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2006年11月30日(木) 23時59分59秒

2006年11月の読後感想アーカイブ

テーマ:月刊『後感』


◆今月のアクセスランキング

総合ランキング:
11286位/1276465人中 (0.88%)前月からの比=0.03%
ジャンルランキング:
173位/8364人中 (2.06%)前月からの比=0.19%

◆検索ワードTOP10

1 書評 6.8%
2 感想 3.1%
3 荻原浩 2.8%
4 伊坂幸太郎 2.8%
5 噂 2.8%
6 イニシエーション・ラブ 2.3%
7 風林火山 1.9%
8 砂漠 1.8%
9 ネタバレ 1.8%
10 ヴァシィ章絵 1.8%

◆2006年11月のランキング
あっという間に12月ですね。
ということで11月のランキングです。

さて、劇団ひとり氏の「陰日向に咲く」が堂々1位でございます。
デビュー作でしかも1位。
これは快挙かもしれません。(ま、まったく威厳のないランキングではありますが)


第1位;「陰日向に咲く」 劇団ひとり
;エンターテイメント小説;2006年11月12日(日) 21時40分50秒

劇団ひとり
陰日向に咲く


第2位;「クローズド・ノート」 雫井脩介
;エンターテイメント小説;2006年11月21日(火) 21時07分10秒


雫井 脩介
クローズド・ノート

第3位;「扉は閉ざされたまま」 石持浅海
;推理小説;2006年11月02日(木) 23時00分11秒


石持 浅海
扉は閉ざされたまま

第4位;「さくら」 西加奈子
;エンターテイメント小説;2006年11月22日(水) 00時15分18秒

第5位;「斎藤家の核弾頭」 篠田節子
;エンターテイメント小説;2006年11月06日(月) 00時13分51秒

第6位;「リアルワールド」 桐野夏生
;エンターテイメント小説;2006年11月24日(金) 00時24分04秒

第7位;「幸福ロケット」 山本幸久
;エンターテイメント小説;2006年11月19日(日) 01時18分39秒

第8位;「ワーホリ任侠伝」 ヴァシィ章絵
;エンターテイメント小説;2006年11月04日(土) 22時16分12秒

第9位;「男は敵、女はもっと敵」 山本幸久
;エンターテイメント小説;2006年11月30日(木) 01時27分28秒

第10位;「少女には向かない職業」 桜庭一樹
;エンターテイメント小説;2006年11月03日(金) 23時35分55秒

第11位;「I love you」 伊坂 幸太郎他
;アンソロジー;2006年11月23日(木) 19時02分40秒

第12位;「新・異世界分岐点」 眉村卓
;エンターテイメント小説;2006年11月10日(金) 23時56分30秒

第13位;「銀天公社の偽月」 椎名誠
;エンターテイメント小説;2006年11月20日(月) 21時09分48秒

第14位;「砂楼に登りし者たち」 獅子宮敏彦
;推理小説;2006年11月01日(水) 21時56分19秒

第15位;「出られない五人」 蒼井上鷹
;エンターテイメント小説;2006年11月09日(木) 23時49分02秒
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2006年11月30日(木) 01時27分28秒

「男は敵、女はもっと敵」 山本幸久 2006-157

テーマ:--山本幸久
隠れた個人的マイブームの山本氏。「男は敵、女はもっと敵」を読了いたしました。
これで山本氏の既出作品はコンプリートいたしました。パチパチ。


amazonリンク

山本 幸久
男は敵、女はもっと敵
出版元
マガジンハウス
初版刊行年月
2006/02
著者/編者
山本幸久
総評
21点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
フリーの映画宣伝マン・高坂藍子36歳。長身、美貌、才覚で男をひきつけてきたが・・。結婚、離婚、不倫あり。その相手やその別れた妻などかかわった人たちが語るちょっぴり哀しく、おもしろオカシイ6つの連作小説。<<Amazonより抜粋>>



高坂藍子を中心とした連作短編集です。
6つの短編がありますが、最初と最後が高坂藍子本人目線の三人称表現であり、それ以外は、以下にあるように高坂藍子となんらかの関わりのある登場人物の目線の三人称で語られていきます。

「敵の女」
目線:高坂藍子
現在の仕事ぶりやら過去の話などを織り交ぜつつ、全体的に、高坂藍子の紹介に近い作品。
ここで登場する人物が、後の短編の目線担当になることもある。

