病気になったら病院へ、
病気になりたくなければ鍼灸を。
群馬県前橋市を拠点に出張専門鍼灸を開業している、
ささき ひでかず
(本名・佐々木秀和)
です。
今回は神について投稿します。広義では生命活動の総称ですが、狭義では精神・意識・思惟活動(←今回はこちらを取り上げます!)を指します。
神の生理
狭義の神は神志・心神とも呼ばれます。心の機能に属し、臓腑や生理物質に直接影響を与えるとともに、それらに対して主導的な役割を担ってます。また、生理物質の滋養によってその機能を維持します。
五神
元来人体に備わっている精神活動を表してます。魂・神・意・魄・志の5つがあり、五神はそれぞれ特定の生理物質や臓腑と密接な関係にあります。
魂
評価・判断などの精神活動を指します。絶えず学習することによって発展し強化されます。肝の臓と密接な関係にあり、気機の調節を行い、情志を調節する役割を担ってます。
神
身体活動および精神活動を統率・制御する機能のことを指します。人体における内部環境の調節と外部環境に対しての適応を図るために、生理物質や気機を通じて各臓腑の調節を行います。心の臓と密接な関係にあります。
意
思考・推測・注意力・記憶などの精神活動を指します。この機能は脳が気血によって滋養されることにより維持されます。脾の臓と密接な関係にあります。
魄
感覚・運動および情志などの精神活動を指します。具体的には、見る、聞く、嗅ぐ、感じるなどです。魄の機能を維持するためには気の散布が必要になるので、肺の機能と密接な関係があります。
志
記憶を維持したり、思考を経験として蓄積するなどの精神活動を指します。この機能は脳が精によって滋養されることにより維持されます。精を貯蔵する腎と密接な関係にあります。
五志・七情
五志は外界の刺激に対する情緒反応を表してます。怒・喜・思・憂・恐の5つの情動・情緒があります。また、七情といって怒・喜・思・憂・悲・恐・驚の7つの情動・情緒があります。これらを総称して情志といいます。情志は遭遇した状況や事物に対する精神的な反応であり、必ず一定の気機を伴います。
怒
怒るという情志であり、気機を上昇させる特徴があります。臓腑の機能失調により上昇する気機が過剰になると、怒が出現しやすくなります。
喜
喜ぶという情志であり、気機を緩ませる特徴があります。臓腑の機能失調により気機が緩むと、喜が出現しやすくなります。
思
思う・考えるという情志であり、気機を鬱結させる特徴があります。臓腑の機能失調により気機の鬱結すると、思が出現しやすくなります。
憂
憂える・心配する・不安になるという情志であり、気機を鬱滞させる特徴があります。臓腑の機能失調により気機の鬱滞すると、憂が出現しやすくなります。
悲
悲しむという情志であり、気を消耗させる特徴があります。憂いや思慮過度を伴うことが多く、激しく泣いたり、心配して溜息が多くなると気の消耗が起こります。
恐
恐れるという情志であり、気機を下降させる特徴があります。臓腑の機能失調により下降させる気機が過剰になると恐が出現しやすくなります。
驚
驚くという情志であり、気を乱す特徴があります。気を乱すと驚が出現しやすくなります。驚くという情志は腎の機能に影響を与えます。
神と生理物質との関係
脳は神と密接な関係にあります。よって、脳が十分に生理物質の滋養を受けることが神の機能を発揮するために必要です。
神と気の関係
神の形成に不可欠な生理物質が気です。また、気は神の統率・制御を受けて正常に機能します。
神と血の関係
神の機能は、脳が血の滋養を受けてその機能を発揮してます。
神と津液の関係
津液は、血とともに脳を潤す役割を担ってます。
神と精の関係
精は、髄を滋養し、脳を満たすことにより、神の機能を維持してます。
神の病理
自然界からの影響および臓腑の機能が失調したり情志の失調したりするなどが神の病理が起こる原因です。
魂の病理
主に情志の異常として現れます。イライラする、怒りっぽい、オドオドする、ビクビクするなど。
神の病理
精神活動の統率・制御が出来ず、意識の混濁、発語・行動・情動に異常が現れます。単にぼんやりする状態になるだけでなく、著しい場合は暴力的な衝動に駆られる、行動の一貫性を失うなどが現れます。
意の病理
思考がまとまらない、順序立てて話が出来ないなどが現れます。
魄の病理
感覚の異常として現れます。視覚障害、耳聾、味覚鈍麻、皮膚感覚の消失、幻覚・幻聴など。
志の病理
健忘や物事をやり遂げられない、目的を持った行動が取れないなどが現れます。
五志・七情の病理
気機の失調に伴って出現するため、精神症状に限らず一般症候も同時に起こります。
