引退式ラスト

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もしかしたら、誰かの何かの場面で、役に立つかもしれない。

そんな動機から、言おうと決断した話。

俺にとって決して名誉ではないし、むしろ忘れたい過去。

最後にそれを話し終え、テンカウントのゴング。

俺のレベルじゃ、テンカウントやってくれる機会なんて、普通はないんだ。

その場を作ってくれたスタッフ、参加者の方全員に、感謝します。


前日の夜。

明日はどんな風になるんだろうって、想像した。

友人の西井が鳴らすテンカウントゴングを想像したら、それだけで。


たちまちあふれてきた。

今までの足かけ22年間が。


ダメだ、こりゃ。

想像しただけでこれじゃ、本番で我慢できるわけがない。


当日。

いよいよ始まった。




カーン



恥についてはまた書くとして。

泣くことは、恥ではない。

むしろ感極まったなら、堂々と泣けばいい。


そう思った。


カーン


そして今、実際のテンカウントのゴング。



カーン


今までひたすらボクシングに打ち込んできた日々が、走馬灯のように頭を巡る。



カーン


あんなこともあった。


こんなこともあった。


カーン


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カーン


俺の人生の、最大の喜びも、最大の屈辱も、ボクシングと共にあった。



カーン


魂のレクイエム。


ボクサー魂の、鎮魂歌。



カーン


鈴(りん)と呼ばれる、仏壇とかにあるチーンと鳴らす道具があるけど。


俺にはこの時のゴングが、その音にしか聞こえなかった。



鐘の音ってのは、魂を成仏させるものなんだなと感じた。



カーン



次が、ラスト。





カーン




平成二十五年五月十八日。

ボクサー佐々木基樹は、その十八年間に渡るプロ生活に、幕を下ろした。
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