受け継がれる装い | 「着物をもっと身近に」染太郎のブログ

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札幌で着物のしみ抜きや染色などをおこなう悉皆屋(しっかいや)野口染店舗の5代目染太郎です!「着物をもっと身近に」をモットーに日々奮闘中!!

僕がこの仕事に出逢って感動したことは、着物は作り替えができるということです。アップ


洋服はウエスト直しや丈をつめることはできますが、全体の寸法を変えたり染め替えをして作り直すことはできません。


今回は弊社でお受けいたしました素敵なお客様のエピソードをご紹介させていただきます。


【思いを受け継ぐ】


成人式は女性にとって一生に一度の晴れ舞台です。


現在では振袖のレンタルも普及していますので、様々な柄の振袖が流行しております。


そんな中、お嬢様が成人式を迎えるご予定のお客様からご相談を受けました。


お話をお伺いするとお母様が成人式のときに着用され、そのまたお母様(娘様からみれば祖母にあたります)もお召になたれていたお振袖があり、その振袖をお嬢様用に作り変えることはできないだろうかというご相談でした。お話を伺い驚きました・・・なんと約52年前に誂えたお振袖なのです!僕は驚くと同時に感動しました。



着物には様々な思い出があると思うのです。


その思いを成人式という晴れ舞台で3世代に渡り着用できる衣服は他にはないのではないでしょうか。また、当時は現在のように機械などで大量に着物を作れる時代ではないので、一つ一つが職人さんの手作業により作り出されるものです。


そのような大切なお振袖を何とかして蘇らせたい!


そしてお客様の想いを形にしていきたい!


とスタッフと話合いました。

実際にそのお振袖を拝見させていただきあまりに素敵なので柄をいかして染め上げる方法をご提案させていただき、お嬢様のお似合いのお色になるように実際の染め色のサンプル生地を使用しながらお色を決めさせていただきました。


八掛や振りの部分も同じ生地を使用して色合いをピンクに染め直し、金加工や金駒刺繍などが傷んでいる部分をお直しさせていただきこのように大変身しました。


納品させていただいたときは、皆さんにご来店いただき実際に染めあがったお振袖を見ていただきました。その瞬間、感動と驚きで歓声が沸きました。

我々とっては言葉にならない瞬間です。


そして、嬉しいことに成人式当時のお写真まで拝見させていただきました。


当日、着付けを担当された先生から素晴らしいお振袖ねと褒められたそうです。


こんな素晴らしい仕事に携わることができて本当にありがたい気持ちでいっぱいです。


弊社は「人生の喜びと感動にお手伝い」を事業領域と考えております。

今後も技術・サービスを高めて進んで参りたいと思いますので何卒よろしくお願い申し上げます。



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