僕もカズエも優等生として育ってきたと思う。
もちろん、僕も人並みに恋もしたし、遊びもした。
でも相手が優等生だと思うと何もできなかったと思う。
少なくともカズエの前では僕はいい先輩を演じていたから
これまで何も進展がなかったのは自然な結果といえる。
でも実のところはどうしたかったのだろうか・・・。
カズエからのメールをもらってから二人でキャバーンクラブへ行くまでは、
あっという間だった。
カズエからのメールに対して、僕は
『今週は木曜以外ならいつでもいいよ。』と返信した。
『私も同じです。』
返事がきたのはほんの数十分後だった。
僕は、
『じゃあ、いつにしようか?』と返すと
『ホームページを調べたんだけど、今日出演するバンドにちょっと興味があるの。』
まるでメールで会話をしているような短いレスポンス。
僕たちが再開したのは最初のメールをやりとりした翌日だった。