変わってよかった!DSM-5「性別違和」とDSM-4「性同一性障害」の違い~前~ | 佐藤なりに -ノンパスMtFが論じるジェンダーと偏見-

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後編 大学院の先輩からDSM-5日本語版をお借りすることができたので、今回はその中の「性別違和」について。
DSM-4の「性同一性障害」が「性別違和」に名称変更された...という「事実の一部分」が独り歩きし、「性同一性障害以外のトランスジェンダーやクエスチョニングが不可視化された!」という誤解が巷で生じていることを実感しております。
だからこそ、この件についてまとめ発信する意義はあるかと考えました。



(1)DSM-4「性同一性障害」←ひどい


性別違和について、「DSM-4のままが良かった」などということは決してない、と断言致します。


まず、DSM-4には「診断基準に当てはまる者が同性愛者、両性愛者、無性愛者であれば性同一性障害であると特定せよ」と書かれております。


「...は?」


ってなりますね、知識のある方ならば。
性愛と性同一性は必ずしも結びつくものではありません。例えば私なんかは、身体性は男性ですが自分のことを女性だと思っており、かつ女性指向です。
あ、DSM-4は和訳版しか読んでおりませんので、原著にはそう書かれていない可能性も微粒子レヴェルで存在します。しかしたとえ和訳ミスであってもひどい。

この他についてもDSM-4の性同一性障害についての記事は、全体的に浅い上に現代の常識とズレたところも少なくないです。まあ、20年前の研究結果ですしね...



一方、DSM-5には勿論そんなことは書いてありません。
それどころか、性別違和を「出生時が男性/女性」「早発性/晩発性」で分けて、個別に傾向を解説しております。とても丁寧です。
(これらの違いについては、また後日、別の記事にしたいと考えております。)


診断基準に当てはまる者が性分化疾患を伴う場合、または性別移行後の場合は性別違和を特定せよ
とはありますが、これはDSM-4と比べずともかなり妥当な基準でしょう。



(2)DSM-5 青年および成人の性別違和 診断基準


冒頭で申し上げた「巷での誤解」についての回答です。

不可視化などされていませんよ。

むしろ受け皿は大幅に大きくなり、DSM-4の「性同一性障害」に当てはまらなかったほとんどのトランスジェンダーらが内包され得る定義であるといえます。


少なくとも6カ月、以下のうち2つ以上に当てはまることが診断基準Aとなっております。(マニュアルの原文は直訳っぽくてわかりにくいので、私の解釈で整えています)


(1) 体験・表出するジェンダーと第一次/第二次性徴との間の著しい不一致


(2) (1)を理由に、第一次/第二次性徴から解放されたいという強い欲求


(3) 反対のジェンダーの第一次/第二次性徴を強く望む


(4) 反対のジェンダー(または決められたジェンダー以外のジェンダー)になりたいという強い欲求


(5) 反対のジェンダー(または決められたジェンダー以外のジェンダー)として扱われたいという強い欲求


(6) 反対のジェンダー(または決められたジェンダー以外のジェンダー)に定型的な感情や反応をもっているという強い確信


診断基準Bは、「その状態が、臨床的に意味のある苦痛と関連している。または、その状態が、社会、学校、他の重要な領域における機能の障害に関連している。


診断基準はこの2つです。だいぶ緩いですね。
この程度ならノンパスMtFの私だって当てはまります。Aは1と2と5と6です。
手術による身体性の変更を望まなくとも、反対の性になりたいわけでなくとも、この診断基準に当てはまり得るのです。
また、これはあくまで基準であり、これに当てはまるかどうかが全てではないでしょう


とりあえず、ここまででDSM-5の「性別違和」の概要は伝わったかと思います。
冒頭に述べた「不可視化」の誤解も解けたのではないでしょうか。


先程ちらっと述べましたが、もう少しご紹介したいところがありますので、後編 の記事もぜひご覧ください。



お読みいただきありがとうございました。


佐藤

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