「Aクラスの女」
目線:高坂藍子の元夫の恋人「真紀」
恋人を高坂に獲られてしまった(その後離婚し、ヨリを戻す)真紀が仕事で、高坂に逢うという話。
Aクラスとはまさしく高坂のこと。

「本気の女」
目線:高坂藍子の浮気相手の元妻「八重」
別れた夫が本気といった相手が高坂藍子。仕事場で知り合った吉口という女性と居酒屋に行った先で起こる話。

「都合のいい女」
目線:高坂藍子の仕事上の付き合いのある年下「吾妻」
高坂藍子に憧れる。ずるずると付き合ってしまっている彼女の話と仕事として請け負った映画試写会での話。

「昔の女」
目線:高坂藍子の元浮気相手(「本気の女」の八重の元夫)「西村」
これまでの経緯と、息子を通じた「妻」との交流の話

「不適の女」
目線:高坂藍子
「敵の女」と同様、仕事振りを通じて、今までに登場した登場人物とのその時点での関わりを表した話。


各作品毎に目線担当と本当に粗い粗筋を書いてみました。
最初と最後を除けば、一人の登場人物を取り巻く(もしくは否応なしに関連してしまった)人々の物語であり、似たような作品に伊坂幸太郎氏の「チルドレン」がありますが、本書の特徴は、それら表現すべき作品に一貫したルールのようなものがないという点だと思いました。

例えば、「本気の女」では、高坂藍子はあくまでも別れた夫の最後の愛人であり、それ以上の存在感はもっていません。
したがって、そういう女が居たという印象までで、物語自体は、目線担当の「八重」の今現在、起こっている、「それだけで物語」になる物語なわけです。

また、「都合のいい女」と「昔の女」は時系列としてもきっちり並んでおり、エレベーターの描写を通じて、ひとつの物語を2人の目線によって表現しているともいえます。

この辺りの”ルールのなさ”は、新鮮といえば新鮮であり、中途半端といえば中途半端な感じを受けました。
個人的には、後者の感覚が強く、元々雑誌掲載のものであることの制約もあろうかと思いますが、連作短編として単行本化する以上、大幅改稿してでもその世界を堪能させてもらいたかったです。

ある意味で素材(アイデア)はとても良いのだけど、調理がうまくなかった惜しい作品といえなくもありません。

ちなみに「高坂藍子」のキャラ自体は、嫌いではないので、次があっても良いと思いました。

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2006年11月25日(土) 22時28分26秒

2006/11/25に借りた本

テーマ:読前感想
何も特別なことはないのですが、ふと落ち着いて考えてみると、今回は「新刊本コーナー(*1)」と「話題の本コーナー(*2)」からの借り出しがなかったのですね。
ということで、予約本3冊と普通の書棚からの5冊の計8冊を借り出しました。

(*1):いうまでもなく新しい本が並んでいるコーナー。とはいえ、といってもこの時期であれば9月あたりに刊行されたもの。
(*2):誰かが予約した本が並んでいるコーナー(たぶん)。ただ、次に予約する人がいない本とも言えるので、話題なのかどうかは疑問。

題名
男は敵、女はもっと敵
読了可能性
★★★★★
出版元
マガジンハウス
初版刊行年月
2006/02
著者/編者
山本幸久
読前感想
予約本です。2006年晩秋のマイブームである山本氏の(たぶん)最新刊。出版元が「マガジンハウス」ってのがあれですね。ま、楽しみです。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10020772412.html

題名
バスジャック
読了可能性
★★★★★
出版元
集英社
初版刊行年月
2005/11
著者/編者
三崎亜記
読前感想
以前「となり町戦争」でお初にお目にかかった三崎氏の作品です。意外な設定ってのが好感触でしたが、今回はどうでしょうか?
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10020773780.html

題名
インディゴの夜 チョコレートビースト
読了可能性
★★★★☆
出版元
東京創元社
初版刊行年月
2006/04
著者/編者
加藤実秋
読前感想
ミステリフロンティアレーベルもようやく最近の刊行ものになってまいりました。とはいえ今年の4月なんですね。コンプリートに向けて着々と読みたいと思います。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10020970961.html

題名
都立水商!
読了可能性
★★★★☆
出版元
小学館
初版刊行年月
2001/11
著者/編者
室積光
読前感想
久しぶりの室積氏。実はこのデビュー作だけ読んでいなかったのですね。書棚にあったのでふと借り出してみました。
読後感想リンク


