたいな3位を獲得し今季2度目の表彰台。

ピエール ガスリーは11位スタートから良い走りを見せて、最後の混乱を経て7位でフィニッシュ。

途中セバスチャン ベッテルをかわすシーンはなかなかの爽快感でした。ていうかフェラーリよ・・・(^-^;

アルボンも、接触→SC解除後ハードへ交換→SCで差が詰まってくれる→ペナ受ける→ミディアムにもう一度替える

と独り相撲状態でしたが、猛追と混乱で8位入賞。今回から担当エンジニアがサイモン レニーに交代して

巻き返しを図りたいレースでしたから、内容はどうあれ点数だけはなんとか獲れて一安心でしょう。

が、ヘルムート マルコが納得していないであろうことは想像がつきます^^;

 

 次戦も舞台は引き続きイギリス、70周年記念GPという名称のイギリスGP第2弾です。

タイヤが今回のC1~C3より一段階柔らかいC2~C4なんですが、トラブル起きないといいですね。