八重洲T-box「渡辺つぶら展ーお好み八百万神図ー」に展示した作品です。
「鹿の玉像」石粉粘土・アクリル・針金 2024年
民族学者早川孝太郎著「猪・鹿・狸」によると、
愛知県新城市にある、大宝2年(702年)に利修仙人が開山したと伝える鳳来寺が全盛の頃十二坊中の岩本院には利修仙人が百済から持ち帰った瑠璃の壺、龍の玉、熊の角、鹿の玉、一寸八分の籾、浄瑠璃姫姿見の鏡、東照公佩用の鉄兜の7種のお宝があったそうで、廃院の後、宝は散逸したが、鹿の玉だけ密かに伝わったとのこと。
この玉は、「鶏卵大のやや淡紅色を帯びた玉で肌のいかにも滑らかな紛れもない鹿の玉だった。土地の言い伝えによると、たくさんの鹿が群れ集まって、その玉を角に戴き、角から角へ渡しかけて興ずるので、これを鹿の玉遊びと言うて、鹿が無上の豊楽であるという」と書き記しています。
この鹿の玉は 鹿殺して獲た玉ではなく、群れ鹿が玉遊びを興じた玉に限られ、この玉を持つと金銀財宝が自然に集まるといわれたそうです。
山本ひろ子著「摩多羅神」を読み、描いた作品です。
下は「鹿の玉図」油彩・キャンバス F6 2024年



