過去記事より掲載しています

 

 

 

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◎ 憲法について知らねばならぬこと

 

 

 

○ 革命憲法は果して有効か 

 

 

ところで、「現行憲法がこのような革命憲法であり、戦敗と占領軍の占領とによって実際に革命が行われたのだとするならば、革命だから、合理も不合理もない、旧憲法との連絡があろうが無かろうが、そんなことは何の関係もない、それ自体革命憲法であって、其儘(そのまま)に有効なのではないか」というような、革命憲法有効論がある。

 

 

 

これに対して井上孚麿氏は、「革命とは国の根本秩序を、その国民の中にある者が、超法的事実によって突発的に変革するのである」と革命の定義を述べ、「日本の降伏によるボツダム宣言を受諾したときに既に新たに人民主権が確立し、その時すでに革命が行われたのであり、その革命の基礎の上にその革命を文書にあらわす新憲法が出来たのである」という八月革命説を反駁し

 

 

 

その変化の原因は「外力によるのであって、内力によらないから革命ではない」と説き、ポツダム宣言の降伏条件として、日本より、「右宣言ハ天皇ノ国家統治ノ大権ヲ変更スルノ要求ヲ包含シ居ラザルコトノ了解ノ下二受諾ス」と申入れ、それに対しての連合軍の回答は、「降伏ノ時ヨリ天皇及日本国政府ノ国家統治ノ権限ハ、降伏条項ノ実施ノ為其ノ必要と認ムル処置ヲ執ル連合軍最高司令官ノ制限ノ下ニ置カルモノトス」というのであった。

 

 

 

こうして、実際上、占領中の日本国内の行政は連合軍最高司令官の制限の下に置かれていたのは何人も知るところである。ところが連合軍最高司令官が「天皇及日本政府の国家統治の権限」を奪い去っていたかというと、そうではないのであって、連合軍は「降伏条項ノ実施ノ為其ノ必要ト認ムル措置」について、日本政府に指示命令を下していたのであって、必要事項を実施するに方(あた)っては却(かえ)って日本天皇の統治の権能をみとめて、「勅令第何号」という形で発令せしめていたのである。

 

 

 

だから八月十四日のポツダム宣言受諾の際に即に「天皇統治権」の放棄又は奪取があって革命が行われていたと言うのは当らないのであり「天皇統治」という国の根本秩序は占領当初と雖(いえど)も、「勅令発布」による「統治権の実施」によって確保せられていたのである。
  
 

 

そして井上孚麿氏は、現行憲法が八月革命に基く革命憲法であるから合理を超えて有効であるとの説を反駁して、八月十四日のボツダム宣言受諾による「無条件降伏」によって革命が既に起っているのだとみとめるならば「すでに、八月革命によって当然に主権者たる地位を喪失せる天皇、同じく憲法上の機関たる地位を喪失せる政府とか帝国議会とかが、この新憲法の成立に参加せることも革命憲法の有効成立を否定せしむるに充分の理由がある」と述べて占領憲法無効論を主張している。



 

 

○ 不合理強行で成立した憲法は無効である 
  
 

 

こうして現行憲法は法理上不能なる改正を合憲の如きカムフラージュをもって糊塗してつくり上げたる占領押しつけ憲法であり、「改正」としても存立不可能のものであり、力による革命とするならば、不合理の強行の上に成立つものであるから、今後、実カあるものが出現するならば幾回でも改廃せしめうるものであるのである。

 

 

 

だから「改正説」によるも「革命説」によるも結局、その存在の法理的根拠が成立たない無効憲法なのである。

 

 

 

つづく

 

 

 

谷口雅春著「私の日本憲法論」

 

 

 

 

☆ 下記は当ブログ過去記事より

 

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◎ 人間は何のために生きているのであるか

 

目次

 

◇ 肉体の満足より心の満足へ

◇ 真善美とは何か

◇ 価値判断の基準はどこにあるか

◇ 心の中に共通なものがある

◇ 真善美を実現するには

 

人間は何のために生きているのであるかということをかつて私は真剣に考えたことがありました。普通「肉体」が自分であり「肉体」が無くなればその人間の生命は終わるのであると考えている唯物論では人間は何のために生きているのかと言っても、ただ偶然に親の胎内から生み出されたのであるから、何のためというような確乎たる目的は考えられないので、強いて考えれば、出来るだけ人間は楽しんで人生を終わればよいということになるのであります。

そこで感覚的快楽を追求する快楽主義に陥るのですがこのような快楽はアへンを吸収するにも似て、次第に同一快感を得るために刺激の量を増して行かねばならなくなり、しかもそれに伴って実に淋しいやるせない寂寥感に襲われるのであります。この寂寥感をまぎらわすために彼らはやたらにアルコール、ニコチンその他の麻痺剤を用いて良心を麻痺せしめるようになる。

 

以下省略