ほととぎすを詠った歌(万葉集より五首)


 先日、ほととぎす(杜鵑)の初音についての
ブログを投稿しました。

 、4日前からは、毎日、朝、昼をとわず、
 よく鳴いています。

  うぐいすとかけ合うように。
  今年は、例年より、よく鳴いています。

  今回は、万葉集に詠われている、ほととぎすの
 和歌を五首、紹介いたします。

  〇「万葉集全釈」中西 進編。

1469「あしひきの 山霍公鳥 汝が鳴けば 
     家なる妹し 常に思はゆ」 
    (弓削皇子)

    (あしひきの やまほととぎす ながなけば
     いえなるいもし つねにしのはゆ)

     あしひきの やまほととぎすよ。
     おまえが鳴くと、家に残してきた妻が、

     いつも思われることだ。

4194「霍公鳥 鳴き渡りぬと 告ぐれども    
     われ聞き継がず 花は過ぎつつ」

        (ほととぎす なきわたりぬと つぐれども
    われききつがず はなはすぎつつ)

    霍公鳥が鳴き翔けっていると、人は
   言うのだが、私は、しばらく聞いていない。
 
    藤の花は、どんどん盛りを過ぎているのに。

3851 「心をし 無何有の郷に 置きてあらば 
      貌姑射の山を 見まく近けむ」
     (大伴旅人)

    (こころをし むかうのさとに おきてあらば
     はこやのやまを みまくちかけむ)

     心を無何有の里に置いていたら、
    貌姑射の山をみるのも、近いだろう。

4091「卯の花の ともにし鳴けば ほととぎす
     いやめづらしも 名告り鳴くなへ」
    (大伴家持)

    (うのはなの ともにしなけば ほととぎす
     いやめづらしも なのりなくなへ」
    (大伴家持)

     卯の花の咲くのと一緒に鳴くので、
    ほととぎすは、一艘、愛すべきであるよ。

     名告り出るように、鳴くにつれて。

4092「ほととぎす いとねたけくは 橘の
     花散る時に 来鳴き響むる」

    (ほととぎす いとねたけくは たちばなの
     はなちるときに きなきとよむる)

     ほととぎすが、大変ねたましいことは、
     橘の花が散る時に来て、鳴き声を

     響かせることだ。