「我が国に関係する船舶の安全確保に関する政府の取組」について、
外交部会・国防部会・外交調査会・安全保障調査会合同会議にて、ここまでの検討状況が報告された。

政府としては、
中東地域における平和と安定及び我が国に関係する船舶の安全確保のために、
我が国独自の取り組みとして、以下を政府全体としての取り組みとして実施する方針。

1.更なる外交努力
 中東地域の緊張緩和と情勢の安定化に向けた外交努力を実施

2.航行安全対策の徹底
 関係業界との綿密な情報共有をはじめとする航行安全対策を徹底

3.自衛隊による情報収集活動
 我が国関係する船舶の安全確保に必要な情報収集態勢の強化のため、自衛隊による情報収集活動を実施

その中で、自衛隊による情報収集活動の検討の方向性は、以下の通り。

○自衛隊の活動の法的根拠
防衛省設置法第4条第1項第18号に基づく「調査及び研究」として情報収集活動を実施。
不測の事態の発生など状況が変化する場合には、自衛隊法第82条に基づく海上警備行動の発令を想定。

○情報収集を行うアセット
新たな艦艇1隻の派遣及び海賊及び海賊対処部隊の航空機の活用を想定。

○自隊隊が情報収集を実施する地理的範囲
オマーン湾、アラビア海北部及びバブ・エル・マンデブ海峡東側のアデン湾の公海とする方向で検討中
(新たに海域を加えることはしない方向)。

○不測の事態が発生するなど状況が変化する場合の対応
関係省庁は連携して状況把握努め、対応を強化。
更なる措置が必要な場合には海上警備行動を発令。

○諸外国等との連携
米提案の会用安円保障イニシアティブなど特定の枠組みに参加せず、独自の取組として行うが、
諸外国等と意思疎通・連携。

○自衛隊の活動期間
活動期間を区切る方向で検討中。

○派遣隊員の処遇の確保
派遣任務にあたる隊員が安心して任務に専念できるよう、特に手当や保険も海賊対処活動と同じ規模にすることで調整中。

佐藤からは以下の5点を提言した。

1.海自艦艇の補給拠点は、実績に加え、外交上の観点からもイランと対峙している国々ではなく、オマーン等中立的な国にすべき。
(防衛省からは、アラビア海での活動もあるのでご指摘の点を踏まえ検討)

2.イラン側への説明は大統領や外務省、国防省だけではなく、大統領の指揮の外にあり、
ペルシャ湾やホルムス海峡を担当しているハメネイ最高指導者直轄の革命ガードにも丁寧に説明すべき。

3.その観点からも、派遣の閣議決定もロウハニ大統領と総理との会談の後にできるのなら望ましい。

4.特段重要だと思うのは、本派遣が情報収集目的なら、有志連合等の情報が集約される場所に連絡員を派遣し、

その情報を日本関連船舶の安全確保に活用すべき。
(防衛省からは、有志連合司令部には派遣できないので、米軍部隊等に派遣を検討)

5.海警行動時の部隊行動基準は、日本関連船舶でも、旗国が日本とそうではない場合は変わってくる可能性があるので、
国際法の観点からからもしっかり詰め、実働訓練してから派遣すべき。
また、日本関連船舶以外の民間船舶からの救助要請等の対応についても、しっかり詰めてから派遣すべき。

今後とも、適切な方向に向かうように、外交と安全確保、円滑な任務遂行の観点からも佐藤も汗をかいていきたい。