その17(№6288.)から続く

今回は最終回。連載の最終回は「未来予想図」というか、将来を占ってみるのが半ばお約束ですが、今回もその伝に漏れず、「新幹線接続特急の将来」を占ってみたいと思います。

【新系統の誕生の可能性】
新幹線網の拡大・充実に伴って期待されるのが「新たな新幹線接続特急」が誕生するかということですが、それは十分にあり得るところです。
考えられるのは、北海道新幹線札幌開業時と、西九州新幹線全通時。
前者に関しては、現在札幌-旭川間を走っている「カムイ」「ライラック」が新幹線「はやぶさ」に接続する体系に改められることになるでしょう。そのころには789系0番代は退役することになるかもしれません。
それと北海道新幹線は倶知安・新小樽回りなので、東室蘭・苫小牧方面へのアクセス列車として、長万部発着の短距離特急が誕生する可能性もあります。あるいは現行「北斗」の函館-長万部間をカットした形態になるか。
後者に関しては、西九州新幹線が全通して新鳥栖-武雄温泉がつながったとしても、佐世保・ハウステンボス方面へのアクセス確保の必要は残ることから、武雄温泉発着の短距離アクセス列車の運転の可能性があります。
ただしこちらは、現行のように電車での運転になるかというのは疑わしいと見ています。というのは、佐世保線の電化設備を維持するかが疑問だから。流石にそのころには783系は淘汰されるでしょうが、では後継者(車)が電車になるかといえば、そうではないような。
管理人は、武雄温泉-佐世保・ハウステンボス間のアクセス列車は気動車、それもJR東海のHC85系のようなハイブリッド車両で運転されるのではないかと思います。ハイブリッド車両であれば、電車のライセンスしか持たない運転士も運転が可能ですし(ただし追加講習の受講義務はある)、九州島内の他系統の気動車特急の置き換えにも供することができ、基地を共通化すれば予備車も減らせて合理化できるから。
以前の記事で、仮ごしらえの新八代とは違い、武雄温泉は恒久的な造りになっていることを指摘したことがありますが、これはまさしく、佐世保・ハウステンボス方面へのアクセス列車運転とそれとの接続を視野に入れたものではないかと思います。勿論、佐世保線を改軌して山形・秋田新幹線のような「新在直通」を図ることもできますが、それをやると大村線の列車が佐世保へ入れなくなりますし、それを避けようとすれば早岐-佐世保間の三線軌化が必要となり、そこまでコストをかけるかは疑問に思われます。
なお付言すれば、北陸新幹線が大阪に達した暁には(いつになるやら)、「サンダーバード」が廃止されるのは確実と思われます。「しらさぎ」は残るでしょうが、名古屋発着の列車のみになり、米原発着の列車は廃止になるのではないでしょうか。流石にこちらは、管理人が存命中に開業するとは思えないので、管理人はあの世から眺めることになると思われますが。あの世からはブログ記事をアップすることができないのは残念至極(苦笑)。

【乗換えのハードルを下げる方策】
新幹線と在来線相互の乗換えは、どうしても面的な移動を伴うことから、乗客に対しては負担を強いるものとなっています。
そこで、その負担を最小限にすべく、新幹線と在来線が同一ホーム(同一平面)で乗り換えることを可能にした例が出始めました。
その事例の嚆矢が新八代駅ですが、あれは在来線と新幹線を一体的に運営するという方針のもとに作られたものですから、他に一般化することはできないと思われます。武雄温泉駅も同様。ただし武雄温泉駅の場合、在来線の「リレーかもめ」でなければ同一ホームでの乗換えができないようです(管理人は『リレーかもめ』ではない『ハウステンボス』で武雄温泉に到着したら、反対側の在来線専用ホームに降ろされ、階段を下りて改札を通らざるを得なかった)。
そうではなく、通常の新幹線・在来線の接続駅で同一平面乗換えが可能になっている事例がいくつかあります。
その第一号が、平成28(2016)年に開業した新函館北斗駅。この駅は旧渡島大野駅を大改造したものですが、新幹線ホームが地平に設けられ、同じく地平に設けた在来線ホームと同一平面での乗換えを可能にしています。ただし新八代や武雄温泉と異なるのは、同一平面上に中間改札があることですが、これはやむを得ないところでしょう。このような構造になったのは、札幌方面への特急「北斗」との乗り換えの便宜の他、新函館北斗駅が函館市中心部へのアクセスに難があることから、函館駅へのアクセス列車「はこだてライナー」との乗り換えを容易にするためとされています。
その2年後の平成30(2018)年には、新潟駅の在来線高架化に伴い、在来線5番ホームと新幹線11番ホームを同一平面として供用を開始しました。これにより、新幹線「とき」と在来線特急「いなほ」との、同一平面での乗換えが可能となっています。
この方式は新幹線・在来線相互間の乗換えとしては非常に優れたものですが、難点は新幹線・在来線ともホーム・番線の運用に制約が生じることと、複数方面にわたる場合の運用が困難であること。後者は、岡山駅のように複数方面に接続列車が発着する場合、あるいは博多駅のように大規模な駅である場合には、実現はほとんど不可能であること。
乗換えのハードルを下げる、あるいは取り除く方向の究極は、言うまでもなく山形・秋田新幹線のような「新在直通」しかありませんが、これについては車両が在来線サイズのため、輸送力に限界があること、開業後に輸送需要が大膨張した場合に対応が困難になること(これは山形新幹線で顕在化している)が難点といえます。さらに「新在直通」は在来線のネットワークを分断することと表裏一体でもあり、この点の可否が「新在直通」導入の可否の分かれ目と言えそうです。山形・秋田新幹線の場合は、奥羽本線の福島-新庄間と田沢湖線が他路線から孤立しても無問題(と考えられた)からこそ実現したものですし。
なお、「新在直通」に所謂「フリーゲージトレイン」を導入すれば、在来線ネットワークの分断という問題は回避できますが、それでも輸送力の問題は残ってしまいます。
そう考えてくると、新幹線からの接続列車の需要が高い地域については、新幹線の延伸しか抜本的な解決策はないように思われます。
最後は締まらない結論になってしまいましたが、管理人の頭の限界ということでご容赦ください。

これで今年令和6年、2024年の連載も終了です。
来年もネタを考えておりますので、どうぞお楽しみに。
今年は「私的鉄十大ニュース」を復活させますので、まだ「よいお年を!」とは言いません(笑)

-完-