「聖・・・?」

聖は思った。確かに、この人は

自分の知っている氷雅である、と。

「い・・・氷雅・・・!」

「なんでいるのよ?貴方もルチルを持っていたの?」

まだ聖にはルチルがない。

それをどう説明しようか、聖は悩んだが

正直な話をした。

「オレ・・・オレは、氷雅。お前を探しに来た!」

氷雅は少し驚いた顔をしてその後クスリと笑った。

「バカね。あんな約束守ってきたの?本当に・・・。

まっすぐで正直な人。変わってないわね、聖」

もしかして約束って氷雅をさがすこと?

もしかして好きなんじゃない?

そうかもね~

まただ。また、この声。

「なぁ。氷雅」

「なぁに?」

オレは気になっていた。だれも居ないのに

誰かの声が聞こえる。この学校取り憑かれているんじゃないか?

「さっきの声・・・お前聞こえたか?」

「さっきの声って・・・何の話?」

氷雅には聞こえない・・・?やっぱり取り憑かれているんじゃ←オカルト大好き

「とりあえず・・・聖、貴方のルチルは?」

「オレのルチルは・・・まだ分からない」

そうだ。そうなんだ。ルチルがないといられないこの学園に

オレは来てしまった。だから絶対にルチルがなきゃいけないんだ!!

「それは急いだほうがいいわね。ルチルを持たない人間が

滞在することが出来るのは、そうね・・・せいぜい2週間かしらね」

2週間?!そんなに短いなんて・・・でもその間に見つけなければ・・・!

ルチルなんてもう見つかってるのに。

バカだねぇ~。

まだ気づいてないだけかなぁ?

見るの面白いからしばらく黙ってようよー

そうしようそうしよう

なんだ・・・?誰の声なんだ。

オレにしか聞こえない声なんて、霊感でもあんのか?

「とりあえず・・・授業が始まるわ。早く教室に戻ることね」

キーンコーンカーンコーン・・・

「本当だ!もう行かなきゃな。また後でな、氷雅」

「ええ」

もう貴方のルチルなんて・・・分かっているじゃない。

早く気付きなさい・・・。


「はぁはぁはぁ・・・」

なんで・・・なんで俺だけこんな目に・・・。

「遅いー」

「遅いし体力ねぇなぁ!」

くっ・・・オレが・・・シグマだからか・・・?

「もー早く早くっ」

「ったく・・・なんなんだよ?!なんで俺だけ・・・

グラウンド10周?!」

そう。オレは今クラスメートの双子にいじめられていた。

名を源田望浪(げんだ みなみ)と源田或斗(げんだあると)という。

こいつらめ・・・オレをいじめて学校から追放する気か?!

「こんにゃろぉぉぉぉ!」

聖は思わず勢いで腕を大きく振った。

シュッ

「?!」

いなくなった。或斗と望浪が。さっきまで居て、

当たったと思ったのに。思わず聖は唖然とした。

シュッ

「ここだよ~~^^」

声が聞こえた方向は聖の斜め後ろ。

望浪の声だった。

「お前どんだけ早く移動してんだよ?!それに或斗は

どこに行ったんだ?」

望浪は一瞬にして俺の目の前から消えて

オレの背後に現れた。或斗はまだいない。

「それは~・・・」

そう言いかけたところで聖の目の前に或斗が現れた。

「俺はここ。俺達がどうして消えたのか。

その理由はただ一つしかないだろ」

聖は少し考えて、「あっ」と一言いい、気付いたようだった。

「そ。俺達のルチル」

「テレポーテーションだよ^^でもね~~

二人一緒じゃないと遠くまではテレポート出来ないの。

一人だとせいぜい半径1キロメートルかな?

二人でやるとね、うーんとここは日本でしょ?

