Sweet Halloween Night 2016
☆最初から
☆2 Side-S
「・・・ごまかしたってダメなんだから。」
珍しく頑なになってる雅紀が
口を尖らせたままキロッ、と目だけこっちを向いた。
「や、別にそういうんじゃ、」
思わず両手を肩の位置に上げて降参ポーズを取る。
「でもゴメン、雅紀、
正直何のことか・・・、」
言いかけた俺に被せるように
雅紀が言い放った。
「何とも思わないんでしょ?
仮装、面白くないんでしょ?
楽しみにしてる人が楽しめばいいんでしょ?」
───、分かった。
思い当たった。
テレビ誌の取材記事、だ。
「あぁ!・・・アレは、」
俺とニノが2人で受けた取材。
ハロウィンでしてみたい仮装について聞かれたやつだ。
「バカだな、アレはビジネストークでしょ、」
ますます口を尖らせる雅紀の頭を
右手でクシャクシャと撫でた。
「バカじゃないもん・・・。」
膨れたまま手元の缶ビールに視線を落とす雅紀を抱き締めるため、
ソファーに膝立ちをする。
「ゴメン。悲しくさせちゃったな。」
そっと抱き締めると
雅紀は抵抗せず胸に顔を埋めた。
「だってさァ、」
胸に抱え込んだ愛おしい頭を
ゆっくりと撫でながら話す。
「毎年仮装してパーティーに行ってるなんて知られちゃったら、
ぜってーどっかからか情報漏れてバレるリスク高くなんのよ?」
抱き締めたまま右手で頭をポンポンってする。
「そしたらさ、
毎年のお楽しみであるアナタとのお外デートができなくなっちゃうわけですよ、」
雅紀が缶を持ったまま
俺の背中に両腕を回してギュウゥ、って力を入れた。
「ん・・・分かった。ごめんね。」
「ん。俺も、勘違いさせてゴメン。」
目の前のミルクティー色の髪に
『良かった、』と
ホッとした想いを込めて
唇を埋めた。