題名
凍りのくじら
読了可能性
★★★☆☆
出版元
講談社ノベルズ
初版刊行年月
2005/11
著者/編者
辻村深月
読前感想
最近、よく行く本屋さんに「比較的ライトノベル的な平積み」がキャンペーン的として用意されたのですが、そのラインアップにこの本がありました。で、借りてみました。最新刊ではないのがポイントです。ちなみにその平積みには「森博嗣」「西尾維新」「高田崇史」あたりが並んでました。どうでしょ?このラインアップ??
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10021150557.html

題名
浪漫的な行軍の記録
読了可能性
★★★☆☆
出版元
講談社
初版刊行年月
2002/11
著者/編者
奥泉光
読前感想
これは前回のリアルワールドに続く「装丁借り」です。どんな装丁かというと、これが真っ黒なのです。それだけで借りてしまう、借りてしまうことができるというのが図書館の良いとこですね。
読後感想リンク
http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10021278462.html

題名
幻世の祈り 家族狩り第1部
読了可能性
★★★☆☆
出版元
新潮文庫
初版刊行年月
1995/11
著者/編者
天童荒太
読前感想
「包帯クラブ」で以前登場した天童氏の作品です。結構有名なんでしょうかね?結構長い作品のようです。
読後感想リンク


題名
盗難者の夢 家族狩り第2部
読了可能性
★★★☆☆
出版元
新潮文庫
初版刊行年月
1995/11
著者/編者
天童荒太
読前感想
ということで、こちらは第2部です。この手の作品は読み始めてしまえばはまってしまうのですよね。
読後感想リンク


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2006年11月24日(金) 00時24分04秒

「リアルワールド」 桐野夏生 2006-156

テーマ:★読後感想:作家別【あ・か行】
Amazonリンクにあるこの装丁の格好よさでつい借り出してしまいました。
この表紙で、本の際も赤く染まっていたりするので、そりゃ借り出しちゃいます。
ちなみに文庫本にもなっているようですが、そちらはイマイチな装丁でした。

ということで”装丁借り”の「リアルワールド」読了しました。

amazonリンク
桐野 夏生
リアルワールド
出版元
集英社
初版刊行年月
2003/02
著者/編者
桐野夏生
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:5点

あらすじ
4人の女子高生、ホリニンナ、ユウザン、テラウチ、キラリン。ホリニンナの隣家の高校生ミミズが母親を殺して逃亡した! 4人はミミズの逃亡を手助けすることに。現代の高校生の心の闇を描く、力作長編。<<Amazonより抜粋>>


8章からなる長編です。
それぞれのタイトルが、「ホリニンナ」「ユウザン」「ミミズ」「キラリン」「ミミズ2」「テラウチ」「キラリン2」「ホリニンナ2」となっており、これらカタカタは、女子高生1名と男子高生1名(ミミズ)の登場人物のあだ名です。
で、この章タイトルのあだ名の登場人物の一人称で、視点を切り替えながら物語が進みます。
(ちなみに使用する文体や漢字なども、その登場人物があたかも頭で思い描く言葉で書かれております。)

本のタイトルである「リアルワールド」とは、この各章毎に主人公となる登場人物の「それぞれの」リアルワールドであり、それは、それぞれの「内面にある世界」であったりします。

リアルワールド=内面にある世界とは、非常にパラドックスではありますが、ここがこの作品のポイントなのでしょう。

ま、現実(といっても物語上の現実)では、あらすじの通りの事件が起きるわけですが、この事件をきっかけにして、激しくそして虚しく内面を、それぞれが語り続けます。

それは、例えば事件に対する女子高生4人のそれぞれの価値観の違いであり、また、表面上仲良くはしているが、内心はちょっとギクシャクした関係性を吐露していたり、またそれぞれの家族やら周辺やら自身やらの悩みを持っていたり。
この辺りの「生きていく中で、至極当たり前のことではあるが、出来る事なら触れてはいけない部分」を表現しているのは、面白かったです。

ただ、登場人物が10代ということもあり、やや深刻度が薄いことに(またそれを大袈裟に振舞う姿に)ちょっと、”お腹一杯感”はありましたが、一方で、多感な時期だな~と妙に客観的に思ったりもしました。
(そういえば、あの頃は、すべての悩みが、大きな壁であり、人生の岐路のようであったと、恥ずかしながらふと思ったりして)

