「動的平衡」福岡伸一 書評レビュー


多読書評ブロガーの石井です。


前回の記事が松岡正剛氏による文章術でしたが、今回は、文章力がすごいと思う人の本を紹介します。


「生物と無生物のあいだに」の福岡伸一さんです。


前回の「できそこないの男たち」より、「生物と無生物のあいだに」のメインテーマと近い内容になっており、一番福岡伸一さんの強みを持っているテーマというような点でも、筆力を感じる文章に感動しました。


■ストーリー力


難しい学術的なことも含めて、人を中心としたストーリーに乗せて普遍的なメッセージを発信する文章力に驚嘆します。


普段、あまりフィクションは読まないですし、文章力というような観点から本を読むことはしないのですが、福岡伸一さんの文章を読んでいると、自然とこの頭の中に展開されてくるイメージは何で生まれてくるのだろうという感覚を受けて、自然と文章の成り立ちに目が行ってしまいます。


情景描写から始まる形容や、比喩表現しかり、構成の伏線の張り方そのほか、すごいものがあります。



■アメリカ的ストーリーテリングが源泉?


先週東洋経済の編集の方にお会いしたのですが、その彼とも福岡さんの文章力はすごいという点で意見が一致しました。


その方が言うには、アメリカ的な編集方法を日本語の文章の上手い人が書くとああなるのではないかということでした。


アメリカは、国としての歴史が浅いため、歴史=人物伝になるということを聞いたことがあります。人物伝=ストーリー。

オバマ大統領の演説しかり、人を鼓舞するための文章術が、非常に発達している国なのかもしれません。


筆とペンだけで世界を操作してくれようとするなら、平和で良いなあと思うのですが、、、


以下、本書の内容面についてのレビューです。


■勉強する理由:世界は直感的に把握されている


世界をごく直感的にしか見ていないから勉強が必要だと書かれています。

直感の誤謬を少なくして、直感が把握しずらい現象へイマジネーションを届かせるために勉強しなければいけないのです。


■直感的意識は動物でも持っている。


故ライアル・ワトソン「エレファントム」「思考する豚」という2009年発刊予定の本の内容を引き合いに出して、意識というもののあり方に問題提起しています。


餌の奪い合いの駆け引きを観察すると、豚でも、相手の「意識」を読んだ活動をしていることがわかります。人間だけが、意識を持っているという考えは、間違っているということになります。


実際、意識ってなんなのでしょうか?


こうして事例をうまく使いながら、人の認識を揺らしていく語り口が福岡伸一さんの文章の真骨頂です。



■意識している感覚:体内時計の話


タンパク質の新陳代謝の速度が体内時間の秒針になると言われています。新陳代謝速度は遅くなる同じ時間がゆっくり回り、かつ、もうそんなにたってしまったという感覚になるとのことです。


■伏線


この新陳代謝の速度という伏線が、最終章の最後で、「可変的でありながらサスティナブル」というような表現で、動的平衡の意味について、語られる伏線になっています。


■動的平衡とは


エントロピー増大、つまり、物質が固定された状態から崩壊していく速度より、自分自身で自分を壊して、再生していくという新陳代謝の速度が速いから、自分を平衡状態に保っておけるのだと説明されます。


人は、自己破壊と再生を繰り返すことで、自分を保つことができる存在です



動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか
福岡伸一
木楽舎
売り上げランキング: 243
おすすめ度の平均: 4.0
4 ミクロの世界に生命のダイナミズムを見る醍醐味
3 少し緩めのエッセイ集
5 「物事の上達」を考える上で大切な視点
5 もっと勉強したくなる。
4 物理屋に言わせれば「動的平衡」じゃなくて「定常状態」が本書の主題

目次
第1章:脳にかけられた「バイアス」
第2章:汝とは「汝の食べた物」である
第3章:ダイエットの科学
第4章:その食品を食べますか?
第5章:生命は時計仕掛けか?
第6章:ヒトと病原体の戦い
第7章:ミトコンドリア・ミステリー
第8章:生命は「流れ」である


【参考関連図書】

福岡伸一さんの文章力の真骨頂が発揮されている本としての「生物と無生物のあいだに」
と、人間や生物のあり方について考えたい際のの参考図書として「サブリミナルマインド」
を上げます。


「生物と無生物のあいだ」福岡伸一

書いてある普遍的なテーマが書かれていることと共に、特にあとがきの表現描写は
いろんな表現の伏線と、福岡伸一氏の生い立ちのイメージのなまなましさに驚愕
した覚えがあります。

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)
福岡 伸一
講談社
売り上げランキング: 356
おすすめ度の平均: 4.0
5 切ない一冊。
1 いわゆる「超」の付く駄本です
5 生命への畏怖を感じる
1 所謂知識人が挙って薦める理由
4 読み物としての面白さを併せ持った一冊です


「サブリミナルマインド」下條信介

「意識とは何だろうか」も読みやすい良著でものすごくオススメですが、本書は、
更に突っ込んで、昆虫レベルの実験まで探索の範囲を広げた上で、生命における意識とは
何かということについての考察を重ねている本です。


サブリミナル・マインド―潜在的人間観のゆくえ
下條 信輔
中央公論社
売り上げランキング: 2349
おすすめ度の平均: 4.5
5 ヒトがいかに無意識に影響されているかを知る
4 意識とは何か。意識と無意識、認知の顕在的過程と潜在的過程はどのように違い、どこに境界があるのか。
5 「自分のことは自分がすべて知っている」のか?
4 とても興味深い内容
5 心理系自己実現本の基礎理論

【参考エントリー】

「ユーザーイリュージョン」書評レビュー 第93旅 ★★★★★


2008年8月度ランキング 「出現する未来」
 


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