日本から北アメリカぐらいまで行けるよ!!すごいでしょ^^

旅行も私達にかかれば簡単かんたーん♪」

ルチルとはその人個人にある無限の可能性。

つまりこの二人の場合はどんな遠くにでも行ける、ということなのだろう。

「じゃあさ、今度でいいからさ・・・。一回

実家に戻りたいんだ。協力してくれるか?」

おずおずとオレは申し出た。なんだか人のルチルを利用するのは

気が重かった。

「嫌だ」

きっぱり言われてしまった。それはそうだろう。

聖も断られると思っていたのだから。しかし

「いいよ!いいじゃんお兄ちゃん。それくらいさっ♪」

快く望浪。

ありがたい。本当にありがたいと感じた。

「でも望浪・・・」

「だぁーいじょうぶだって☆大丈夫!も~心配性なんだからお兄ちゃん」

仲がいいのだろう。

或斗は望浪には甘いようだった。

「じゃあ・・・お願いしてもいい・・・かな?」

「ああ。望浪がいいって言ったからな」

聖は思う。どちらかと言えばシスコンではないか・・・?と。


NEXT*4


はいはいはいはいはい。

遅くなってすみません


ここでもキャラ紹介


小説だけのオリキャラです


源田或斗(げんだ あると)

   望浪(     みなみ)

ルチル テレポーテーション
しかし一人だけだと半径1キロメートル

二人だと北アメリカまで行ける

階級 シトリー


ってとこです!


では次回をお楽しみに^^


第2話

~階級と制服~


 俺、如月聖は、幼なじみの南雲氷雅を見つけるために

デルタ学園へ来ていた。

 そこで出逢ったのが水河律と星月夜美だった。

 「えーっと・・・律・・・さん?」

 「僕のことは委員長でいいよ。で、どうしたんだい?」

委員長。クラス委員でもやっているのだろうか。

 それよりも聖には質問したいことがひとつあった。

 「あの・・・どうしてこの学校はブレザーの色が3種類あるんですか?」

そう、そうなんだ。この学校のブレザーは3色ある。

ひとつは委員長たちが着ている緑。もうひとつは少し明るめの

ブルーグレー。最後はこの学校にきてからまだ2人しか見ていない白。

どうして3種類あるのか聖はずっと気になっていた。

 「これはな、階級だ」

 「階級?」

あっさり答える夜美にさらに質問返しをする。

 「ああ、階級だ。階級は上からエプシロン、ファイ、シトリー、シグマ

と、4種類ある。そのうちのシグマはルチルを持たない普通の人間だ。

そして私達がシトリー、緑の制服だな。ファイはブルーグレーの制服。

そして最後のエプシロンは力が大きく、さらに制御力もよいという

まぁいうなれば完全にルチルを使いこなせるものだな。

というエプシロンが白だ。ちなみにこの学園にはエプシロンは5人しかいない」

感心したように聖は夜美を見る。

 「へぇ~・・・というか俺はこれからどうすれば・・・?」

そうだ。俺はこれからどうすればいい?こいつらが言う

『シグマ』は、ここにいたらマズイんだよな。だとしたら・・・?

 「それは大丈夫だよ」

 「え?」

 「もう僕が手続きを済ませておいた。シグマがダメなら

君のルチルを発見出来れば良いわけだ。

だから、氷雅さん(?)を見つけると同時に君の

ルチルを見つけ出そうじゃないか」

聖は驚いたような表情をしたあとニッと笑った。

 「上等だ!やってやろうじゃんか」

『決意』それは最強の武器。彼はこれからどうなるのか・・・。

 

 数日後

 「なぁ、お前。じゃない・・・聖!私の占いを受ける気はないか?」

唐突だった。最初は侵入者扱いされていたのに今ではすっかり心が開いた

友達だ。

 「ああ。いいけど・・・」

 「分かった。では始める」

すぅっと深呼吸をしてからポケットにしまっていた念珠を取り出す。

 「星よ・・・我に答えよ・・・」

静まり返った部屋の中で夜美は一言、言う。

       ・

       ・

       ・

カッ<●><●>!!

?!

