私は3カ所のバレエスタジオに通っています。


バレエは私にとって気分転換なので、レッスン内容がそれぞれ違うというのは変化があって楽しいことですが、発表会に出るという目標がある方は、一カ所で継続的なお稽古したほうがいいのでしょうね。


23年ほど通っているスタジオは、バレエ団の中にある大人クラスです。

昔から、ポツリポツリとバレエ団の生徒さんやプロの方が参加しておりました。


生徒さんは教えてくれる先生を慕って、プロの方は体の調整のため、また、ここでレッスンを軽くして、そのあと舞台の自主練をしたり、たまにコンクール指導の前の体ならしという人もいます。


23年もいると、いろんな若い人を見てきました。「くるみ割り人形」の子供役で出ていた子たちがダンサーになったり、教えをしたり、教室を持ったりしています。


もちろんバレエの世界から離れた人がほとんどだと思います。


印象に残っている人がいます。


私が出会ったのはもう20代。美人ですらりと背も高く踊りもきれいでした。

でも、おばさま方に、「ちょっと感じが悪い」と思われるであろう態度をとったりしていました。


不思議だったのはマスクをつけていたこと。(コロナ前ですよ)


事情に詳しい人に聞いたところ、お金持ちのお嬢さんで、将来性もあったので先生たちにも可愛がられていたようです。でも、心がついていかなかったのでしょう、バレエ団から姿が見えなくなっていたそうです。


それでも大人バレエのレッスンに顔を出したということは、バレエと縁を切ったわけではなかったのでしょう。


そうこうしているうちに、1年ほどたったらマスクがとれて、体もシェイプされて、気がついたら大人クラスでは姿を見ることはなくなりました。


そして、バレエ団でソリスト級の役をもらい、主役も踊る機会もありました。


その1年後、また姿を見かけなくなってしまいました。


だめだったのですね。


感じが悪いというよりは、私にはおびえているように見えていました。

それはマスクしていたときも、マスクをとったときも同じでした。


人はいろんなことで傷ついています。

目には見えないけれども、体には矢が刺ささっていたり、すり傷があったり、もちろん治ったあともあるのでしょう。生きているということは、そういうことです。


何となく気になったり心に残る人がいるものです。


彼女もそんな一人です。