旧古河庭園も梅雨


 7月初めの平日、よんどころない事情があって上京。空き時間があったので、知友との待ち合わせ近くの旧古河庭園を訪れた。

 バラでも知られる、東京・上中里にある旧古河庭園は、ひっそりとしていた。散策中に見た訪客は、5~6人である。



 

 同庭園は、いまは都立公園で、国指定の文化財である。洋館建物内の見学は、往復はがきによる事前の申し込みが必要で、今回は不可。庭だけぐるり回って、すぐ退出。季節に関係なく、いつも好ましい場所だ。

 


 病気見舞いを終え、一句吟じたのは、平日の帰路、ガラガラ電車内。

 

 

 樹下を掃く庭師の背濡る柿の花   (ひとみ)

 庭園の元所有者、古河財閥の栄枯盛衰は、概要を少し知っただけでも、感慨ひとしおのものがある。足尾銅山の鉱毒事件、大豆豆粕取引による巨額損失など、どれだけ多くの人の波乱万丈を産み落したことか。伝記や社史などだけでなく、もっと研究され、論じられ、小説などに描かれてよいのではないか。



 

 足尾辺りはもとより、以前、日光東照宮の裏手の住宅地を歩いたときも、「ここにも古河の跡が」と、往時茫々の気にさせられたっけ。