ボクサーと見る側の目的の違い

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先日引退確定となった弁護士ボクサー、坂本尚志。


試合直後。


「すみませんでした」

……本気の謝罪。


……俺は別に困らないのに。

……困るのは俺じゃなくて、お前の方だろ??


……。

負けたボクサーに絶対言うべきでない言葉は、「ナイスファイト」であるとかなり前に言ったのを覚えててくれた人がいたら、嬉しいけど。



……ここに、ボクサーと観客の決定的な視点の違いがあるのだ。


試合に負けたボクサーが「すみませんでした」と謝る。


……これ、求めてる人、いる?

負けたから謝罪してくれと。

そんなに多くはないと思うんだけど。


……自分が負けた時のことを思い起こすと。

合わす顔がない。

消えてなくなりたいとさえ感じた。


……あの時のボクサーは、本気で謝ってるんですよ。


が、実際に負けたボクサーを目の当たりにした人は。

「何て言って励まそう?」位だよね。

「応援してやったのにコノヤロー」と本気で思う人はそんなに多くないんじゃないか。

……もちろん応援しにきてくれてるわけだけども。


……もう五年前か。

日本東洋五つ目のタイトルがかかった試合で敗れた俺は、リングを降りる前、コーナーポストに集まってくれた方々に向かって、本気で謝罪をした。

「すみませんでした!!」

反応は、温かかった。

「基樹頑張ったよ胸張れよ!」

勝つ姿を見に来てくれたのに、皆の期待を裏切ってしまって!!

……胸なんて張れねえよ……!

と思った。


「いい試合だった!よくやった!」と言ってくれたけど。


……けど目的は勝つためだからな……。


……目的の違いか!?


……!!

そこなんですよ!!


……今日もさすが俺、冴えてるー!などということは決して顔に出さずに、先をいこう。


……お客さん視点で見ると。

言ってみれば楽しい試合だったかどうかが大切なわけだ。

……お金払って楽しみに行くんだから、当たり前だよね。

勝てばなおいいけど、それだけではなくて。


……けれどやる側は勝つことだけが大切で、面白かったかどうかは二の次で。


目的の違い。


そこなんですよ。 


……全然打ち合わないで、チョコンとポイントだけ稼いであと逃げて、判定で勝ちました。

「やったぁ〜〜!!」って嬉しいのは、本人と身内だけ。……本人すら本当は面白くないかもしれない。

「勝つには勝ったけど、つまんねー試合だったな」が大方の率直な感想だろう。


反対に、バカスカ打ち合って、倒して倒されて、お互い死力の限りを尽くした好ファイトの末、負けました。


……ボクサー自身は、何の満足もない。

ただただ、悔しいだけ。

好ファイトで注目を集めた分、より惨めで悔しいだけ。

悔しくて悔しくて仕方がない。

そこへ、見に来てくれた人から満足気な笑顔で「ナイスファイト!」って言われたら、嬉しいかどうか。


……どっちが悪いとか、何が問題だ、とかではない。


……そもそも目的が違うだけ。


ボクサーは、勝つためにリングに上がる。

オールオアナッシング(all-or-nothing )。

勝利が敗北か。それが全て。


試合を楽しみに来るお客さん。

お客さんは、楽しみに来る。

楽しかったかどうか。

そりゃ応援する選手が勝てなかったら、面白くないよね。

けれどそれを含めて、真剣勝負を楽しみにきてくれるわけであって。

すんげーいい試合して、「すみませんでした」と頭下げられても「?」なんだね。

「あなたは私を満足させましたよ??」と。

「いい仕事しましたよ??」と。

……しかし、勝つことが唯一絶対使命のボクサーにとっては、なんてことをしてしまったんだ!俺はお金だけ頂いて今日なんの仕事もしてない!!とても合わす顔がない!!という感覚を持っているわけで。


……身内は身内でまたちょっと違うけど。


この「目的の違い」はお互いのちょっとした違和感を呼ぶんだね。


……まとめると。


……見にくる側は「トータルで面白かったかどうかが重要である」。


……やる側は「勝つことこそが重要である」=「応援に来てくれる人は絶対に勝たなければ納得してくれない」と思ってる。


これは、頭の片隅に入れといてもいいかもね。




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