雅紀と入店した雑貨屋。
ちょっと・・・色々思うことがあって、コスチュームなんて買いに来た。
ひとりじゃ勇気も要ったけど、雅紀が一緒に来てくれてちょうどよかった。
目的を果たす前に、二人で色々手に取って遊んでたら楽しくて楽しくて。
なんか、もう、雅紀がノーマルだろうが一緒の時間を共有できるならそんなのは関係ないかって思い始めてた。
「やー、助かったわ。サンキューな。・・・ん?雅紀?どした?」
買い物を済ませて店を出ると、車に向かう雅紀がなんだか元気がないように見えて歩調を落として合わせる。
「ううんっ?なんでもないよっ?買いたいもの買えて良かったね、しょぉちゃん。結局、何にしたの?」
「んー、まだナイショ。そのうち教えるわ。」
「そっか・・・じゃぁ、帰ろっか。」
<Side-M>
おれって普段からあんまりヘコんだところって表に出さない方だと思うんだけど・・・なんかダメなんだよなぁ、翔ちゃんにはすぐ気付かれちゃう。
さっきも翔ちゃんに『どうした?』なんて気を遣わせちゃった。
あ~、ダメダメだ。今日のおれ。
キモチが上がったり下がったり、大変だな。
「雅紀・・・、メシ、食ってく?」
翔ちゃんのマンションまであと10分くらいのとこまで来て誘われた。
「あっ・・・」
「や、都合悪いならいいけど。」
嬉しいはずなんだけど、後部座席に置かれた買い物袋の存在がおれの胸をチクチク刺激する。
モヤモヤしたままご飯なんて、喉を通るかどうか・・・
でも意外にも翔ちゃんがあっさり引こうとするから・・・おれどうしたいんだろ。
自分でもどうしていいかわかんないよ。
「えっと・・・、いいの?おれで。その・・・一緒に食べる人とかさ、いるんじゃないの?」
→【8】