Believe 18 | 山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

ある時は嵐情報。またある時は櫻葉妄想小説。自由に生きております。
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Believe 18 /Side-A






「はぁ、なんか腹減っちゃったな、」




そう言えば今日は何も食べてなかったなって思ってキッチンに向かおうとしたら、インターホンが鳴った。




「はい・・・アレッ?どしたの?」




モニターに映ったのは、ニット帽を被ったまつじゅんだった。








「ちょっと買い過ぎちゃってさ。」




部屋に上がるとまつじゅんはキッチンに直行してなんだか色々広げた。




「なんか食った?食ってないよね?ヤベェ、良かった食う前で!」




おれが答える前に勝手に決めつけてウインクして。




「まだだけど・・・、どうしたの?まつじゅん今日テレビ誌の取材じゃなかった?」




カウンターの向こうのイケメンに聞くと、




「うん、早く終わってさ。

それで張り切って買い物したら買い過ぎちゃったんだよね。」




ずっと前、翔ちゃんとちょっとした事で喧嘩しちゃった時を思い出す。


何が原因だったか忘れちゃうくらい些細な事だったんだけど

お互い意地を張って謝れなくて

そのまま翔ちゃんが1泊で地方ロケに行かなくちゃいけなくて。



あの時もまつじゅんが食ってないだろって食材買い込んで色々食べさせられたんだっけ。




「くふふ、」




まつじゅんの優しさに思わず笑うと

チラッておれを見て

意味ありげに、嬉しそうに笑った。




「え?なに?」

「何ってそっちっしょ、先に笑ったの、」

「えぇ?!」




他愛のない会話が、今は優しい。




「なんだよ、気になるだろ!」

「いやぁ、笑ってて良かったなってさ。」




真っ直ぐな気持ちが、おれを包み込む。




「ん、・・・ありがと。」

「・・・今日は特製、海老のラビオリとコブサラダだよん」

「くふふ、まつじゅんマジでレストラン開けるよ!くふふふっ!」




笑ってたら、携帯が光った。




「ん!りぃだぁだ。なんだろ?」



『ちゃんと食べてるか?』



「くふふ!おれってそんな食わなそうかな?見て?」




画面をまつじゅんに見せると『マジか』って笑った。




「まー、少食だからじゃん?」

「そぉかなー、」




自覚はないんだけど。




「それでなくてもドラマ始まったら痩せちゃうっしょ?」

「あぁ、うん・・・食ってるつもりなんだけどね〜、」




それは、自覚があった。

あったけど、見せてるつもりじゃなかったから

みんなにバレバレなのがなんだかちょっと、プロとしてどうなんだよって思って不甲斐なかったけど




「ま、みんな まーのこと気にかけてるってことでしょ、愛されてんね!」




まつじゅんがそう言ってくれてちょっと嬉しくなった。







二人でおいしいゴハンを食べて、

翔ちゃんのZEROも、まつじゅんと一緒だから見届けられた。



生放送だし、

ひょっとしたら翔ちゃんが何かコメントするかもってすげぇドキドキしたけど、

翔ちゃんはいたってフツーだった。




「翔さん真面目だなー!ノーリアクションかよ、」




ってまつじゅんは言ったけど。



ううん、ホントは翔ちゃんはニュース番組で私情をブチ込むようなことはしないっておれもまつじゅんも分かってたけど。




・・・それでも、淡々と使命だけを全うした翔ちゃんに



ホッとした。




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