現場勤務の思い出23-鉄骨工事 | 建築専科

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鉄骨工事を担当する係に属していた筆者が、鉄骨工事で最初に行ったのは地上鉄骨のタワークレーの設置検討だった。クレーンは超高層建築用に開発されたベースクライミング式で、霞が関ビルの時の2倍の揚重能力があるJCC400が2基である。自重だけでも160tonあるので、本体鉄骨の補強も必要であった。

 

先ずはクレーンを受ける架台の改造であった。調達するJCC400は別の現場で使用されており、その架台を転用するのである。しかしその現場の柱間隔は6.4(3.2×2)×12.8mであり、当現場の間隔は6.0×12.0mと少し小さい。架台は12.8mスパンだから片側0.4m切断する必要がある。又、架台を受ける梁幅は別の現場は200mmであるが、当現場は300㎜と広く、架台を梁に載せるガセット(小型の梁状)は新規に造る必要があった。

 

現場には機械部から派遣された社員がいて、架台とガセットについて検討していたが、どうも図面化が遅れており、又、工事課長の方針であるガセットは新規でなく、改造して使うものではなかった。そこでガセットの検討を筆者が行う事になったのである。JCC400など見たことが無かったので、超高層ビル建設の使用中のクレーンを見に行き、現物を確認出来た。

 

次は図面を書いて納まりを検討する作業である。そのころは勿論手書きであるが、筆者は図面を書くのが好きだし、機械図面は初めてだから楽しい作業であった。問題となったガセットの「転用」のため、使われているガセットに開けられているボルト孔の位置を確認し、なんとか新たに作ることなく転用できることが確認出来た。

 

図面検討だけではなく、本来は架台・ガセットの構造検討もすべきであったが、この時点ではしていなかった。架台の寸法は短くするので応力は小さくなるから、漠然と構造上は問題ないと思っていたのである。しかしスパンが小さくなれば、カセットに生じる応力(せん断力)は大きくなる。

このことに気がついたのは、次のタワークレーン設置に対しての本体鉄骨の検討をすることになったからであった。

 

旧建築専科 20170902