ふぁんたじー① | kei'

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日々のこと

慢性satoshic


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今日も編集長に叱られた・・・

絶対怒鳴られると思ったのに

覚悟して臨んだのに


優しく話しかけられると  まだかまだかってかえって怖い

怒鳴られると ちゃんちゃんで終わちゃうんだな

言う方も言われる方も


穏やかに話しかけられと

今度は許さんぞ  って

さぁ結果出してごらん  って

試されてるんだ・・・プレッシャーがひしひし


あぁー どうしよう


ピーンと張りつめた空気

先輩たちの見てないんだろうけど 第2の目の視線がコワイ


トボトボと自分のデスクに着く

ちょっと離れた場所にある


古い洋館の事務所

全館空調なんてしゃれた設備はない

クーラーなんて必要ないくらい 遊び呆けていた学生時代

私にまともに風が当たる・・・

弱くすると みんなが怒るし・・・


なんで若いのに 冷え防止カーディガン着用で  仕事してるの・・



帰りがけに近所の画材屋さん 会社からすぐ すずらん通りの入口にある

大正時代からの洋館 上に塔屋がある


1階から吹き抜けで中2階があったりして ステキ

全然美術に向いてないから そんなには入らないわ

でも見てるだけでも楽しいから・・・


でも今日は違うぞ 今度任された単行本の装丁っていきたいところだけど

まだまだ私の仕事じゃない 

私は帯 しかも内容ではなく  色決め

本の装丁をころさないように 色を選ばないと 台無し

会社に色見本はたくさんあるのだけど


中古文学の専門書だから ちょっと 探してみたくなった


スピン(しおりひも)も花浅葱(はなあさぎ)だし


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花浅葱


それに合いそうな色 色彩感覚ないからなぁ・・・


1階 入口近くのワゴンサービスに 色々な大きさの画用紙やら

色紙が束で売っている チラチラ冷やかしながら・・・


地下の色絵の具やらコピックマーカー いろんな色があるのね

日本画の絵の具がいちばん近いかしら


よくランチで行くお店で会う 店員さん

あつ 青木さんって言うんだ 名札みてはじめてわかったわ


『いらしゃいませ 今日は何をおさがしで?』


『こんにちは 何ってわけじゃないんだけど 腰巻をね』


『えー あの それは・・うちには・・』


『あっ ごめんごめん 帯 帯』


『えー それも  あっ あー 本のね』


『あっははは~』


私たちに背を向けて 絵の具を選んでいたらしき男性が大爆笑


キョトンとしてる私たちに


『ごめん あまりにも面白くて・・・そう言うんだ~』


アゴにちょっとひげをはやした小柄の男性

この辺の出版業界人でも 美術関係?でもなさそう


『本の間に挟まっている売上カード、短冊みたいなのスリップって言うんですよね』

って青木さん ちょっぴり自慢げ


『そうそう』


『じゃ何かありましたら、お声かけてください』


『ふ~ん』

また しゃがんで絵の具を探している・・・


どのぐらいたっただろう 棚に並んでいる色に夢中になっていると

人の気配がわからず


ドン


『あっ 痛っ』『ごめんなさい』


ぶつかった拍子にもっていた本が開いて落ちる


『えっ なに これ?』


彼は 本の中身が白紙なのをびっくりしたみたいで・・・


『あぁ これは束(つか)見本っていって出版する本の装丁見本っていうところかな』


その本を拾いながら 

『パラパラ漫画書いたらおもしろいね フフ』


パラパラめくりながら 笑っている  変なひと・・・


そのとき 一枚の写真らしきものが ぱら~っと


『あ~』 『あーあー』


ふたりで追いかける・・・・

目の前の観音トビラが突然、パッと空いたと思ったら・・・・

ふたりを飲み込むようにして


パタン  と 閉まる



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なんか・・・長くなるか・・・


お暇な時に