企画段階の名前が『ジャック』だったウルトラ作品とは? | KILL YOURSELF

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企画段階の名前が『ジャック』だったウルトラ作品とは? 変更された理由が「衝撃」「仕方ない」

2025.08.09 片野

 

 

「ウルトラマンジャック」と聞けば、いまは誰もが『帰ってきたウルトラマン』を思い浮かべるでしょう。放送された1971年当時、同作の「ウルトラマン(初代とは別人)」には固有名がなく、ほかのウルトラ作品に出た際の呼ばれ方もばらつきがありましたが、のちにジャックと名付けられています。

 

 しかし、実はそのほかに名前が「ジャック」になる予定だったウルトラマンがいたのです。彼の名前は、現実の事件によって変更されてしまいました。

 

 そのウルトラ戦士とは、「ウルトラマンタロウ」です。『ウルトラマンタロウ』とは、改めて見ると不思議なタイトルだと思わないでしょうか。現在もなお、「ウルトラ兄弟」の核として、根強い人気を誇るウルトラマンタロウですが、「M78星雲」出身の宇宙人と考えると、やはり「タロウ」という名はなかなか挑戦的に感じます。

 

『ウルトラマンタロウ』は、これまでのウルトラシリーズ同様に、さまざまな題名候補がありました。タイトルが、『ウルトラマンタロウ』に至るまでの経緯を見ていきましょう。

 

 1973年、円谷プロの創立10周年記念番組として『ファイヤーマン』、『ジャンボーグA』が制作されるなか、新たなウルトラシリーズとして円谷プロが提案したのが『ウルトラジャック』という企画でした。その後、すぐに『ウルトラマンジャック』と改められたこの企画には、すでに「スカイホエール」「ラビットパンダ」といった、『タロウ』でおなじみのメカたちが名を連ねています。

 

 ではどうして、『ウルトラマンジャック』はボツになったのでしょうか。その理由としてあげられるのが当時、世界的に多発していた「ハイジャック」事件です。たとえば、前年の1972年11月6日には、かの「日本航空351便ハイジャック事件」が発生しています。「ジャック」という響きに負のイメージがついたことから、『ウルトラマンジャック』という名称は封印されたのです。

 

 この致し方ない理由により、円谷プロは急遽のタイトル変更を余儀なくされます。そんななか、最終案としてジャックを「和風」に転じさせたタロウという名称が採用されました。

 

「ウルトラ特撮 PERFECT MOOK vol.11 ウルトラマンタロウ」という書籍によると、このアクロバティックな変更を可能にしたのは、企画当初から本作に「おとぎ話(メルヘン)」の精神性が織り込まれていたからだそうです。

 

 おそらく、「ジャック」は『ジャックと豆の木』に代表されるような、西洋のおとぎ話などにもよく出てくる定番の名前のため、その代わりとして日本でさまざまな「〇〇太郎」という民話が存在する名称、「タロウ」が採用されたのでしょう。この名前が、そのまま『ウルトラマンタロウ』全体にただよう「楽しさ」や、陽気な雰囲気を体現してくれたのです。

 

 企画段階ではほかに、「ウルトラマンキング」「ウルトラマンZ」「ウルトラマンガッツ」「ウルトラマンスター」などのタイトル候補があげられていました。ウルトラマンキングは、そのまま別キャラクターとして登場しますし、ウルトラマンZにいたってはほぼ半世紀後の2020年に、そのまま『ウルトラマンZ』という新番組として採用されています。

 

 当時の企画案が、いかに多くの可能性をはらんでいたかが、よく分かるエピソードです。前述のとおり、ボツになったウルトラマンジャックの名称も、1984年に公開された映画『ウルトラマンZOFFY ウルトラの戦士VS大怪獣軍団』の公開に先立ち、『帰ってきたウルトラマン』のウルトラマンの名前として採用されました。

 

 ちなみに『ウルトラマンタロウ』の主題歌の歌詞は、昭和を代表する名作詞家、阿久悠さんが手がけています。阿久さんがこのオファーを引き受けたのは、タイトルが息子と同じ名前(太郎)だったからという理由もありました。もし『ウルトラマンジャック』のまま企画が進んでいれば、あの主題歌も実現していなかったことでしょう。

 

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 以上、ニュース記事を引用させてもらったが、「ウルトラマンジャック」と言えば『帰ってきたウルトラマン』の事を指すのはファンの間ではご承知の通りだ。しかし、『ウルトラマンタロウ』が企画当初がジャックだったという事は今回のニュースで初めて知った。

 

 この名前がボツになったのは、当時多発していたハイジャック事件が影響したとされる。また、他には「ウルトラマンキング」や「ウルトラマンZ」も候補に挙がったが、後に前者は別のキャラクターとして登場し、後者は半世紀経ってから『ウルトラマンZ』として登場している。

 

 以前もウルトラマンジャックについてのニュースが取り上げられたが、『帰ってきたウルトラマン』がジャックと名称が採用されてから40年以上経つ。だが、この名前に対して未だにしっくりこないファンは中にはいて、「新マン」とか「帰マン」と呼ぶ人も少なくない。