園の花絶えしより夜々椎にほふ 悌二郎

椎にほひ夜の戸をたつもおくれがち 〃

人が病むあをみなつきを椎をにほふ 〃

蚊帳ふかく椎のにほひ来堪へがたし 〃

 「椎の家」という前書きのある四句。すべての句に椎の花の夜の匂いが詠み込まれている。たぶん悌二郎自身の家だろうと思う。家族の誰かが病んでいる。そんな気がかりがあって、椎の匂を堪えがたく感じているのだ。この四句には描かれていない作者の影が鮮明に見える。虚子でも秋櫻子でもない、悌二郎の句だと思う。

不思議な看板。イノベーション?

 

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