『日常の中の強烈なる孤独』  ノンフィクション第2話 | ノベルの森/アメブロ

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それは約 30年前のこと。

東京から故郷に帰ってきた・・・。

30歳までに実現できなければ諦めて家に帰るという約束が

その年の瀬ぼくは31歳になっていた。

 

家族は文句も言わず暖かく迎え入れてくれた。

中でも母などは・・・。

 

 

「祝いに何かお前の好きなものをごちそうしよう。何がいい?」

 

そう尋ねられ、ぼくは思い出した。

あの肉屋のハンバーグステーキ! だが、母は首を傾げた。

 

「ハンバーグステーキ?」

 

そう言って父と兄貴にヘルプを出した。

 

父も兄貴も母と同じように首を傾げた。

 

「あの肉屋には、コロッケとかメンチカツは置いてあったが、ハンバーグステーキは無かっただろ」

 

兄貴がそう言うと、父と母も頷いて兄貴にならって言った。

 

「お前の勘違いだろう」

 

それは絶対に納得できない!


「またー、ぼくが高校生の時、たまたま成績が良くて

お母さんが言ったじゃないか。『好きなものを言って、何でも食べさせてあげる』って!」

 

母の返事は無い。

 

「それで僕の要望を聞き入れて、あの店で売ってる大好物のハンバーグステーキだけで満腹になりたいって」

 

結局、ぼくが東京で夢に取りつかれていて、なにかごちゃまぜになってしまったんだろう。そういうことでその話は打ち止めにされた。

 

 

翌日、ぼくは件の精肉店へ出かけた。小さい頃からの馴染みの店だったから、

おじさんもおばさんも、笑顔で応対してくれた。初めのうちだけは。

 

諦めずに形や大きさなどを説明してみたが

 

「うちは今までそんな商品を扱ったこと無いよ。気持ちの悪いことを言わないでください」

 

今までに見たこともない・・・あんな温厚な人が嫌な顔をするもんだ。ぼくはガッカリした。

 

そうだ!親友の(前回の『あれは誰だ!』のあの親友)Kに聞けばいいじゃないか!

早速、引き返して自営の牛乳配達の仕事を終えて帰宅しているというので会いに行った。


「お前まで、みんなと同じ事を言うのか・・・。」

 

Kも父母や兄貴、肉屋さんと同じように

 

「夢を見ているのか?」そう言う始末。

 

 

がっかりし過ぎて途方に暮れていると、さらなるショックがぼくを襲った!

 

 

『これって、この町の住民全員と俺の記憶が違っているってことか⁉』

 

 

少なくても17、000人。 あの肉屋にハンバーグステーキが置いてあったという記憶を持っているのは・・おれ一人いや、あの店は隣町にも店を出してる。両方で30、000人を超える・・・いやいや、あそこの長男が〇〇市にステーキハウスをオープンさせて好評だと聞いた。すると最低でも330、000人以上の人たちと俺の記憶が・・・

 

 

ゾッとしたあの瞬間を今でも忘れていない。

 

高校生のあの日、自分自身と瓜二つの人間とすれ違ったあの瞬間から、ぼくは既にパラレルワールドのひとつとの境を越えていたのか!?

 

これを読んで欠伸をしているあなた・・・他人事じゃないかも知れないっていうのに随分と呑気なことですねえ・・・。

 

ぼくとあなた方は違う世界の住人だったのかも知れないってことなんですよ! 

 

 

 

 

 

 

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今回もノンフィクションでした。
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