そんなこんなで、このような心の叫び合戦がありつつ、一方で物語上の現実は逃亡者ミミズを中心に進んでいくといった感じで、それなりに悲劇的なラストが待ち構えています。

このラストは賛否両論あるとは思いますが、個人的には”辛い終わり方ではありながら、きっちり収束させたな”と感じました。
曖昧に終わらせるよりは、これくらいはっきり・きっちり・ぴっちり終わらせてもらえれば、それなりに読んだ甲斐があったというものです。

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2006年11月23日(木) 19時02分40秒

「I love you」 伊坂 幸太郎他 2006-155

テーマ:★読後感想:作家別【その他】
祥伝社創立35周年記念特別出版(長いな)の「ILOVEYOU」読了しました。

amazonリンク
伊坂 幸太郎, 石田 衣良, 市川 拓司, 中田 永一, 中村 航, 本多 孝好
I love you
出版元
祥伝社
初版刊行年月
2005/07
著者/編者
作家アンソロジー
総評
21点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
祥伝社創立35周年記念特別出版。愛してる、って言葉だけじゃ足りない(オール書下ろし)恋愛には物語がある。初めて異性を意識しはじめたとき、相手とのあいだに微妙な距離感を感じたとき、初恋の同級生との再会を果たしたとき、そして別れを予感したとき…。さまざまな断片から生まれるストーリーを、現在もっとも注目を集める男性作家たちが紡ぐ、至高の恋愛アンソロジー



人気作家さん目白押しの恋愛小説6編が所収されております。
個人的には伊坂氏と本多氏が同じ本で読めるというのがいいですね。

装丁にも凝っておりまして、各小説毎の表紙がパステルカラーの紙を使用しており、本を縦にしてちょっと札束を数えるようにぐいっと捻ってみると、それぞれの作家さんの小説の長さが解るんです。

で、やっぱり長い物語は、ちゃんと背景がしっかりと書けていたり、短編なりに深みのある作品でした。

簡単な紹介と簡単な○×評価を(本当に簡単だし、極めて個人的な評価なのでご了承くださいね)・・・

「透明ポーラーベア」 伊坂幸太郎  ○
白熊の体毛は実は白色ではなく、透明だという薀蓄の話(嘘)。
・・・単身赴任間近の「僕」とその彼女と姉の元彼氏の冨樫さんとその彼女が、動物園で偶然出会うという話。
ま、相変わらずの伊坂節ってことです。
肩の力が抜けた感じの文体は、やっぱり良いです。

「魔法のボタン」 石田衣良  ×
ふられたばかりの「ぼく」が幼馴染の萌枝に失恋話を吐露し、それをきっかけに2人で恋愛ごっこのようなことをする話。
これは短いし、キャラクターが格好良過ぎ。
個人的に石田氏は意外にダメかもしれません。

「卒業写真」 市川拓司  ×
突然声をかけられた「わたし」は、記憶を遡り、目の前にいるのが中学の同級生である渡辺くんであることに気がつくけど・・・という話。
これも、やや気取った感じがしましたね。
唯一女性が主人公だったということもあって、ちょっとピンと来ませんでした。

「百瀬、こっちをむいて」 中田永一  △
憧れの先輩に頼まれて、先輩の浮気相手と付き合う演技をする「僕」の話。
今現在の視点には、しっかりとした主人公がいて、回顧するタイプの作品です。
ちゃんと微妙な心理とかも書けていて好感触でしたが、結末がやや弱いかなといった感じ。

「突き抜けろ」 中村航  ◎
彼女との間にルールを設けて付き合い続けている僕と友人の坂本と坂本の先輩である木戸さんの話。
後述します。

「Sidawalk Talk」 本多孝好  ○
離婚間近の僕と彼女の最後の晩餐での話。
本多氏の作品に対しては伊坂氏と同様に確立化された何かがあるわけです。
一般的にはエコヒイキをしているということなのですが・・・
物語自体は平坦ですが、ラストがなかなかだったで、△に近い○ってところです。

本当に簡単にそれぞれの紹介と、完全にエコヒイキの評価をしてみました。

面白かったのは5作目の「突き抜けろ」
でした。
この淡々とした文体は、伊坂・本多両氏に近い雰囲気を持っており、好感触でしたし、何しろ木戸さんは短編に出すには勿体無いキャラクターであると思いました。
僕と坂本と木戸さんの3人組の別の物語を読んでみたいと思いました。
またまた良い作家さんを見つけてしまいました。
結構アンソロジーはこれが期待できるので、良いです。

