2006年12月17日(日) 10時10分36秒

「邪魅の雫」 京極夏彦 2006-163

テーマ:★読後感想:作家別【あ・か行】
奮闘の末、無事京極夏彦氏の「邪魅の雫」を読了しました。
”京極堂”中禅寺も”探偵”榎木津も健在。

いやいや、あいかわらず、”ぐっ”とくる作品でございます。

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京極 夏彦
邪魅の雫
出版元
講談社ノベルズ
初版刊行年月
2006/09
著者/編者
京極夏彦
総評
24点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:5点 
意外性:4点 
装丁:4点

あらすじ
「殺してやろう」「死のうかな」「殺したよ」「殺されて仕舞いました」「俺は人殺しなんだ」「死んだのか」「―自首してください」「死ねばお終いなのだ」「ひとごろしは報いを受けねばならない」昭和二十八年夏。江戸川、大磯、平塚と連鎖するかのように毒殺死体が続々と。警察も手を拱く中、ついにあの男が登場する!「邪なことをすると―死ぬよ」。 <<Amazonより抜粋>>



当ブログでは初登場の「京極堂シリーズ」なのですが、書評以前では全シリーズ読破させていただいております。

普通の講談社ノベルズであれば3冊くらいのボリュームです。
これは、ま~京極堂シリーズでは定番なので、あんまりびっくりすることはないんですけど、なんせ年の瀬、実世界の方がバタバタしていた都合もあり、1週間程度の奮闘でございました。

探偵助手の益田(榎木津の下僕)と警察官の青木(木場の後輩)が、それぞれの理由で連続殺人事件の真相を追っていくことになります。
これら狂言回しの存在が世代交代したことで、意外に関口あたりも貫禄が出てきたりしています。

この記事の下に表を作ってみましたが、章の順番は、「益田」⇒「登場人物の誰か」⇒「青木」⇒「登場人物の誰か」できっちり進むところがなんとも計算ずくなところであり、章が進むにつれ、両方の物語(プラス登場人物の誰かの物語)が、勝手気ままに際限なく進行するので、結果、無限に広がっていくような錯覚を受けてしまいます。
この辺りは、諦めず、ぐっと堪えていただきたいと思うところです。

個人的には、人間相関図をきっちり思い描きながら読むことができれば、序盤の混乱はなかったのかなと思うと、ちょっと後悔したりしちゃいました(ま、その後の京極堂の講釈で、予想以上にすっきりしたので、それを経験するというのも一興だとは思いますが)。

今回の物語の重要なキーワードは「勘違い」、それと「人の邪心」。
京極堂が語る(騙る?)登場人物それぞれが主人公となる物語と、それぞれの登場人物の重なり合いと、事件を動かす雫の存在。
なかなかにして興味深いストーリーラインでした。

個人的にお気に入りキャラである榎木津が(物語の立場上)あまり破天荒でなかったのが、新鮮でありながらもちょっと残念だったのですが、エピローグで再登場する榎木津の一言が、京極堂の騙る「物語」すら必要とさせない超越した存在であることを証明しているようで、「お、榎木津、健在じゃん!!」と思わず喜んでしまいました。

久しぶりに読了後に”心地よい苦痛”を得ることのできたエンターテイメント作品でございます。


参考:「各章毎の主体・流れ・冒頭」
ネタバレにならない程度に表にしてみました。
章冒頭が「死」もしくは「殺し」に関連するワードを持ってきているのも、テンポを考えているものと思われますね。

主体 流れ 冒頭
章なし 一人称(私) 事が全て終わった後の話(?) -
1 一人称(私) 私が同窓の石井と喫茶店で話をする 殺してやろう、と思った。
2 三人称(益田) 榎木津の親類、今出川から調査の依頼を受ける 亡くなった----。
3 三人称(江藤) 江藤が真壁恵の死(第3の事件)を発見する 死んでいる。
4 三人称(青木) 木場に澤井殺害事件(第1の事件)捜査について相談する 死にそうだ、馬鹿野郎----。
5 三人称(大鷹) 女との会話 死のうかな---と思った。
6 一人称 男との会話 殺したよ、と男は云った。
7 三人称(益田) 依頼の相談に中禅寺をたずねる(書評について) 殺される訳じゃあるまいに---。
8 一人称(私) アトリエに来ない実菜を心配する 殺す以外にない---。
9 三人称(青木) 捜査について藤本に相談する 死因に就いては---。
10 三人称(江藤) 事件に関係する重大な事柄を思い出す 死んじまっちゃアお終いだねえ
11 三人称(益田) 関口との会話 殺されたことに間違いはないのだね
12 三人称(大鷹) 保養所での男と若者との会話 殺されて仕舞いました---。
13 三人称(青木) 捜査について中禅寺に相談する(細菌兵器と帝銀事件について) 殺人事件は専門外だよ
14 一人称(私) 実菜が殺害されたことを知る 殺害された---。
15 三人称(益田) 平塚郊外にある馬場に関口と来る 殺せないだろうと関口が云った。
16 三人称(江藤) 男に叱られる「邪なことをすると---死ぬよ」 殺人。
17 三人称(青木) 郷嶋との会話、そして第4の事件が発覚する 殺されたみたいですよ
18 三人称(大鷹) この一連の殺人事件が自分を中心にして起きていると知る 死んだ。
19 三人称(益田) 不審者にぶつかる。警察へ情報提供する。 人殺しですかと益田が問うと
20 一人称 男との会話。男と大鷹の邂逅 殺したんだよと男は云った。
21 三人称(青木) 警察上層部の不穏な動きを知る 殺害された○○○○(ネタバレになるため伏字)に関する・・・
22 一人称(私) 実菜を殺した相手を殺してやろうと思う。大鷹と私の邂逅。 死んでいた。
23 三人称(益田) 青木と合流。 殺人ですよ殺人と云いながら・・・
24 一人称 殺人犯人との話。祖父の話。 殺してしまったーーーか。
25 三人称(青木) 榎木津登場。 殺す気なのかーーー私をと・・・
26 一人称(私) 独白 殺した。
27 三人称(益田) 京極堂(中禅寺)、現場に登場。 死んだのか。
28 一人称(私) 京極堂(中禅寺)の憑き物落し。 死が凝縮された雫ーーー。
章なし 一人称(私) 事件の後。あの男再び登場。 -

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1 ■無題

TBどもですー。
頑張ってくださいね。

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