夜美の目が思いっ切り開く。

あまりにも唐突で聖は腰を抜かしてしまった。

 「きた・・・きたぞ・・・」

ぼそっと小声で夜美はいった。

 「な・・・何が・・・?」

 「今日からお前は正式入学だろう?その自己紹介が終わったあと

ファイの階級の寮に行ってみろ。会えるかも知れないぞ、氷雅に」

氷雅という名前を聞いた瞬間聖は身体が反応した。

それに夜美の占いは百発百中。ついに見つかるのかと思うと

聖は安堵した。

 

~自己紹介~

 「えっ・・・えっと。はじめまして!如月聖です!!

ルチルはまだ見つかっていないシグマですがよろしくお願いします!」

ざわ・・・

見つかってないんですって。ルチル・・・。

シグマでしょ?信じられないわ。

俺達の秘密を外部に漏らすつもりじゃないか・・・

 「皆。聖くんはそんな人じゃないよ。彼は

南雲氷雅という人を探しに来ただけなんだ」

 「委員長・・・」

委員長・・・?もしかして・・・

 「や^^聖くん。ようこそシトリークラスへ」

満面の笑みで委員長・・・水河律がこちらへ向かってきた。

 「ど・・・どうも・・・」

委員長の知り合いかしら?

じゃあ安心ね。

委員長は心が読める・・・。悪いヤツだったらもうここにはいないよな

どうやら人望は厚い人のようだ。最初に知り合ったのが彼で良かったと

つくづく思った。

 「あのぅ・・・お話中悪いんですけど私南雲氷雅ちゃんと

知り合いですよ。良かったら案内しましょうか?」

本当だ。本当に、夜美の言ったとおりだ。

すごい。ルチルって本当に凄い。

こんな俺にも本当にあるのかな・・・。


~ファイクラス~

 「氷雅ちゃんいますかー?」

 「今はいないみたいよ。でも近くにいるみたいだから

探してみたらどうかしら?」

氷雅は教室にいなかった。じゃあどこに・・・?

ふふ。クスクス・・・向こうだよ

向こうにいるよ。シトリークラスとファイクラスを繋ぐ

階段の踊場。

そこに行けばきっと会えるよ

どこからか声がした。案内してくれている彼女のものではない。

誰が教えてくれたんだろうか?

それはいいとして踊り場へ向かおう。

そこには本当に氷雅がいた。

 「い・・・氷雅!!!」

 「え・・・聖?」


NEXT*3



今回少し長かったですね。


ここでちょいと人物紹介。


ネタバレなどあるので見たくない方は見ない方が良いです!



ではいきます



如月聖(きさらぎ しょう)

高校2年

ルチル 物の声が聞こえる


南雲氷雅(なぐも いま)

高校2年

ルチル 鏡の世界と現実世界を行き来できる


水河律(みながわ りつ)

高校2年

ルチル 人の心を読む事ができる


星月夜美(ほしづき よみ)

高校1年

ルチル 星占い



ここからまだ出ていないキャラです


白鳥瑞城(しらとり みずき)

高校3年

ルチル 人を性転換させることができる。(自分も性転換できる)

備考 この人は男か女か分からない。

皆さんの想像に任せます←


夢時流香(ゆめじ るか)

高校1年

ルチル 人の怪我を治すことができる。ただその痛みが

半分自分へフィードバックする


これくらいですね!

今漫画でも考えてある設定はw


超ネタバレすみませんでしたw


聖のあたりとくに・・・。


これは私とリア友が描いている漫画を


小説化したもの。


登場人物の名前など、漫画と違ってたりしますが


気にせずにw


ラブ&ファンタジーのダブルコラボレーション。


どうぞお楽しみください…。



第一話

~始まりの物語~


 この世界は『ルチル』と呼ばれる特殊能力を持つ

人間がいる。それはあまりにも前触れがなく誰にあるか誰にないかなんて

分からないもの。

 ルチルは国会でも混乱が起こらないように秘密が保持されている。

その秘密を守るためにあるのがデルタ学園・・・。

 これはルチルを持たない青年がデルタ学園へ迷いこむ

話である。


 今から3年前の話

俺達は中学2年生だった。

 「聖・・・。あたしね・・・あたし、聖に言わなきゃいけないことがあるの」

それはいつものような昼下がり、幼なじみからの

突然過ぎる別れだった。

 「あたしね、ザザッ…って言うのを持ってるから、

あなたと一緒にいられないの。」

思い出せない。ノイズの入った部分はなんと言った?

