戦後70年を考えてみる | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!


本日2015年8月15日は、多くの尊い命が犠牲となった太平洋戦争のの終結から70年の節目となります。

昨日、安倍首相による「戦後70年談話」というものを耳にし、ある種の感慨に浸りました。


村山さんの50年談話、小泉さんの60年談話に次ぐ、70年談話です。


見逃した方は、以下のNHK NEWS webに談話の全文が公開されていますので是非お読みください。

http://www3.nhk.or.jp/news/sengo70/


特に、平和憲法に反すると言われる安保関連法案を推し進める安倍首相のこの談話には世界中が注目したことでしょう。


「80年談話」というものがあったら、だれがどのようなことを仰っておられるか興味深いです。


頑張ってあと30年生きれば、100年談話というものも聞けるかもしれません。


この10年おきに閣議決定されるようになった「戦後談話シリーズ」の意図は、私には理解できない部分もありますが、今回は閣議決定されないという話もあったようです。



政治的な背景はともかくとして、安倍首相の今回の談話スピーチは極めて完成度の高いものであったように思われました。


相当綿密に練られた「談話」であったことは間違いありません。


そして、安倍首相というひとのプレゼン能力の高さは秀逸であるということも認めざるを得ません。


彼をヒトラー呼ばわりする人がいることも頷けるレベルです。


植民地支配、侵略、痛切な反省、お詫びという「村山談話」から継承されてきたキーワードが、重要であったようですが、それを見事にちりばめて継承しながらも、軽く「ブロック経済化が戦争の引き金となった」という言い回しから、当時の列強による植民地支配の批判と、実は日本がその列強支配からアジアを解放しようとしていたかのようなポジティブな印象を軽くにおわせていた点や、慰安婦問題については具体的には述べず、「戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも、忘れてはなりません」とさらっと流しているあたりは流石です。


また、「次世代に謝罪を続ける宿命を背負わせない」という発言もポジティブです。


見方によっては、戦争と日本が戦争中にしてきた負の遺産を、そろそろチャラにしてやってもいいんじゃないか?とも取れます。


確かに、戦後に生まれ育った私の世代や、その子供たちが、その負の遺産を引き継ぎ続けなければいけないというのは確かに理不尽です。


しかし、その罪をチャラにしてくれるくらいなら、これとは全く関係ないですが、社会保障の負の遺産を何とかしてやってほしいものです。


ドイツにおいても同様な議論があるようで、戦時中にヒトラーがユダヤ人を大虐殺した歴史的な罪をどこまでドイツ国民は背負っていかなければならないのか?という問題は根が深い。


キリスト教国であるドイツにおいては、おそらくその罪は未来永劫消えることはないのだろうが、そのことが次世代の発展を妨げる要因になっていることは事実でしょう。


そして、その罪を国として償う方法が、「移民の積極的な受け入れ」であるということが「移民問題」という別の問題を発生させている。


日本も、口先だけではなく、本当に謝罪の念があるのであれば、中国を含むアジア諸国からの積極的な移民の受け入れを実施するべきでしょう


最後に、安倍さんが掲げた「積極的平和主義」というキーワードは非常にインパクトがあり、良い言葉です。

日本がこれから世界に示していかなければならない姿勢を象徴しているように思われます。


この談話はともかく、戦後70年という節目に、より積極的な紛争への関与と防衛を推進する安保関連法案が決まろうとしていることは、戦争経験世代が絶滅しようとしているこのタイミングで日本という国の戦後のかじ取りが大きく変わろうとしているサインなのかもしれません。


負の遺産を背負うべきではない次世代の人たちは、そのことをよく考えて今後の30年を生きてほしいものです。


もし、生きていたなら、「戦後100年談話」というものが、今と同じ「積極的平和主義」を掲げる世界平和推進のリーダーとして世界で認知された、日本という世界で最も平和な国の首相によって語られることを期待したい。