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2006年11月22日(水) 00時15分18秒

「さくら」 西加奈子 2006-154

テーマ:★読後感想:作家別【な・は行】
個人的に信用している、2006年「本屋大賞」の10位に入賞した作品です。
「さくら」読了しました。

個人的には、「意外性」が満点です。

amazonリンク

西 加奈子
さくら
出版元
小学館
初版刊行年月
2005/03
著者/編者
西加奈子
総評
23点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:4点 
意外性:5点 
装丁:4点

あらすじ
スーパースターのような存在だった兄は、ある事故に巻き込まれ、自殺した。誰もが振り向く超美形の妹は、兄の死後、内に籠もった。母も過食と飲酒に溺れた。僕も実家を離れ東京の大学に入った。あとは、見つけてきたときに尻尾に桜の花びらをつけていたことから「サクラ」となづけられた年老いた犬が一匹だけ――。そんな一家の灯火が消えてしまいそうな、ある年の暮れのこと。僕は、何かに衝き動かされるように、年末年始を一緒に過ごしたいとせがむ恋人を置き去りにして、実家に帰った。「年末、家に帰ります。おとうさん」。僕の手には、スーパーのチラシの裏の余白に微弱な筆圧で書かれた家出した父からの手紙が握られていた――。<<Amazonより抜粋>>



あらすじに書いてある内容すら知らずに読み始めました。

ほのぼのとした装丁。
ひらがなで「さくら」というタイトル。
読み始めの長谷川薫の一人称文体の朴訥さ。という印象(個人的にこの抜けた感じは好きです。)

(な~んて、牧歌的な物語)なのだろうと、甘く見ていたのですね、最初の頃は。

で、見事に良い意味で裏切られました。

比較的まともな文体で書かれているのであれですが、読了してふと思ったのは、この読後感は、かの「奈津川家サーガ(BY 舞城王太郎)」に近いんではないかと。
誰にも同意は得られそうにもありませんが、読後感が猛烈にシンクロしたんです。

簡単なあらすじは、
①ある問題を抱える家族がいて、ある正月に帰省することになった主人公「長谷川薫」が、「市民の森公園」に愛犬「さくら」を散歩に連れて行っったときに、過去のことを思い出し、以降、幼少時代から上京するまでの出来事を一人称で語りつづけます。
②そこには、とても愛し合っている両親がいて、あらゆる意味で特殊な兄がいて、同じくあらゆる意味で特殊な妹が居て、そして愛すべき関係者がいます。
③この「愛されるべき家族とその仲間達」の物語が、ほのぼのと進みますが、
④破滅的出来事が起きてしまい、重ねて様々な事が起き、一家離散(とまでは行きませんが、ほぼそれ)に至ります。
⑤で、語りきった主人公「長谷川薫」とその家族のその後の物語が、最後に”もう一つ”あります。
といった具合なのです。

この③までの展開と、④以降の展開のギャップが良いです。
細かく触れませんが、
④の「重ねて様々」が、本当に”ぐいぐい”きちゃいます。
展開が意外過ぎて、怖くなる
くらいです。
起承転結の結にあたる⑤に至っては、ひっちゃかめっちゃかの中で感動すら覚えてしまいます。

それもこれも、甘く見ていたことによる(感謝すべき)誤算なわけで、この本を読み、改めて、”読書前には、あらすじは読まないほうが良い”ということに気がつきました。

そして、この意外性を差し引いても、本書は、家族というものが、”脆く”そして、”かけがえのないもの”であることを気づかせてくれました。

未読の方は、是非まったく情報もないまま、見たままの印象で読み始めてみてください

(と、ここまで読まれてしまったのであれば、それ自体で既に意外性が半減しちゃったかも・・・。すいません)

