256 「パピヨン」  俺は生きてるぞ!! | ササポンのブログ

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冒頭
ずらりと並んだ囚人たちの前で
「お前たちは、国から見捨てられたのだ!!」と
叫ぶ男、
この映画で脚本を担当している
ハリウッドテンのひとり
ダルトン・トランボ。

以前
「栄光への脱出」の映画評でも触れが
もう一度
このハリウッドテンの説明を
ウィキさんから

ハリウッド・ブラックリスト (Hollywood Blacklist) 。1940年代後半から1950年代中ごろ、マッカーシズムによる赤狩り旋風が吹き荒れる中、その中心的機関であった非米活動調査委員会が取調べを行なうため、ハリウッドを中心とする娯楽産業で活躍していた映画監督、脚本家や映画俳優などの芸能人の中で人生のある時期に共産党と関連があったとして列挙した人物のことで、そのうち召還や証言を拒否して議会侮辱罪で有罪判決を受けた主要な10人をハリウッド・テン (Hollywood Ten) と呼ぶ。

ハリウッド、そして
国から
意味のなく拒絶された男に
このセリフを
スクリーンで叫ばせたことによって
この映画の立ち位置は決まった。

国家権力の抑圧の恐怖であり
それに対する抵抗であります。



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刑務所ものと言えば
ほとんどが
それを管理する人間たち、
つまり国家に対する反抗の物語である。

さらに
同じ脱獄モノとしては
マックインの「大脱走」だが
この映画の雰囲気は
「ネバタ・スミス」に似ている。
復讐のために、
敵のいる刑務所に入って脱獄するシーンに
雰囲気が似ている。

とにかく
密林の中を
ずぶぬれ、ボロボロになりながら
ただ、もうひたすらに
執念だけで
行動する男、マックイン。
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その相棒となる
ダスティ・ホフマン。

彼が演じるドガは国債偽造で逮捕された男で、
偽札作りの天才だった。

地獄のような刑務所で
お前を守ってやるから
お前は、
偽がねを作れ。

ふたりの間で刑務所ならではの
商談が成立する。

どんなに
友情があろうが
利害関係がなければ
結びつかない
刑務所。

たとえ
友だちであろうと
利害関係が対立すれば
簡単に
裏切る。

なぜなら
死に直結するからだ。

掴まったマックインが
地獄の独房で飢えと孤独で
死にそうになる。

仲間である
ドガの名前を告げなかったが故に
廃人同然まで追いつめられる。

それは
もう
友情というよりも、
意地である。

刑務所という権力に対する
命がけの意地である。


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そして
壮絶がゆえに
ユーモアすら漂うラストシークエンスに。

他とは隔絶されながらも
自由な行動が許された島。

そこに
ふたりの年老いた囚人。

年老いたドガは
妻にも裏切られ
すでに島で生活し生涯を閉じる覚悟を決めていた。

しかし
諦めないパピヨン。

ふたりだけのそのシーンは
まるで
緒方拳と西田敏行の「北斎漫画」という
映画のラストを思い出す。

年老いてボケてしまう寸前のふたり。
しかし
執念の男は
諦めてはいなかった。

パピヨンも北斎も
欲していたのは自由。

それは
魂の完全なる自由。

「俺は富士なのさ。俺がでんとして
人生を見下してるのさ。
さあ、これからだ、俺の勝負は!
まだたったの八十九だ、この俺様は!」
      
         矢代静一作
           「北斎漫画」



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