午後のロードショーで「コラテラル」を放送していた。2004年にアメリカで上映された作品だが、トム・クルーズが冷酷な殺し屋を演じたことで話題になった。
舞台はアメリカ・ロサンゼルス。全体的にセンスを感じる映像とストーリーだった。
タクシードライバーのマックス(ジェイミー・フォックス)は、検事局で働くアニー(ジェイダ・ピンケット=スミス)を客として乗せた。
二人は初対面だが意気投合し、会話が弾んだ。
アニーはマックスに好印象を持ったのか、名刺を渡す。
ヴィンセント(トム・クルーズ)は冷酷な殺し屋。平然と何の躊躇もなく人を射殺する。
マックスは、ヴィンセントを客として乗せてしまい、巻き込まれることになる。不運だ。
ヴィンセントをただのビジネスマンと思ったのか、強盗が銃を向けて金を出せと脅す。ヴィンセントは迷わず強盗を射殺した。
そんなシーンを目の当たりにしたマックスは顔面蒼白だ。ヴィンセントが本物の殺し屋だと改めて思い知る。
ところが、悪い運ばかりではなかった。ヴィンセントをタクシーに乗せたのは、結果的に良かったのだ。
マックスにとって検事のアニーは恋人ではないが、もしかしたらひと目惚れに近いものがあったか、あるいは強い友情が芽生えたのか。
アニーがヴィンセントの標的と知り、マックスはアニーを助けようと動く。
相手は正真正銘の殺し屋だ。しかしマックスは恐怖を乗り越え、アニーを命懸けで守る。
マックスとアニーを追いかけるヴィンセントは、ほとんどターミネーター。狙った獲物は絶対に逃がさない執念で追う。
ジェイソン・ステイサムがたったワンシーンだけの出演とは、豪華だ。
殺し屋役がトム・クルーズではなかったら、これほど面白い映画になったかどうかはわからない。やはりキャストは生命線だ。
ジェイミー・フォックスもいい味を出している。マックスは、仕事柄、人一倍観察力に優れているが、普通のタクシードライバーだ。
決して達人ではない平凡な人間が、愛する人のために命懸けでプロの殺し屋と戦う。
友情か愛情かは物語の中では表現されていないが、人は、好きな人のためなら命を懸ける。
妻や恋人ではなくても、好きなら命を懸けてしまう。
悪役が、ただ悪い男では面白くない。悪役に強烈な個性を持たせるとストーリーが面白くなる。
マックスとヴィンセントは敵同士だが、行動を共にしている間に、どこかで共感してしまった部分があったのか。
心がないはずのヴィンセントだが、マックスと接して心が動いた気がする。