そうすればあいつを見つけられるかも知れない。

俺が愛した、あの人を・・・。

 俺の名前は如月聖(きさらぎ しょう)、高校2年。

俺は未だにあの人を探していた。彼女は何処へ行った?

何を持ったといった?どうしていられないといった?

そう考えていると友人が言った言葉を思い出した。

 「噂なんだけどさ此処の近くに森があるだろ?

あの森の奥深くに、『ルチル』って力を持った人間が

通う学校があるらしいぜ」

 確か名前は・・・デルタ学園・・・。

行ってみる価値はあるのかも知れない。今日の放課後

行ってみよう。

 ~放課後~

 サク、サク、ザッザッ

(ずいぶん草が沢山生えてるな・・・本当にあるのだろうか)

そう思いながらも進んでいるとある建物が見えた。

ずいぶんと大きい。だがここではないだろう・・・。

とりあえず今日は此処で休むか・・・。そう思ったとき、

 「誰だお前」

ビクッ。思わず身体が飛び上がった。しかしそこにいたのは同じ年くらいの女の子だった。

なんでこんなところに・・・?

 「侵入者か・・・?」

 「侵入者?」

俺がそう言うと同時に緑色のブレザーを着た眼鏡をかけた青年が現れた。

 「君・・・。ここに何の用だい?」

穏やかな表情で言う。しかし、目が笑っていない。

 「えっと・・・俺は人を探しに来たんです・・・」

 「委員長、嘘です。きっとこの男は嘘を付いています。

私達の正体を調べに来た愚かなシグマです」

シグマ?なんのことだよ・・・?!

 「・・・。ちょっとまってくれないかい?僕が彼の心に

聞いてみるよ^^」

俺の心に聞く?!何いってんだこの人?!

 「ちょっと失礼」

ガシッ。思いっ切り肩を掴まれた。そしてさらに

凄く睨まれている。

 (なんなんだよこの人・・・俺はあいつを探しに来ただけなのに・・・!)

パッと手が離れた。

 「どうでしたか?」

 「うーん。どうやら彼は嘘を付いていないね^^

信じていいんじゃないかな。人を探しに来たみたいだよ」

なっ・・・。なんで分かるんだ?!

こいつ等何者なんだよ?!

 「ああ、申し遅れたね。僕は水河律(みながわ りつ)。彼女は

星月夜美(ほしづき よみ)さんだよ。君は?」

とりあえず話できそうな人・・・。

自己紹介だけでもしておいた方がいいよな。

そう思った聖は少し戸惑いながらも口を開いた。

 「俺は聖。如月聖(きさらぎ しょう)です」

 「聖くんかぁ・・・。探している女の子の名前は南雲氷雅(なぐも いま)さん

だったかな?」

どうして・・・どうして委員長(仮)は氷雅の名前を知ってるんだ?!

 「見えたんだよ」

?!

 「僕のルチルは人の心を読むこと。まぁ体力も消費してしまうけど」

ルチル・・・どこかで聞いた・・・。

それは、デルタ学園が守っている国家機密だった。

 「もしかしてここは・・・」

 「そう。ここはデルタ学園だよ」

ここに・・・。ここに氷雅がいる、絶対そうだ

 「君は・・・。星に導かれて此処へ来たんだね。ルチルを持っていないのに」

 「星月さんのルチルは・・・」

 「星占いだ。しかも百発百中。外れたことは今までない」

みんなルチルっていうの持ってるのかぁ・・・。

イヤ。そりゃそうだよな。そのための学校だし・・・。

 俺にもあるのかな・・・ルチル。


NEXT*2