ちびまる子ちゃん 城ヶ崎さんと永沢君の巻 #.4 | SSブログ

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キートン山田「翌日……」

『入江小学校・三年四組(朝)』

永沢「山根君。君は本当に胃腸の事ばかりだね。小杉君が食べ物ばかりなのと同じだよ」

山根「えぇ!?   小杉君と同じなんて……何か嫌だな……」

永沢「嫌がっても同じさ。君は小杉君と同類だね」

山根「そ……そんなぁ……」

城ヶ崎「…………」スタスタ

大野「げ!   また永沢と城ヶ崎のやつが鉢合うぞ」

杉山「ホントだ……。またうるさくなっちまうなぁ……」

永沢「だから君は胃腸が弱いのさ」

山根「うぅ……」

城ヶ崎「…………」スタスタ

大野「あれ?   城ヶ崎のやつ永沢を通り過ぎていったぞ」

杉山「えぇ!?   どういう事だよ?」

大野「さぁ……何かあったんだろうな」

杉山「へっ。まぁ何にしても良かったよな。これで静かになるぜ」

大野「あぁ!   んじゃ、行こうぜ」タタッ

まる子「城ヶ崎さん努力してるね」

たまえ「うん。良かったよ。これで静かになるしね」

笹山「……藤木君……これで良いのかな?」

藤木「……分からないよ……でも、これ以上はどうしようもないからね……」

笹山「……城ヶ崎さん……」

キートン山田「それから二人の喧嘩は起こらず、静寂な時が流れていった」

笹山「このヘアバンド、お母さんがつけてたやつなんだ」

城ヶ崎「凄く可愛いわね!」

永沢「……ふん」スタスタ

城ヶ崎「…………」


キートン山田「結局、それから二人は一度も会話を挟む事なく放課後を迎えた」

『入江小学校・三年四組(放課後)』

城ヶ崎「それじゃあ、帰りましょ」ガタッ

笹山「うん。帰ろう」

藤木「……永沢君……行こう」

永沢「ふん。君とはもう帰りたくないね」

藤木「えぇ!?   ど……どうして……」

永沢「君のせいで昨日も一昨日も散々な目にあったからさ。あんなお節介をやかれたせいでね」

藤木「そ……そんなぁ……」

永沢「もう泣いたって意味ないぞ。僕は君とは一緒には帰らないと決めたからね」

藤木「うぅ……」

永沢「それじゃあな藤木君」ガタッ

城ヶ崎「藤木!」

藤木「え?」

永沢「…………」

城ヶ崎「藤木……一緒に帰りましょう」

藤木「えぇ!?」

永沢「……ふん。良かったじゃないか。卑怯者と生意気同士、仲良くしていてくれよ」

城ヶ崎「くっ……行きましょう藤木」グイッ

藤木「……う……うん……」

永沢「……ふん」スタスタ

笹山「…………永沢君……」

キートン山田「その後、永沢は少しずつクラスの中で孤立していった。永沢の憎まれ口を止める者がいなくなり、皆に嫌われ始めたのである」

『三年四組(放課後)』

永沢「…………」ガタッ

大野「最近、永沢のやつ一人でいる事が多いよな」

杉山「あぁ……でも仕方ねぇよ。あいつ憎まれ口しか言わねぇからな」

大野「はぁ……火事が起こる前までは目立たないけど良い奴だったのになぁ……」

杉山「……やっぱあの火事が永沢を変えちまったんだな……」

大野「虚しいけど仕方ないな……行こうぜ」スタスタ

杉山「おう」スタスタ

藤木「……永沢君……」

城ヶ崎「藤木。行くわよ」スタスタ

笹山「藤木君……」

藤木「……くっ!   永沢君!」バッ

笹山「あ!   藤木君!」

城ヶ崎「…………」

永沢「……何だい?」

藤木「永沢君……あの……やっぱり一緒に……」

永沢「帰らないよ。もう君とは帰らないって言っただろ」

藤木「でも……」

永沢「しつこいんだよ、藤木君!   僕は一人で帰りたいんだ!」

藤木「うっ!」

永沢「もう……誰かにあんな家を見られるのはごめんなんだよ……」

藤木「……そんな……」

城ヶ崎「…………」ググ……

キートン山田「その時、勢い良く教室の扉が開かれた」

扉(ガラッ)

戸川「くっ!   な……永沢君はいますか!?」バッ

永沢「え?   先生?」

戸川「あぁ……良かった……永沢君、いいですか?   落ち着いて聞いて下さいね」

永沢「え?」

戸川「実は先ほど病院から連絡がありまして……」

戸川「お母さんがご自宅で倒れられたとの話を……」

永沢「えぇ!?   母さんが!」

城ヶ崎「!?」

戸川「詳しい事はまだ分からないようですが、永沢君はこのまま家に帰宅して……」

永沢「そんな……母さん!」バッ

戸川「あ!   待って下さい!   永沢君!」

城ヶ崎「永沢!」バッ

笹山「あ!   城ヶ崎さん!」

藤木「二人共!!」

笹山「……行ってしまったわ……」

藤木「……どうするつもりなんだろう……」


『入江小学校・校門』

永沢「はぁ……はぁ……はぁ……」タッタッタッ

城ヶ崎「永沢!   ちょっと、待ちなさいよ!」タッタッタッ

永沢「何だよ!   僕は急いでるんだ!」

城ヶ崎「急いでるって……ここから病院まで走って行くつもりなの!?」

永沢「それ以外に何があるんだよ!   急がないと母さんが……」

城ヶ崎「……私の家に来て!」

永沢「何で!?」

城ヶ崎「いいから早く!」グイッ

永沢「う……くっ……」タッタッタッ


『城ヶ崎宅・玄関』

永沢「はぁ……はぁ……それでどうするのさ?」

城ヶ崎「ママがいたらきっと、車で送ってくれるわ!   だからそこで待ってて!」タタッ

永沢「……城ヶ崎……」

キートン山田「城ヶ崎は玄関前の扉に着くと祈るように目を閉じた」

城ヶ崎(……神様……どうかお願い……ママを呼んで…………)

扉(ガチャ)

城ヶ崎(お願い!)

