11月22日(火)、自民党本部で開催された外交部会に出席。安倍総理とトランプ次期米大統領の非公式会談、ならびに安倍総理が出席したペルーでのAPEC会合の概要について、外務省から説明を受けた。

 

トランプ次期大統領は、新政権の閣僚人事の人選を進めている。安全保障のキーマンとなる国防長官にマティス元海兵隊大将、国家安全保障問題担当の大統領補佐官にフリン元陸軍中将が指名される可能性が取りざたされている。しかしフリン氏は中東の専門家であり、アジア・太平洋地域にどこまで関心を有しているのか、現状ではよく見えてこない。他のポストを見ても、アジア太平洋地域に造詣の深い専門家が見当たらない。

 

アジア・太平洋地域の安定は、アメリカの軍事力に寄るところが大きい。トランプ氏の側近にアジア・太平洋地域の専門家が不在となれば、太平洋におけるアメリカのプレゼンスの低下や中国の伸張につながるかもしれない。日本政府としては、米軍のアジア太平洋地域でのプレゼンスが日米双方の重要な利益となっているということ、地域の平和と安定に必要不可欠であることをトランプ政権に強調していかねばならない。

 

ところで、APECにおいて安倍総理は、ロシアのプーチン大統領と首脳会談を行った。従来から、日露間で経済面から北方領土を共同開発しようとの検討がなされていると報道されている。しかし、この共同開発が、結果として北方領土での日本の主権放棄につながらないよう、しっかりと注視しなければならない。プーチン大統領は、「(北方四島は)国際的な文書によりロシアの主権があると承認された領土だ」と明言しており、今後の日ロ交渉がどちらの方向に進むのか、現時点では判断できない。日本政府は北方領土における日本の主権維持を確認し、ぶれずに粘り強い交渉を継続していかねばならない。