昨日、自民党本部で国防議連を開催し、ミサイル防衛の勉強会を行った。

 

今回は、総括として杉本正彦元海上幕僚長からヒアリングを行った。

 

まず、過去の勉強会での検討内容を踏まえ、新型イージス艦(SPY-6とベースライン10)とBMD専用艦(SPY-7とベースライン9)の比較から入った。

 

米国が今後50隻導入予定であることや、ポーランドとルーマニアのイージスアショアも同様のレーダーシステムに改修予定であることから、日米連携や技術実績の面から新型イージス艦(SPY-6とベースライン10)が良いとのことだ。また、柔軟な運用に関しても、状況に応じて東シナ海や日本海に展開することができる。更にベースライン10によって、新たな脅威へ対処できる拡張性も備えている。

 

一方、未だ開発されていないSPY-7を選択することには不安があり、ましてやBMD専用艦は対潜水艦、対水上艦、対経空脅威に対する防御、新型ミサイル対応ができないことに加え、柔軟な運用ができない。

 

また、通信においても、日米のネットワークに繋がらないということは無いかもしれないが、スピーティーかつ正確な連携を取れるのか疑問である。日米同じアセットで訓練を重ね相互に機器の不具合やバグなどの修正情報を交換し合いながらより信頼性、安定性の高いシステムを構築し実戦に備えることが大事である。

 

次に、敵基地攻撃能力に関しては、前回の村川提督同様、VLSとトマホークによって、抑止力を高上させることが重要であるとの話であった。

 

最後に、自衛隊、特に海上自衛隊の人員が足りない問題に関しては、隻数よりクリュー数を多く確保することにより、隊員の負担を軽減するなどで対応することもできるが、根本的に充足率を向上させなければならないとのことである。

 

事務局からは、米国防総省と会計検査院の資料を用いて、ベースライン9と10の比較に関して、ベースライン10は、遠隔交戦能力、多目的・複数同時遂行能力が付加され、新たな脅威に対処するために設計されていることを示した。

 

 

国会議員達からは、「違約金についてはどう考えるか?」との質問があり、杉本提督は「それを織り込んだとしても、新型イージス艦が良い」と回答。

 

「BMD専用艦にSPY6とベースライン10を搭載するのはどうか?」との質問に対しては、「米海軍との連携や運用柔軟性が無い」と回答。

 

また、「BMD専用艦の場合は、日本独自で開発しなければならないが、技術的な問題はあるのか?」との問いに、

「昭和63年に「こんごう」型イージス艦を入れる際、対潜戦機能を売ってもらえなかったので、日本で独自にソナーやASWを開発し、米規格のイージス艦に組み入れようとしたが、なかなか統合が出来ず苦労した。」という現場の話を頂いた。

 

他にも、「陸上イージスの可能性はあるのか?無人島に設置できないか?」という質問に対して、

「無人島に設置した場合、防護はどうするか?海上保安庁が常時守ることも困難であり、護衛艦が必要になるのであれば、意味が無い」との話だった。

 

「SPY-7を陸上に配備し、BMD専用に使用することも検討して欲しい」と防衛省への意見も出た。

 

次回は、この総括を踏まえ、提言の取りまとめを行う。我が国をとりまく安全保障環境が、目まぐるしく変化していく中で、日米連携含めた国際情勢を直視し、後世に恥じることのない、選択をしなければならない。