2024年7月29日、渋谷ヒューマントラストシネマにて「ルックバック」観てきた。

●とにかく超話題
●チェンソーマン描いた人が原作者
●料金は1700円であらゆるサービス券が使えない
●作品は予告込みで60分だがタイパ(タイムパフォーマンス)が良い

それだけ、いやそれ以上の情報を見ずに映画館へ。夜勤終わりが8時で上映開始は9:10、仮眠はしたけど眠くても1時間なら集中して見られるかなとか思いつつ、しかも未だに2000円で映画を見る気がしなくて、でも観たいというタイミングと重なった。

いつも通りネタバレするからそれが嫌なら予告編の後は見ないでほしい。ちなみにこのブログ書くにあたり予告編見返したけど色々フラッシュバックして泣きました。

はじめにこちらは初期衝動だけで書いてます。誰かの感想とかも一切見ず、色んな人の感想は書いてから読みたいなと言うスタイルで書いてます。

ジャンルで分けるなら青春映画でした。漫画とかアニメとか詳しくないけど、俺の好きな漫画やアニメのエッセンスを感じました、製作が意図的に散りばめてるのか?は不明だし、まだ資料を読んでないからなんとも言えないけど、
松本大洋の「ピンポン」を感じたし、話的には「バクマン。」みたいな話だったし、風景がジブリ風だなと思ったらエンドロールにスタジオポノックってあったし。そんな風にあらゆる世代のあらゆる人の琴線に触れられるようになってるから受け入れられてるんじゃないかなって思う。

漫画を描くことを通じて、引きこもり女子こと京本を万能な女子・藤野が世間に引っ張り出す青春映画なんだけど、活発な側と引きこもる側の両方の視点があって、それがバンドの解散物語に見えたりして、女子と女子だから45歳でバンドも組んでないし、絵も下手だからとまるでリンクもしないけど引き込まれた。

一つ一つの描写、時間の経過を表すのに定点観測的に山の色合い(山形らしい)や少女が漫画に没頭する背中姿の移ろいで表したりとか、こういう展開になるんでしょとか予想して、その予想も当たるんだけど、描き方が美しくて、予想通りでも嬉しくなった。

特に卒業証書渡すくだりで引き籠もりの京本あてに書いた四コマ漫画が扉の隙間に差し込まれてそこから少女が一気に部屋を飛び出す瞬間からの流れが凄すぎて、泣きました。そこからは手玉に取られた。着ている半纏にサインしたりとか発想がしっかり小学生でニヤニヤしてしまうシーンも含めて素晴らしかった。あと、サインした後の藤野のステップも愛らしかった。

2人が若き天才漫画家みたいにブレイクしてコンビ別れして、一生の別れが来るみたいな展開になるんだけど、作品尺が60分弱なのは事前情報で知ってるから、体感で60分はもう経ってるよね?みたいな感覚の瞬間が何度かあり、「そうかここらへんで続編を匂わせつつ終わるんだ」みたいな瞬間は何度も来たのに終わらない凄さ、本当に例えば「藤野と京本がコンビ組んで漫画書いて行くよ」で終わっても「京本が大学行くからコンビ解消するけど、お互い頑張って行くよ」みたいにして終わってもある程度納得したろうけど、まさか京本殺されるとは、更に「カメラを止めるな!」的な「ドラマif もしも」みたいな分岐点みたいな展開があるとは。思いも寄らなかった。

本当に映画館に60分しかいなかったのか?俺は「ドラゴンボール」における精神と時の部屋にいたのか?みたいな錯覚すら覚えた。渋谷で昼10時に終わられてもどこの店も開いてないから買い物せずに帰りましたよ(笑)。

この作品の評価として「タイパ(=タイムパフォーマンス、すなわち時間的効率)が良い」という評価があるらしいけど、そういう問題じゃないよね。面白い時間は経過が早く感じて、退屈な時間は長く感じるけど、この作品は楽しい時間だから終わるだろうと思っても終わらないし、納得のエンディングまで用意された。時間の感覚が麻痺したというか時空が歪ませてきた感じ。そういう意味では新しい映画だったと思う。だから、4DXとかと同じようなジャンルの新しい感覚を体験した思いだ。

声優にかんしては女優河合優実が凄いのを今年に入って「不適切にもほどがある」で遅ればせながら思い知ったけど、ほんと凄いんだなってのを藤野の声で体感した。

タイトルの「ルックバック」は映画見ながらでは『藤野が京本との思い出を振り返る』位の感覚で思ってたんだけど、帰宅してシャワー浴びて汗流しながら回想してて、そう言えば藤野の背中は良く映してたなぁとか、劇中に藤野が『京本も私の背中を見て成長するんだな』ってのを思い出して、京本が藤野の背中をみてる視点なのかと気付き鳥肌が立ちました。うわ、もう一回検証したいと思いましたね。

前払い1700円でこれは特別上映だからいかなる割引もサービスデーでも料金は変わらないそうです。60分で1700円でも安いと思います、投げ銭制だったら3000円は払ったと思う。テレビとか配信まで待てる方はどうぞお待ち下さい。スクリーンじゃなくてもと思うけど、このうねりのうちに楽しんだ方が面白いとは思います。

タイトルに書いた通り、かなり有意義な1時間を過ごせました。

あと、積み残した話、藤野の連載シャークキックの単行本が本棚に並んでいくシーンが不規則に同じ巻が並んでてそれが京本の本棚と気付いた時の感動は凄かったなぁ。

それにしてもヒューマントラストシネマ渋谷のポスターのこの並び藤野の作品の『シャークキック』にかけてる気がした。隣に温泉シャーク!
あと、やっぱり前日職場の休憩中でAmazonプライムでフジロックフェスティバルのノエル・ギャラガーの「Don't Look Back in Anger」を聞いていたのも影響ありますね。さすがにそっちは振り返る方です。

最近、バチェロレッテとか高畑充希がでてる「1122」とかのAmazonプライムの新しいコンテンツ見ようとしたけど、ハマらなくて、今見てるのは大河ドラマ「光る君へ」と朝ドラ「虎に翼」さらには宮藤官九郎脚本「新宿野戦病院」とかで新しくハマるものとか無いのかなとか思って、非現実な恋愛にはハマらないけど、青春モノに感情移入出来た自分が嬉しくなった。