さて、GW関西行脚の三日目は九度山の宿から早朝に出立し5:49発のほぼ貸切電車で目的地に向かいました。
極楽橋駅から、急峻な登りの高野山ケーブルカーに乗り継ぎとなります。
6:26に高野山駅に着き、すぐさま主要部方面へ行く路線バスに搭乗し、千手院バス停で降車するが、あー、雨が本降りになってる…
GW全般の天気予報としては、この先はずっと晴れ間が続く案配なので、まあ、この日と一昨日の金剛山起点の山行に関しては許しちゃろうか(笑)
このエリアは言わずと知れた仏教施設の集積地であれこれ見所が有る訳ですが、金剛峰寺に絞って神聖な古道に脚を踏み入れる前の挨拶をして歩行スタートにしました。
これからチャレンジする熊野古道・小辺路は、その3か月前の中辺路を歩き切った事で、次なるステップとして挑戦心が湧いてきたものになります。
この、高野山~熊野本宮大社のルートは、総距離:約70km、標準コースタイム:21時間30分 1000m級の峠が4つ(水ヶ峰・伯母子峠・三浦峠・果無峠 )も連なる山岳路にして、テント泊の場合は体力・天候次第で2泊3日も可能という解説を見かけました。つまりは、一泊二日で済んだ中辺路歩きの感覚で挑んだらトンでもない誤算になるという事です。
中辺路歩きの時もお世話になった、熊野古道の『街道マップ』を今回も活用。
さてさて、歩き始め。高野山大学脇なども通りながら、この金剛三昧院の門前を右折するのですが、舗装道路とは言え、のっけからの急坂に自信荘喪失させられちゃった…
例年の事ですが春山の歩き始めは前シーズンで培ってきた体力は一旦、パージされてます(苦笑)。更に、冬場の血行悪さで脚の悪さを引きずり、久々の大型ザック背負い(テントも新調したが、これも以前のより重くかさばる)は、四六時中、肩に違和感やら痛みやらを与える状況。
こんなんで目的地まで進めるのか(ダメだった時に引き返す公共交通機関はほぼ無いぞ)…、の不安が序盤から付き纏うのです。
それでも、こうした古道ならではの雰囲気に出会うと、簡単にリタイヤできるか! という気持ちが呼び覚まされます(こちらはろくろ峠)。
しばらくして再び舗装道路に入り、グイグイ下っていく先で迷い込んでしまった謎の園内。
行先案内看板など無く、この先どう進んで行けばよいのか右往左往してしまった。雨が降りしきる中なので億劫だったが、地図を確認するが斯様な細かい処の記載は無くて、途方に暮れかけ、今なら高野山に戻った方が(つまり熊野古道は中止した方が)いいんじゃネ? って頭がよぎる程でした。
それでも手元地図に赤い橋が目印の様に記されていたので、舗装道路にもどって更に下ってみたところそれらしき所が見えてきた。
先ほど迷った処って、つい舗装道路から外れて吸い寄せられてしまう雰囲気だったのですよね。現地の案内板だか、その図面に”舗装道路をずっと進む”など書いて欲しいものです。
橋を渡ったら、今度は急な上り返し。この箇所も、道が合ってるのか不安気で登る羽目になりました。
折々で山道→舗装道路に切り替わるルートになっている訳ですが、大滝集落に入ったところで、ひと時の小休止ポイント。
その後、大き目の道が見えてきました。
高野龍神スカイラインという車道が熊野古道の一部になっているのです。車はほとんど走っていなかったが、轢かれない注意は当然必要。雨で視界悪くてカーブの先などよくわからないし。
次の山道に入った時、水ヶ峰集落跡というポイントを通過。明治中期の最盛期に八戸の宿が軒を並べる賑わいだったとの解説板が有りました。
10時38分にして此処の標識が示す行先案内は、高野山から9.0km、この先の大股までは7.4km。序盤の妙な迷いによる時間ロスは大きな影響無し、と考えておこう。
その先、再び車道に入る。相変わらず先行く道は舗装道路と言えど、謎めいた案配。取り敢えずお昼過ぎにはバス停のある大股に着ける筈ではないかと。
ヨシヨシ、それらしき所が見えてきた。
最後の下りで前日の槙尾山下りと同様の、膝(腸脛靭帯)の痛みが出て牛の歩みの如くとなってしまった。本日は、伯母子峠の山小屋を目指しているのだが、こんなペースを引き摺ると、そこまで辿り着く自信が無くなる。
そんな思いの中、見つけた自販機は砂漠の中のオアシス! そこで今回の道中で初めて他の登山者を三名ほど見かけました。
雨を浴びてきた状況なので喉の渇きは無かったが、缶コーヒーの暖かさに恋焦がれていた訳ですよ(笑)。ここで携行食(おにぎり)も食べるなど、30分ほど体休めしたところ、膝の痛みは引っ込んだみたい。
この大股はそのまま橋を渡れば伯母子岳方面に上る登山口となっています。つまり今の自分には荷が重い登りが待っているという事。
兎に角、粛々と前を進むのみ。もしキツくなったら適当に止まったり休んだりすればいい。そう開き直っていたら特にアクシデントも無く次の目印ポイントが見えてきた。
それがこの萱小屋跡…、普通に避難小屋として機能しています。宿泊地の第二候補だったがまだ14時手前なので、その先を選びます。
陽射しの影が見えていますが、雨が上がるなど状況が好転。
フラットでかなり歩き易い道になってきました。時刻は14時47分、前方は桧峠の分岐の案内標識で、宿泊予定地にした避難小屋のある伯母子峠まで3.5kmだと。辿り着けないかも…、の不安がようやく払拭されました。
見っけー。
キャパは10人程度の規模で、この日は8人で収まった。キャパオーバーの場合(テント持ってきているが)小屋に入れてくれないのかな、という不安も持っていたので、そちらも払拭(笑)。
そうそう、入る際にマスク着けてないと嫌がれるか気になって先客たちに尋ねたが、あー、皆着けてないですよ、と回答が有り。
自分もマスクなんて外して、斯様な環境での空気を一杯吸ってれば自然免疫が獲得できる、って話を前から信じてますからね。ここの人達も同じ認識なのかもしれません。
それにしても、こういうところで山談義をするのも久しぶり。やはり土地柄が西日本在住の人が大半で、そちら方面の話が中心だったが己も最近関西の山歩きをかじっているので、ある程度話をかみ合わすことが出来たのが幸いでした。
小屋前に分岐案内があり、まだしばらく陽が沈まなそうだったので、20分ほど登って伯母子岳山頂に立つことが出来ました。
日本二百名山に選ばれていて、360°のパノラマ景色が味わえるというご褒美を貰った、という事でありましょうか。
<当日の行程>
高野山金剛峰寺7:00過ぎ→7:16金剛三昧院入口→7:31ろくろ峠→8:11薄峠→8:52赤い鉄橋(御殿川)→9:10大滝→9:54高野龍神スカイライン合流点→10:38水ヶ峰集落跡→11:29平辻→12:30大股バス停・伯母子岳登山口12:58→13:49萱小屋跡13:55→14:47桧峠→15:15伯母子岳分岐→16:18伯母子峠・避難小屋(泊)
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