城ヶ崎母「あら?   姫子お帰りなさい」

城ヶ崎「あぁ……ママ!」バッ   ガシッ

城ヶ崎母「あらあらどうしたの?   この子ったら……」

城ヶ崎父「はっはっは。今日は随分と元気がいいな」

城ヶ崎「え!?   パパ!?   どうして?」

城ヶ崎父「何、仕事がひと段落ついたんでな。久しぶりに姫子のピアノを聞こうかと思ってな……」

城ヶ崎「そうなんだ……あ!   それより、聞いて!   大変なの!」

城ヶ崎父「ん?   どうした?」

城ヶ崎「私の友……友達の永沢って子のママが倒れて病院へ行ってしまったのよ!   それで、永沢を病院へ連れて行って欲しいの!」

城ヶ崎父「何?   分かった。直ぐに行こう」スタスタ

城ヶ崎母「貴方、車の鍵は持った?」

城ヶ崎父「あぁ。急ぐぞ!」

城ヶ崎「良かった……永沢!   急ぎましょう!」

永沢「あ……あぁ……」


『病院(夕方)』

永沢「母さん……」

永沢母「全くもう……大袈裟だねぇこの子は……」

永沢「大袈裟なもんか……すごく……心配したんだからな……」

永沢父「城ヶ崎さん……本当にありがとうございます!」

城ヶ崎父「いえ……奥様に大事なくて良かったですよ」

永沢母「貴方が説得してくれたのですってね……ありがとうね姫子ちゃん」

城ヶ崎「いえ……無事で良かったです……」

永沢母「本当に良い友達を持って……良かったわね……君男」

永沢「…………」

永沢母「それにしても貴方達は急に仲良くなったのね?   何が原因かしら?」

城ヶ崎「え?」

永沢「お……おい、母さん……やめてくれよ」

永沢母「あら、良いじゃない?   母さん聴きたいな」

永沢「うぐ……それは……」

城ヶ崎「あ……ピアノです!」

永沢母「ピアノ?」

城ヶ崎「は……はい!   永沢……君にピアノを教えてあげる事になって……それで……」

永沢父「ほぅ……そうなのか君男?」

永沢「え?   ま……まぁ……」

永沢母「まぁ……すごいじゃない君男」

永沢「え?」

永沢父「挑戦する事はとても良い事だぞ。今度私達にも聞かせてくれな」

永沢「わぁ〜、うん!」

城ヶ崎「ふふっ……」

城ヶ崎父「姫子。そろそろ帰ろう」

城ヶ崎「うん」

城ヶ崎母「それじゃあ永沢さん。失礼します」

永沢父「あぁそうですか。本当に息子がお世話になりました」

城ヶ崎父「いえ、それではお大事に」

バタン

城ヶ崎父「何事もなくて良かったな」

城ヶ崎母「えぇ。本当に……」

城ヶ崎「…………」

ガチャッ

タタタッ

永沢「じょ……城ヶ崎!」

城ヶ崎「え?」

永沢「あ……その……あ……え〜っと……」

城ヶ崎「……何よ」

永沢「あ……ありがとう……」ポッ

城ヶ崎「え!?   ど……どう致しまして……」ポッ

永沢「あ……そ……それだけだからさ……」

城ヶ崎父「永沢君……姫子にピアノを習ってるそうだね」

永沢「え?   あ……まぁ……」

城ヶ崎父「はっはっは。なら次の帰国も早くした方が良さそうだ。この二人の二重奏を聞かなければならないからね」

城ヶ崎「本当!?」

城ヶ崎父「あぁ!   約束だ!」

城ヶ崎「やったぁ!」

永沢「……はは……ピアノか……」

城ヶ崎「……ね?   ピアノも結構、役に立つでしょ?」

永沢「……あぁ……そうかもな」

城ヶ崎父「じゃあ、行くぞ。姫子」

城ヶ崎「うん!   それじゃ……またね……」

永沢「あ……あぁ……」

キートン山田「二人の間に奇妙な絆が生まれた瞬間であった」


キートン山田「翌日」

『城ヶ崎宅(放課後)』

城ヶ崎「もう!   何度言ったら分かるのよ!   その音は『ファ』!   こっちの音は『ド』!」

永沢「うるさいな!   君の教え方が悪いんじゃないか!」

城ヶ崎「何ですって!」

まる子「ははは……仲直りしたって言ってたんだけどな……」

たまえ「あはは……まぁ、こっちの方がもう見慣れてていいかもね……」

藤木「二人共、素直になれたみたいだね」

笹山「うん!   良かったね城ヶ崎さん」

城ヶ崎「だから違うってば!」

永沢「何が違うんだよ!」

キートン山田「こうして暫くの間は、城ヶ崎の家からは怒鳴り声が鳴り止まなかったという……。だが、その怒鳴り声には何処か微笑ましいものがあったのは言うまでもない」

城ヶ崎「いい加減にして!」

永沢「そっちこそ!」

おしまい