Moon#14
・・・それに、実は離れてからの密かな楽しみもある。
おれが寂しい思いをしないようにって、翔ちゃんが色々残していってくれてたんだ。
マネージャーに聞いたのか、翔ちゃんはおれのスケジュールを正確に把握してて、
翔ちゃんが旅立った最初の夜なんて
帰って5分で電話が来た。
「・・・もしもし、雅紀? 今平気?
「・・・もしもし、雅紀? 今平気?
どこにいんの? もう終わってる?」
「あっ、しょぉちゃん!今日はね、もぉ帰ってきてるよ!今お風呂ためてるとこ。」
「あっ、しょぉちゃん!今日はね、もぉ帰ってきてるよ!今お風呂ためてるとこ。」
「帰ったって・・・どっちに?」
「え?じぶんちだけど・・・なに?」
「・・・自分ちってさ、俺んち?」
「や、『俺んち』じゃぁなくて、じぶんの家だよ?」
「バカ、雅紀の自分の家は、俺んちだろぉ~?今から自分んち行けって。いいものあるから。」
「えっ・・・?いいもの?なにソレ、なにソレ?」
「何かはナイショ!俺んち行って洗面所の3段目の引き出し、開けてみ?
じゃ、俺は今から打ち合わせだから。
雅紀は明日雑誌の取材があんだからオリンピック観てないで早く寝ろよ?
オヤスミ、雅紀。 愛してるよ。」
・・・って。 まったく、こんな時間にさ・・・
・・・って。 まったく、こんな時間にさ・・・
「自分ち」は「俺んち」って、ホント意味わかんないって!
だいたいもうお風呂入れちゃってるっつーの!どぉすんだよ。
なんて文句を言いながらも、顔がニヤけてくる。
なんて文句を言いながらも、顔がニヤけてくる。
結局、夜の街に車を走らせて翔ちゃんちに向かった。
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