私としましては、本ブログにて”スーパー糖質制限食”に警鐘を鳴らしていただけに、桐山さんの死はとても残念であり、ご冥福をお祈りしたいと思います。
さて、それでは、スーパー糖質制限食と彼の死は因果関係があるのでしょうか?
私は、すぐに2013年7月1日に本ブログにて論じた「厳しい糖質制限による血管障害」のPNAS掲載の論文(ローカーボ食研究会の解説記事)を思い出しました。
低炭水化物高蛋白食(LC-HP)(P:F:C=45:43:12%)で、これはちょうどスーパー糖質制限食の糖質割合に相当しますが、この条件では、骨髄および末梢血の内皮前駆細胞がおかしくなり血管再生がちゃんと起こらず、動脈硬化を促進するということです。
おさらいのためにもう一度、ローカーボ食研究会の解説記事によるPNAS論文の要点を再掲します。
(1)大動脈を解剖したときの動脈硬化の範囲は,低炭水化物高タンパク食(LC-HP)は高炭水化物食(HC)や西洋食(WD)に比べて有意に広いこと。
(2)血清脂質,血糖値,酸化ストレスマーカー,炎症マーカーは3つの食事群で差がなかった。
(3)LC-HPマウスでは骨髄と末梢血の内皮前駆細胞(Endothelial progenitor cell:EPC),つまり血管再生のマーカー細胞の数が有意に低下していた。
(4)LC-HPのマウスから分離されたEPC(細胞)の活性化セリン・スレオニンキナーゼは有意に低下していた。この酵素はEPCの増殖,運動,生存に深く関係している。
(5)LC-HPは動脈硬化を長期的に促進するが,それは脂肪以外の主要栄養素,たぶん高蛋白が影響しているらしい。
以上、マウスによる実験ではありますが、同じことがヒトでも起きれば、冠状動脈の動脈硬化がより促進し、心筋梗塞に至ったのではないかという推論がなりたちます。
PNAS論文の意味するところは、厳しい糖質制限を行えば、血管再生が正常に行われず動脈硬化を促進するということですから、心臓の冠状動脈の動脈硬化により心筋梗塞などを起こしやすくなると考えられます。
オリジナルなPNAS論文は、以下のものです。