島崎藤村「初恋」 | 次郎風来

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風の吹くまま気の向くままに書きたい
わがままな私のブログ。「詩」が中心のブログです。


 
※私の大好きな島崎藤村の詩です。 
  この詩に接する度に私の小さな胸がキュンとなるのです。

 
 
 
※私が抱く胸キュンは、清楚で甘く切なく哀しい感覚なのです。

 
 
  それと同様な感覚、感情を得る小説が有るのです。
 
   その小説とは川端康成「伊豆の踊子」
  そして伊藤左千夫「野菊の墓」なのです。
 
 
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初恋

 

 

まだあげ初 (そ) めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
 
前にさしたる花櫛 (はなぐし) の
花ある君と思ひけり
 

リンゴの花2

 

 
やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅 (うすくれなゐ) の秋の実 に
人こひ初 (そ) めしはじめなり
 
わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃を
君が情に酌 (く) みしかな
 

リンゴの花2

 

 
林檎畑の樹 (こ) の下に
おのづからなる細道は
誰 (た) が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