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2006年11月21日(火) 23時59分18秒

ブログテーマを細分化してみたりしました。

テーマ:ブログ


アップ勢いで「ブログテーマ」を細分化してみました!!(ここでいう「勢い」とは、「気まぐれ」と同意)。

いつかやっておきたいと思ってはいましたので、それなりに納得感晴れがあります。

だいたい3冊以上読了した作家さんを「作家さん単位」のブログテーマにしたということですね、はい。

右側のブログテーマ一覧が長~くなってしまいましたが、その分、色々と探しやすいのではないかと思ったりしています。

ところで、2年もやっているとたくさん読んでおりますね・・・

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2006年11月21日(火) 21時07分10秒

「クローズド・ノート」 雫井脩介 2006-153

テーマ:★読後感想:作家別【さ・た行】
雫井氏の「クローズド・ノート」読了しました。
既読の「火の粉 」とはまた違ったテイストですが、こういった物語もちゃんと書き上げてしまう著者の実力を堪能いたしました。

amazonリンク
雫井 脩介
クローズド・ノート
出版元
角川書店
初版刊行年月
2006/01
著者/編者
雫井修介
総評
23点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:5点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ
香恵はバイトとサークルに勤しむごく普通の大学生だ。ある日、前の居住者が置き忘れたノートの束を見つける。興味本位でノートを手にする香恵。そのノートが開かれた時、彼女の平凡な日常は大きく変わり始める??。 <<Amazonより抜粋>>



主人公が女性の小説というのは、極めて個人的にとっつき難いものなのです。
本作品でも初盤あたりの「香恵」のキャラクター(どちらかといえば事流れ主義的キャラ)にちょっと抵抗がありましたが、中盤・後半の物語の展開と共に、あまり意識しなくなりました。
で、読み終わって、この物語は、既成の作品とは違ったアプローチによる「主人公(香恵)の成長物語」であったのだと、思いました。

本作品の物語は、香恵の部屋に残された伊吹先生のノート(これがタイトルになる「閉ざされたノート」)の物語と、並行して展開される香恵の現代の物語の2つがあります。
前者のウエイトが高いまま、読み手は、素直にその小説世界に入り込むわけですが、一方で同じ読み手の立場にいる小説内の香恵にも、徐々に物語が進行するといった構図なわけです。
それこそ序盤は、バイト先の万年筆を売る文房具屋の話(これはこれで個人的に興味深かったのですが)に終始しますが、これが微妙に後半の盛り上がりを促していたりしています。

と、感の良い方であれば、中盤あたりに、この物語にとって重要な位置に占める「伊吹先生の現在はどこで何をしているか?」とか、「伊吹先生の恋人は誰か?」とかは、解ってしまうのであって、その辺りを調べようとする香恵に、(どうして気がつかないのかね~)と訝しがったりする事もあるとは思いますが、それはこの物語の結末の良さに免じて、勘弁してやっていただければと思います。(といいつつ、その辺りの突っ込みをするのは私くらいかもしれませんが・・・)

さて、そのラスト。
時が止まってしまったノートの中の伊吹先生の物語と、無限の可能性がある現在の香恵の物語であれば、軍配はどうしたって後者に挙がるのですが、この物語の結末時点では、綺麗に両者引き分けのようです。
ラストの”香恵の口から語られる「ノートの中の言葉(この言葉は綺麗過ぎちゃいます)」”で、見事に収束したといった感じです。
このラストの見せ方は、シンプルでありますが、中々にして良いなぁと思いました。

そうそう涙ぐむこともない生活を営んでおりますが、このラストの綺麗さには、ちょっとだけウルウルとしてしまいました。(不覚!!)
ということで、殺伐とした毎日を過ごしていられる方々にオススメです。

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2006年11月20日(月) 21時09分48秒

「銀天公社の偽月」 椎名誠 2006-152

テーマ:★読後感想:作家別【さ・た行】
椎名誠氏の最新刊(のはず)「銀天公社の偽月」読了しました。
あの独特な世界は健在であり、ニヤリとしてしまいました。

amazonリンク

椎名 誠
銀天公社の偽月
出版元
新潮社
初版刊行年月
2006/09
著者/編者
椎名誠
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:4点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
脂まじりの雨が降る街を、巨大でいびつな形の人工月が照らし出す。朧に霞むしずかにやわらかい月だ。月の回転と連動して、補助軌道の歯車レールの上を人の乗るゴンドラがゆっくりと動いていく―。ここではないどこかで、あなたかもしれない誰かが、今日もひっそりと暮らしている。シーナワールド全開のファンタジックなストーリー。 <<Amazonより抜粋>>



どこかの書評で、ちょっとだけご紹介したと思うのですが、書評以前に出会った本で、とても世界観が印象的だった本が、著者の「武装島田倉庫」でした。

氏のSF作品(SFと一括りにすることに多少の抵抗感はありつつ、他に表現がないので致し方なし)は、いろいろと楽しませてもらっているのですが、中でもこの「武装島田倉庫」の世界観は、個人的に抜群の出来なのです。
で、この一言で言うと「澱(よど)んだ世界」が、新たな作品として帰ってきたわけです。

