今から約8年前。


インドネシアはパプアの、山奥にある学校。


そこに辿り着いて泊めてもらえることになった俺は、宿泊所へと案内された。

案内してくれたのは、同室のA君。

彼も先生(の卵?)だ。


……A君は、なんてゆーか、背が低く、やせっぽちで、表情に覇気のない、
いじめられっこによくある、気が弱いタイプだった。

具体的に運動させなくても、運動神経ないのが分かる、みたいな。

英語もあまり流暢ではなかった。


……が。

すごく心の優しいヤツだった。

同室になったとはいえ、ほぼ見ず知らずの俺に、あれこれと世話を
やいてくれた。

他人に誇れる特技はないけれど、ただ、いいヤツだった。

そいつがどんな人間であるか、言葉なんて要らない。

むしろ言葉なんてない方が、ダイレクトに伝わることもあるくらいだ。

A君は、そういうヤツだった。


朝飯は、学校全員ではなく、4,5人の宿泊所が近いグループで食べる。

その朝食グループに、Bちゃんっていう、ちょっとかわいらしい顔立ちの女の子がいた。

朝おはようって言うと、ニッコリと笑顔を振り撒いておはようと反してくれる。

愛想がいい。

かわいい。

んもう、俺、惚れちゃいそう。


・・んが。

A君がおはようって言うと。

表情をピクリとも変えずに、シカトした。

……A君は、なめられやすいタイプでもある。

しかし当の本人は慣れてる様子で、あんまりめげてもないようだ。

特に気にしている様子もない。


朝食は、先生たちで自分たちのグループの生徒の分も用意する。

居候の俺もボーっとしてるわけにもいかず、用意を手伝った。

で、だから、A君とBちゃんが話すシーンもあったんだけど。

Bちゃん、A君には明らかに侮蔑の態度。

他の先生や俺には、愛想いいんだけど。

A君は普通に話しかけているんだけど、完全に見下して必要な要件のみしか答えない。

それが、特に怒ってるとかいう様子もなく、ごくいつもの自然な感じだった。


……。

顔はちょっとかわいいけどさ。

俺は、こういう女が一番嫌いだ。

別にだからと言ってその子に説教し始めたりはしないけどさ。


A君とは二人部屋だった。

夜は二人で色々話し込んでから眠った。


寝食を共にしてれば、本当にすぐ打ち解ける。

パプアの山中って環境も、ますますそうさせた。

二泊くらいさせてもらったんだけど、二泊目かな。

色々話盛り上がった中、A君が俺に聞いた。

「君は、女の子にもてる?」

「まぁ、もてなくはないかな笑」(⇦注 8年前)

「どうすれば女の子に好かれるんだろう?」

「俺の場合はボクシングがでかいからなぁ・・・」

「・・・・・・。」

「どうした?」

「俺さ、実は、好きな子がいるんだ。この学校の中に」

「ほうほう!できることあったら協力するよ!誰なんだ?」

二十歳は超えているだろうけど、A君は少年のように顔を赤らめた。

純情なんだなぁ。

ためらった挙句、教えてくれた。


「・・・・Bちゃん」


「・・・・・・・・・・・・。」


そいつだけはやめとけ。

なぜよりによって?

性格悪いの分からんか?

自分がメッチャなめられてるの、気付かんか?


でも、彼はマジだった。

「Bちゃんのことが、好きで好きでどうしようもないんだ。
 なんとかBちゃんに振り向いてもらう方法はないかな?」


照れながらも真剣な顔で聞いてくる。

ここであの女は性悪だからやめとけって言っても、仕方ないよな。

その時考え付く限りの方法を教えた。

ひたすら想い続ければ、ある時ふとBちゃんにその想いが届く時がくるかもしれないし、今はなめられてるけど、だからこそ逆に何かの
時に実は俺メッチャ頼りになる男なんだぜってとこ見せたら、そのギャップでいけるかもしれない。

・・・可能性がメッチャ低いことは、あんまり言わなかったが・・・。


俺が不器用なA君にアドバイスできるのはその位だった。

ただ、せつなさでため息が出た。


そんなこともあるんだなぁって。


その後、どうなったかは知らない。


旅の思い出。

パプアの山奥の、A君の儚い恋物語。

この中に、A君とBちゃんはいる。
ふと思い出したので。


ちなみにこの時のインドネシアの話は


から全編読むことができます。



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