スクレ郊外の織物の村マラグアへ(24/05/2008)

 

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マラグアの風景

 

マラグア(Maragua)

 

この村の情報は「地球の歩き方」には一切無し。ロンプラとスクレの織物博物館のパンフレットからスクレ近郊の織物を織る人が住む村の情報が書いてあり、マラグアはその中の1つである。

ロンプラの地図で見る限り、マラグアや他の町にはわりと簡単にいけるのかと考えたが、甘かった。


織物が好きな我々は織物産地である村の1つマラグアへ行きたかった。とりあえず、ツアーを扱っているところを探したがモラレス大統領がスクレに来るとかで、交通規制があり1週間くらいバスがでないので、個人手配となりボリビアの物価から考えると高価な400Br(US$60)とのこと。ボリビア物価から考えるとめちゃ高い!いい織物があれば買いたいのに行くだけで二人で800Brもかかったら採算あわへんやん。

 

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この乗り合いタクシーで川を渡りマラグアへ行った

 

それなら自分たちでタクシーをチャーターして行こうと考案。マラグアに行った経験のあるタクシー運転手にしないといけないと、地元の人からアドバイスをもらった。数人のタクシードライバーにマラグア行きをおねがいしたが、無理だと言われた。そんな中、若いタクシーの運転手がマラグアに行ったこともあり、マラグアとポトロの2箇所を200Br(US$30)で行ってくれるとのこと。

 

 

彼のタクシーに乗り込む前に、4WDでマラグアツアーに今日いくという車が偶然我々の前にきたが、その運転手が言うには川があるので4WDでないと絶対無理だと言われた。この言葉の意味はこの時点ではよくわかっていなかった。

 

しかし我々はマラグアに行ったことがあるという彼の言葉を信じて、そのままチャーターしたタクシーで向かうことにした。途中の道で彼の嫁さんが助手席に乗ってきて、コーラやお昼ごはんを買い込み、いつのまにか彼らはピクニック気分?

スクレの町を出る際に、道では反大統領の運動で火があがっていた。地元の人によるとスクレの人々はモラレス大統領にきてほしくないので道を塞いでいるそうだ、バスが出ない理由もわかる。

 

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タイヤかなにかを炎上させて道を塞いでる

 

 

地図で見る限り2時間程度で着くだろうと考えていたのが甘かった。町を出てからの道は砂煙がひどく、ほとんど整備されていないのでガタガタでタイヤにダメージを与えそうな揺れがずっと続いた。道が分かれた場所に来ると、運転手はガイドブックの地図を見せて欲しい、今はどこにいるんだ?とこちらに尋ねてきた。行ったことがあるのでは?と疑問がわいてきた。

 

 

 

途中スクレの町で会った、4WDの車か後からやってきて抜いていった。そして我々の運転手に「川があるからその車では無理だぞ」と忠告した。その時初めて我々の運転手は川のことを知ったようだった。彼がマラグアに行ったことはないと確信した。どうなるのかわからないが、ここまできたのだから進んでもらうし、彼も不安そうにしながらも車を進めた。

 

そして、やはり道を遮る川があった。石を投げてみて深さを測ったが、石はボチャンと音を立てて川の中に消えた。腰までの深さはないにしても膝より上の深さはありそうだった。4WDの運転手が行った様に、ここでタクシーが先に進むことは断念された。

 

マラグアまであと4Kmくらいなので川を渡って徒歩でいってくるなら、待っているとのこと。ここまで車を酷使してガタガタの道を来てくれたので話が違う!と怒る気にも全くならなかった。とりあえず川を渡って我々だけで歩いていってみることにした。我々が川を渡り終えた時、タクシーの運転手夫妻も川に足をいれて、ピクニック気分を楽しんでいた。

 

 

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山道からの風景


ほんとに近いのか、よくわからないまま30分以上歩いても、まだまだグネグネした山道が続いており、村に着くまでいくつも山を越えないといけないことしか分からなかった。往復していたら日が暮れるかもしれないし、先が見えず引き返そうとしていたところ、1台の車がゆっくりとガタガタ道を登って来るのが見えた。あの車に乗せてもらって、マラグアまで行こうと車が来るのを待っていた。するとその車はなんと我々のチャーターしたタクシーで、しかも地元の人を何人か乗せているではないか。

どうやってあの川を渡ったのか?とても不思議だったけど、運転手は頑張ってここまで来てくれたので、マラグアまでいける希望ができた。車に乗ってから、何回か嫁さんが車を降りて大きい石をどけたり、タイヤが泥にはまってしまったときに、一緒に車を押したりでなんとかガタガタの道を1時間くらい進んでやっとマラグアまで到着した。

 

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マラグアの子供


ようやくたどり着いたマラグアだったが、この日はモラレス大統領がスクレに来るということで、マラグアの人たちもスクレに行って残っているのは子供や数名の家の女性くらいだった。多くの家の門が閉ざされていた。

2件ほど人がいる家をみつけて織物を見せてもらった。各家には2,3の作品しか持っておらず、しかも言い値が、単位間違ってない?(確認はした)と思うくらい高くて、笑いしか出なかった。出してきて作品と言い値がどうにもつりあわないし、織物博物館のほうが安いやんって思った。

結局織物は買わなかったが、民家に入ってマラグアの生活の1部を見ることができた。我々より先にマラグアに着いていた4WDの運転手は、絶対無理!と笑っていたが、我々の姿を見たので驚いたかもしれない。高いツアーに申し込んだ観光客の人もわざわざマラグアまで来たのに村はもぬけの殻でがっくりだっただろう。

 

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民家の中。織り機が庭にあり、トウモロコシや生肉が干されている。


帰りも同じガタガタ道を長い時間かけて車は走った。川に差し掛かったところで、運転手以外は車を降りて足で川をわたってほしいとのこと。川を渡ってる最中に車も川を走らせたので、ザブーンと波が来て私の膝まであげていたジーンズはボトボトになってしまった。もう1つの村、ポトロに行くには、まだまだ時間がかかり、着いたとしても日が暮れそうだったので、あきらめて、スクレに戻ることにした。帰り道にタクシーの運転手は数名地元の人を拾いながら帰った。車でも2時間くらいかかるスクレまでアヒル1匹を売るためだけに乗ってきたおばあさんもいた。なぜかタクシー夫婦とおばあさんと、途中で車を降りて誰もいない山道にある教会の中にも入った。


スクレに着いたころ、車は外も中も砂ホコリまみれで、タイヤもだいぶダメージを受けているだろうし、車体の底も何回かゴリっと音をたてて岩に擦っていたのでキズだらけだっただろう。最後に運転手は実はマラグアにいったことは無いと、笑いながら言った。そんなこと最後に告白してくれなくても途中でわかったよ。

嫁さんがついてこなければ川も渡って来てくれなかった気がする。マラグアしかいけなかったけど、車を酷使してマラグアまで往復してくれたタクシー夫婦に感謝な気持ちはわいた。

織物が目的のマラグア行きだったが、なかなか今までに無い体験で濃い思い出となった。

 

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タクシードライバー夫婦