本書は、その世界を踏襲した6編の短編が所収されています。

読み進めていくにつれ、この世界が、(「武装島田倉庫」の世界より)異様な状況であることが判明しますが、ストーリラインというよりは、その世界設定にどうしても着目してしまいました。

例えば、タイトル作の「銀天公社の偽月」は、人工的な月を空中に浮かべるために働く人の物語であったり、「爪と咆哮」に至ってはどうやら複数の人間の思考やら機能やらを重ね合わせて作られた人間型のそれぞれの思考の物語であったりします。
正直、物語そのものについては、エンタテイメント的な部分は「武装島田倉庫」には遠く及びません。
極めて個人的な感想を言わせてもらえれば、随分と後に刊行された「武装島田倉庫」のサブテキスト的作品(それだけ武装島田倉庫のインパクトが強いということなのです)なのです。

初めて読まれる方にとっては、正直とても読みづらくとっつき難いとは思います。
ということで、(初の試みですが、)できたらこちらから先にお読みください。

椎名 誠
武装島田倉庫
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2006年11月19日(日) 01時18分39秒

「幸福ロケット」 山本幸久 2006-151

テーマ:--山本幸久
いろいろありまして、更新が遅れてしまいました。
ちゃんと本は読んでおります。

・・・ということで、マイブームの山本幸久氏の「幸福ロケット」読了いたしました。

ま、当然にして読了したのでこの感想を書いている訳ですが、未だにタイトルの意味が解りません。
プラネタリウムとか天文部とか出てくるのでその辺りからだとは思いますが・・・
「これだっ!!」という方、是非コメントをください。

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山本 幸久
幸福ロケット
出版元
ポプラ社
初版刊行年月
2005/11
著者/編者
山本幸久
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
ふたり、同じ未来を見てた。京成電車に、ガタゴト揺られながら…。クラスで8番目にカワイイ「あたし」と、深夜ラジオ好きでマユゲの太い「コーモリ」の、可笑しくて切ない初恋未満の物語<<Amazonより抜粋>>



小学5年生の少女「山田香な子」の一人称で語られるジュブナイルな作品です。

随分昔のことなのであれですが、この「小学5年生」という時期、男は、まだまだ子供で同級生の女の子のことを「女子」といい、「呼び捨て」にすることで、自分の内面に芽生え始める”異性への憧れ”を押し殺していたりします。
一方、女の子は、それよりちょっとだけませていて、この微妙な差が、後で振り返ってみるとちょっとだけ”こそばゆい”そんな時期
だったかと思います。
大した思い出もありませんが、ちょうど私自身も、その頃に同級生の女の子から本格的にバレンタインデーのチョコをもらい、「どうしようもなく”どうしよう???”」と感じていたわけで、(ふんふん、懐かしいやね~)とすっかり大人びた感慨にふけるのですね。

で、そんな”微妙な時期”を本書はよく捉えて作品にしているという印象を受けました。

ちょっとだけませた女の子「山田香な子」と同級生の「小森(通称:コーモリ」の恋愛未満な物語です。
また、香な子の両親、コーモリの母親、担任の先生と、脇を固める大人たちのキャラクタが、この2人の物語以上に大きな環を作り出しています。

氏の作品の魅力は、きっとこういった「何気ないキャラクタ像」が比較的嫌な人でないといったところでしょうか?
結局のところ本作品で”一番嫌われる役”という、はずれくじを引いてしまったのは香な子の塾のクラスメイトくらいで、ついでに言ってしまえば、その子も愛嬌のある嫌われ者といった感じなのです。(個人的には、好きなキャラクタです。ぐふふ)

ラストに向かって、ちょっとした三角関係やら、父親のことやらいろいろと物語が展開していくのですが、最終的には、香な子とコーモリの2人の物語に収束していきます。
このラスト、登場している人物が「小学5年生」だということを忘れるくらいの立派なラストです。
とくにコーモリのセリフは、歯が浮くようなドラマのセリフのそれですが、意外にまっすぐ心に響いたりして、(なかなか言うじゃん、コーモリ)と肘でつんつんしたくなったりしました。

その昔の微妙な時期を、味わいたい方は是非ご一読ください。
特に男性諸兄の方々は、コーモリのいきざまを感じて、今を深く反省してみていただければ良いと思います。(私のように・・・)

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